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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その四十三

「本当にね、そうした風潮がね」
「早く忘れられることを願っておられますね」
「そうだよ、まあ爺やも殆どと言うし」
「はい、実際にはです」
「まずなくなるね、そのうち」
 評論家達の間のそうした飲み方はというのだ。
「そして普通の飲み方になってね」
「ランズハイム領産のワインもですね」
「正統に評価されるよ、そしてね」
「このワインをですね」
「エウロパ各地に売ってね」
 正統に評価されたそのワインをというのだ。
「そうしてね」
「そのうえで、ですね」
「領地が豊かになることを願うよ」
「領地、特に民達が」
「民が幸せになることを願わない領主なぞね」
「正しい領主ではないですね」
「ひいてはエウロパという国をね」
 この国もと言うのだった。
「そう思いその為に動くのがね」
「領主ですね」
「そして貴族だよ」
 エウロパ貴族だというのだ。
「まさにね」
「その通りですね」
「そして私も貴族だから」
「そのことはですね」
「絶対だと考えているよ」
 こう執事に話した。
「私なりにね」
「左様ですね」
「そう、貴族ならばね」
「誇りがあり」
「そしてその誇りはね」
「国と民を護るからこそですね」
「あるよ」
 穏やかだが確かな声での返事だった。
「私もね」
「それでこそランズハイム星系の主です」
「領主なら余計にだね」
「民がいるのです」
 そして国土もだ。
「若し民を護らないのならば」
「貴族はいる意味がないね」
「そうです、エウロパという国もです」
 同時にドイツという国もだ。
「護らないとです」
「ならないね」
「その通りです、ですから」
「私の考えもだね」
「素晴らしいです、それに旦那様は既に」
「あの戦役でかな」
「それを見せてくれました」
 執事、ひいてはランズハイム伯爵領の民達そしてエウロパ全体にだ。彼が言っている貴族の誇りを見せたというのだ。
「お見事でした」
「あの戦役は本当にね」
 ランズハイムはこう話した。
「エウロパの危機だったね」
「建国以来のですね」
「千年来のね」
 まさにというのだ。
「地球にあった頃から見ても」
「二度の世界大戦やペスト、オスマン=トルコやモンゴルの脅威の様な」
「そして国父ブラウベルグの頃の様なね」
「深刻な危機だったからですか」
「私は戦場に出たのだよ」
 それも自ら志願してだ。
「エウロパ貴族としてね」
「そしてそれがです」
「エウロパ貴族の在り方をだね」
「見せて下さいました」
 そうだったというのだ。
「素晴らしいまでに」
「だとしたらいいけれどね」
「はい、まさに」
「あの時の私がそうしていたらね、そして今は」
 またワインを一杯飲み注いでもらってから話した。 
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