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オズの木挽きの馬

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第三幕その八

「普通はね」
「上水道があってですね」
「そして下水道もね」
 こちらもというのです。
「あってね」
「それで、ですね」
「もう井戸はね」
「なくなっていますね」
「もうあっても大抵はね」
「昔は使っていてもですね」
「もうね」
 それこそというのです。
「使わなくなっているわ」
「今はそうですね」
「このことから考えてみても」
「ここは井戸がですね」
「絶対に何かあるわ」
「それじゃあですね」
「井戸を見てみましょう」
 グリンダは恵梨香の言葉に頷きました、そうしてでした。
 皆は井戸の方に行きました、するとです。
 そこは空井戸でした、目のいいガラスの猫が仲をじっくりと覗き込むとその中は。
「何もないわ、そして先にね」
「何かありそうなのね」
「井戸の底の一方が少しだけ明るいから」
「じゃあそこからね」
「先に進めるかもね」
「じゃあ皆でね」
「先に進みましょう」 
 こうお話してでした。
 皆は井戸の縄を使って一人一人下りました。最初にスカートの恵梨香とナターシャ、そしてグリンダが下りてです。
 男性陣が下りてです、木挽きの馬にガラスの猫は。
 井戸の下を勢いよく下りて両端を撥ねてそうして底まで下りてです。
 そしてです、皆が下に下りるとでした。
 底の一方に通り道がありました、木挽きの馬はその道を見て言いました。
「この道を通ってね」
「そうしてね」
「先に進めばいいね」
「ええ、そうなるわね」
 恵梨香は木挽きの馬に答えました。
「ここは」
「そうだね」
「それじゃあね」
「先に進んでいけばいいね」
「ええ、じゃあ先に行きましょう」
「それで先に行ったら」
「若しかしてその先がね」
 まさにというのです。
「出口かも知れないわ」
「そうなんだね」
「だからね」
 それでというのです。
「先に進みましょう」
「それじゃあね」
 こうお話してでした。
 皆は一緒にでした、恵梨香の言葉を受けて井戸の底の地下道を通っていきました。暫く暗い道をグリンダの魔法の火を頼りに進んでいますと。
 外に出ました、そこは森の中でしたが恵梨香はそこに出てから皆に言いました。
「多分ね」
「ここがだね」
「出口だわ」
 恵梨香は木挽きの馬に笑顔で答えました。
「そう思うわ」
「そうだね、お屋敷から出たのは間違いないし」
「それじゃあね」
「その通りだよ」
 ここで、でした。皆に言ってくる声がしました。見れば。
 黒い犬がいました、引き締まった身体で狼を思わせます。その犬が皆の前にいて確かな声で言ってきました。
「ここが迷路の出口だよ」
「やっぱりそうなんだ」
「おめでとう、よく出られたね」
「全部この娘のお陰だよ」
 木挽きの馬は恵梨香を見つつ犬にお話しました。 
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