提督はBarにいる。
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
ホーネットと巡るブルネイ鎮守府探訪・1
前書き
サブタイを付けるとしたら、『妖怪現る』って所でしょうか?wいつもの雰囲気じゃないですが、そろそろシリアスはギャグの海に沈みますwww
※今回も「」は日本語、『』は英語というテイでお願いしますm(_ _)m
この鎮守府のエースだという金剛と、同じ国から来たという理由で選ばれたらしいアイオワとサラトガの案内で、この鎮守府の施設を巡る。これは着任早々またとない情報収集のチャンスね。
『ねぇホーネット、やっぱり工廠は後回しにしない?』
『何故?さっきも言ったけれど一番お世話になるかもしれない施設だもの、優先的にチェックしたいわ』
何故だか執拗にサラトガが引き留めてくるけれど、余程見られたくない物でもあるのかしら?アイオワと金剛は苦笑いしてるだけだし……もう、余計に気になるわ。なんて考え事をしながら歩いていたら、前から歩いてきた誰かとぶつかってしまった。
「sorry、考え事をしてて……」
「あ~、ダイジョブ、ダイジョブ。ちょっとぶつかっただけだし……っとと」
「それにしては貴女フラフラよ!?」
「なははははは!心配ないよぉ、これはただの千鳥足……ちょいと気持ち良すぎて足に来てるだけさ」
言われてみれば私とぶつかった彼女からは酷くアルコールの香りがする。
「ま~た昼間っから酔ってるんデスか?隼鷹」
「Hi、ジュンヨー!元気?」
「Hello♪」
「お~、オワさんにトガちゃんも居るじゃん!って、アタシにぶつかったのは噂の新人さんかい?」
「えぇ、ホーネットよ。よろしく」
「へ~ぇ、アタシは隼鷹。航空母艦だよ!宜しくな」
そう言って握手を交わす。
「ヘイ隼鷹、勤務中に酒は……」
「残念でした~、今日はアタシ非番なんだよ~ん。まぁ、昨日の晩から飲んでて今から寝るトコなんだけどさ!」
とフラフラしながら去っていく彼女の背中を見送りながら、気になった事を金剛に尋ねた。
『あんな状態で戦えるの?彼女』
『あれでもこの鎮守府の空母としては最先任なんです。普段の態度はアレですが、実力は確かですよ』
聞けば、今のカネシロ提督の体制になって最初に着任した空母が先程の彼女らしい。その長い経験値は推して知るべし、という事か。
『時間を取らせたわね。さぁ、早く工廠に向かいましょう?』
暫く歩いた後、目の前に巨大な倉庫の様な建物が出現する。中から工作機械の稼働する音がする……どうやら目的地の工廠に辿り着いたらしい。
『立派だなぁ……』
私の隣でサウスダコタがポカンと口を開けたまま建物を見上げている。確かに、アメリカではまだ艦娘の配備数が絶対的に少ないから艦娘の開発を行っているのはこんな工場の様な場所ではなく、もっと小さい規模の研究所のような場所だった。
『ここは昔、艦娘の量産化に向けての実験施設だった物を再利用して鎮守府にしていますからね。近隣の鎮守府に比べても工廠の設備は大きいのです』
『へぇ……』
そんな金剛の説明を受けながら眺めていると、
「つっかまえたぁ!明石さん、確保しました~♪」
「よっしゃでかしたバリ!そのまま身包みひっぺがしちゃえ!」
「アラホラサッサー!」
私の腰にいきなり女の子が抱き付いて来た。
『ちょ、ちょっと!?何なの貴女達は!』
『あちゃあ~……』
『やっぱりこうなりましたね……』
『アイオワ!サラトガ!?苦笑いしてないで助けてよ!』
『あ~……その娘達はですね』
「こぉらぁ~!淫乱ピンクに偽メロン!新人さんに迷惑かけるんじゃないかも!」
「淫乱ピンク……」
「に、偽メロン……」
更にもう一人、作業服を着た艦娘らしき女の子が現れた。しかも彼女の一言で私に抱き付いてきた2人が地面に膝を着いて項垂れてしまった。
『その娘達はウチの工廠の技術スタッフなんですよ』
『とっても優秀なのよ?』
『ちょっと……いえ、かなり趣味に走る所がありますがね』
「ほらほら、いつまでも落ち込んでないで新人さんに挨拶してくだサーイ!」
「あ、えぇと。工作艦の明石ですっ」
「軽巡の夕張よ、よろしくね」
「飛行艇母艦の秋津洲かも!よろしくかも!」
金剛の誘導で3人が私達に挨拶をしてくれた。でも……
(かも?かもって何なのかしら……duckの事じゃないわよね?)
「それで?2人はまたデスか」
「そう言われても金剛さん!新人さんの艤装は一刻も早く弄ってクセやら何やら把握しておかないと後から困るんですって!」
「そうですよぉ、これは新人さん達の為を思って……」
「で?本音は」
「「新機軸の艤装をバラしたい!」」
「やっぱりかも……ダメに決まってるでしょこのMADども!」
「え~!?そりゃないっスよアッシマーの姉御ぉ!」
「当たり前かも!それとアッシマーでも姉御でもないかも~!」
「だって工廠組の中じゃ一番錬度高いし」
「怒るとすぐ工具で殴ってくるし」
「「姉御やん」」
「うっ……人聞きの悪い事を言うんじゃないの!」
えぇと。この娘達はコメディアンの集団なのかしら?
『普段はふざけてますが、腕のいいエンジニアであり装備開発の研究者ですよ。私が保証します』
う~ん、この鎮守府の提督の妻が言うなら間違いないのかしら?
「改めて……ホーネットよ、よろしく」
「サウスダコタだ、よろしくな!」
「んで、早速なんですが艤装置いてけやオラァン!」
挨拶を交わしたらピンクの髪の……アカシ、だったかしら?その娘が飛び掛かろうとしてきて隣に立っていたアキツシマにスパナで頭を殴られていた。
「いい加減にするかもこの淫乱ピンク!」
「す、すんませんっした……」
『ねぇ、何でこの娘達はこんなに私の装備を触りたがっているの?』
『あ~……それは何というか、技術者のサガの様な物で』
『他国の艦娘の艤装、それも最新型を直に弄れる機会なんて中々無いですからね。少しでも吸収出来る部分があれば学びたいんですよ』
と、流暢な英語でさっき抱きついて来たユウバリという娘が話しかけてきた。
『貴女……英語喋れたの?』
『えぇまぁ、一応は。鎮守府の標準語が日本語なので、咄嗟には出てきませんでしたけど』
苦笑いを浮かべて、人差し指で頬を掻くユウバリ。多国籍軍の様相を見せてはいるが、ここは日本の海軍の鎮守府。主要な言葉が日本語なのもしょうがない事だろう。
『日本の空母は基本設計が変わらないので、目新しい技術は殆ど使われません。ですが海外の空母は1隻ずつ艤装の造りが違うんですよ』
『新技術を試しに実戦投入する、という名目ね』
『だからこそ、海外の技術を吸収したいんです。一度バラす事でメンテナンスの精度の向上にも繋がりますし……どうか』
そう言って深く頭を下げるユウバリ。その姿勢は、先程のふざけた態度とは真逆で、仕事に直向きな人間の姿に見えた。
『……ちゃんと元に戻してよ?』
そう言って肩にかけていたライフルケースを手渡す。私の艤装はライフルケース型の飛行甲板に、その中に艦載機の射出機であるライフルが仕舞われている。
『ありがとう!大事に弄らせてもらうわ』
『それより、日本の空母と海外の空母はコンセプトが違うのよね?その辺りを詳しく教えて欲しいわ』
『あ、じゃあ工廠の中を巡りながらでもお話しましょうか』
ピンクの髪のアカシが、私とユウバリの会話に混ざるように話しかけてきた。
『えぇ、お願いするわ』
『じゃあ此方にどうぞ』
これだけ立派な工廠だもの、何かありそうな気がするわ。
後書き
明けましておめでとうございますm(_ _)m2021年1発目の投稿になります。ホーネット着任の頃に書き始めたのにこんなにかかってしまいました(^_^;)いや~ペースがた落ち過ぎwww
まぁ、それでも止めるつもりは今のところ無いので気長にお待ちいただければと。
ページ上へ戻る