胸が邪魔
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第二章
「これがね」
「実際に持ってみるとなのね」
「重くて肩が凝って」
「それで邪魔なのね」
「そうなのね」
「そうよ、いいものじゃないわよ」
あくまでこう言うのだった、そうした話をしつつだ。
美名は着替え終えて部室を後にして家への帰路についた、するとだった。
時々道や電車の中で男達が胸を見た、美名はそれも嫌で。
家に帰って母の志都美に言った、母も胸が大きく顔は美名が不惑になった様な顔だ。
「何で私の胸ってね」
「大きいのっていうのね」
「九十もあるのよ」
「それで辛いっていうのね」
「正直いいと思ったことないわ」
晩ご飯のホッケが焼いたものを食べつつ話す。おかずは他にはまだ仕事から帰ってきていない父の好物芥子蓮根と納豆の味噌汁そして菊菜と人参の炒めものがある。
「本当にね」
「それはね」
母はその娘にこう言った。
「もうね」
「言ってもなのね」
「仕方ないでしょ」
「大きいことは仕方ないの」
「問題はそれをどうするかでしょ」
母は娘に食べつつ告げた。
「やっぱり」
「お母さんもそうだったの」
「お母さんが若い時は丁度巨乳のグラビアアイドルが人気で」
「今もよね」
「いや、今も言われてる位のね」
それこそというのだ。
「凄い人がいて」
「胸が大きいとなの」
「もうそれが絶対にいいってね」
「そう言われてたの」
「そう言う人が多かったのよ」
「そうだったの」
「そんな時代だったのよ」
こう娘に話した。
「本当にね」
「そうだったのね」
「そう、だからね」
「だから?」
「多分あんた以上に注目されてたし」
その大きな胸を震わせて言う。
「結構苦労もしたわよ」
「そうだったの」
「まあ幸い体操服がブルマから半ズボンとかに変わっていっていた時代だったから」
胸は四十になっても型崩れしていない、見事なものだ。
「だからね」
「体育の時はなのね」
「いやらしい目で見られなかったけれどね」
「胸を見られてたんじゃ」
「胸だけで済んだのよ、ブルマだったらね」
舌がその体操服ならというのだ。
「デザイン的にショーツと変わらないでしょ」
「みたいね、私実物知らないけれど」
美名は実際にブルマを見たことがない、たまにアニメやゲームや漫画で観る位で現実のものとは認識していない。
「何かね」
「下着みたいでしょ」
「そうよね」
「それじゃなかったから」
体操服はというのだ。
「その分ましだったけれど」
「そうだったの」
「けれど胸は見られていたから」
だからだというのだ。
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