拾った犬は

「いいわ」
「家に置いていいの」
「うちで飼うのは嫌だけれど」　　
　それでもというのだ。
「そのままだと確かにね」
「保健所に連れて行かれるから」
「命は大切にしないと駄目っていつも言ってるでしょ」
　母は娘に返した。
「そうでしょ」
「うん、お母さんはね」
「ペットは嫌でもね」
　それでもというのだ。
「うちで少しの間引き取って」
「それで飼い主探すのはいいのね」
「それはね、じゃあボランティア団体にはお母さんがお話して」
　里親募集のそちらにというのだ。
「それでね」
「そのうえでなの」
「探すわ、あとツイッターでもね」
　これも使ってというのだ。
「探してもらうわ」
「それじゃあね」
　こう話してそうしてだった。　
　家に帰ってきたサラリーマンをしている父の智和、黒髪で四角い眼鏡をかけた一七二程の背の彼にも事情を話すと彼はこう言った。
「そうか、じゃあな」
「暫くうちに置いていいの」
「ああ、この子だな」
　父は娘に応えつつその犬を見て話した。
「そうだな」
「そうなの、この子なの」
「パグだな」
　その犬を見てさらに言った。
「この子は」
「パグって」
「犬の種類だよ」
「そうなの」
「お母さんはすぐにわかったわ」
　母はここですぐに言ってきた。
「この子がパグだって」
「そうなの」
「それで女の子ね、あとね」
「あと？」
「随分汚れているから今からお風呂に入れるわ」
　そうするというのだ。
「これからね」
「お母さんがなの」
「女の子が汚いままだと可哀想でしょ」
　だからだというのだ。
「今から洗ってあげるわ」
「そうするの」
「そう、今からね」
　こう言ってだった。
　母はその犬をお風呂場に連れて行って洗った、すると。
　犬は白い毛で耳と鼻が黒い雌のパグだった、両親の言う通りだった。パグは利久が毛が白いのでユキコと名付けてだった。　
　可愛がりはじめ里親募集をした、そして発見した場所もツイッター等で公表した。そうして半月位家族として暮らしていたが。
　明菜が家に帰って来た時にだ、来客が来ていた。その来客はというと。
　見たことのない人だった、茶色のショートヘアで楚々とした顔だった、明菜の全く知らない人であった。