魔王だけど魔界滅ぼすことにしました。
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第一部 勇者パーティ結成!
勇者は魔王と仲間になる。 前編
始まりの町、フラムス
ルドラside
草原を通りすぎたルドラと執事は始まりの町、フラムスに着いていた。
ここ、フラムスは露天や屋台が並ぶ大通りが有名な町である。露天には掘り出し物があり、わざわざ来る人がいるほどだ。昼間も賑やかだが、夜になるとそれの比でない位に賑わう。
「なかなかいい町だな。夜でも活気があっていいね。」
「まずは部屋を確保してしまいましょう。食事や積もる話はそれからです。」
「もう話すことなんてないと思うけどなー。向こうのことは奴等に任せたし。」
・・・その頃の魔界・・・
「大変です!魔王様が部屋にいません!!」
「建物内もくまなく探すんだ!」
「隊長、魔王様の部屋から書き置きのようなものが!」
「なんと書いてある!」
「えー・・・『ポテチを買いにいってくる。当分帰らないのでよろしく♪』、とだけ書いてあります!」
「何だって!?・・・一先ず議会にご報告だ!」
その報告を受けた議員たちは直ちに緊急会議を開き、魔王不在という問題について話し合っていた。
各幹部達は皆疲れた顔で、机を指で叩いたり胃の辺りを押さえたりしている人が見受けられる。明らかに疲れがたまっている様子だった。
「どうにか見つけることは出来んのかね?」
「無理でしょうな。魔王様の錯乱魔法の凄さは知っているでしょう?」
「この町にはもういないようだ。町の外まで逃げられたとすると見つけるのは困難だぞ。魔界の広さを考えると100個師団でも足りないだろう。」
「このままでは魔王様が不在のままになってしまう。何か目撃証言とかはないのか?」
「魔王様に仕えていた執事は同じく失踪中、二人いたメイドもなにも話さないため地下牢に入れてある。メイドにまで逃げられたらたまらんからな。」
「では、メイドに操作系の魔法をかける準備をしておこう。それが最後の希望だろう。」
「もしなにも知らんかったらどうする?代理を立てておくか?」
「そうだな、そうなると誰にするのかも決めんとな・・・」
「「「「「「はぁ・・・」」」」」」
皆のため息が重なった。
一方、魔界を騒がした張本人はそんなことを露にも思わず、宿屋のベッドの上ではしゃいでいた。
「フッカフカだな、このソファー!人間界すげー!」
「ルドラ様、それはソファーでなくベッドです。」
「こんなちっちゃいのがベッド!?なんだー・・・」
「そんな調子で人間界で生きていけるのですか?それよりも早く魔界に帰った方が快適ですよ。」
「いや、それはない。」
そんな会話を中断するようにドアが開かれた。そこにいたのは宿屋の主人だった。
たっぷりとした腹が特徴的な温和な雰囲気のおじさんである。
「ルドラ様、お部屋は如何でしょうか?」
どうやら各部屋を回り歩いているようだ。こういうことは小さい宿屋ならではであろう。
「んー、まあいんじゃね。」
「それは良かった。これから外出なさるのでしたら鍵は受け付けに預けてくださいませ。」
「ん、オーケー。」
「この近くには何がありますか?」
執事が主人に問う。
「はい。食事できる所ですと屋台がありますね。食べ歩きが出来る位には揃っております。それ以外だと町の西の入り口の近くに『ミシナ』という食堂ぐらいかと。」
「食事処以外には?」
「町の中心近くに酒場が、武器や防具は屋台と同じ所に露店が出ております。この町だとそのくらいですな。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「いえいえ。それではごゆっくり。」
主人はぺこりと頭を下げて部屋を出て行った。
「ではルドラ様。屋台と食堂どちらにしますか?」
「なあ、屋台ってなんだ?」
「そこからですか・・・」
そういえば魔界には屋台は少なかったな、と思いつつルドラに説明するのであった。
後書き
切りが悪いですが丁度いいところまでやると長すぎるのでここで一回区切ります。
次は勇者サイドです。
あと、この長さだと短いでしょうか?もう少し長い方がいいでしょうか?
教えていただけると嬉しいです。
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