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X Dimensions SoldierS Re: Xros Rays

作者:ラフェル
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古里炎真・コズモルート
  第8話B ユニゾン炸裂! トゥルイエモンとレキスモン

 
前書き
今回はギャグ要素が強めに出来上がったと思います(^◇^;)

それでは最新話よろしくお願いします^_^ 

 
ピョコモンの村で充分な休息を得た炎真達はピョコモン達と別れ、クロアグモン・ピヨモン・ガオモンを進化させて再び移動を再開する。

ピヨモンがバードラモンに進化できるようになったことで運ぶ人数の割り振りが変わり、ブラックウォーグレイモンはなのは、バードラモンは翼・奏・はやて、ガオガモンはギンガ・調・切歌とそれぞれ運び、炎真はハイパー化して単独で飛翔していた。


なのは「結局フェイトちゃんや響ちゃん達の情報は得られなかったね」

翼「ええ。ピョコモン達に聞いても見ていないと言うのだから仕方ない」

はやて「せやな。まあピョコモン達から食料と水を分けて貰って補給できただけでも良しとしよう♪」

奏「ああ、そうだな♪」

切歌「調、ピョコモン達から分けて貰った肉の種を早く植えたいデスね♪」

調「そうだね、切ちゃん。早く元の世界に戻って試してみたい♪」

ギンガ「ふふふ、私も♪」


ピョコモンの村では逸れた仲間達の情報は得られなかったが、メラモンの脅威から村を守ってくれた礼としてピョコモン達から食料と水、そして肉の種を分けて貰って充分な補給ができたからか、先程よりも元気な様子で荒野を移動すること2時間後……


超炎真「! あれは!」

奏「森だ!」


前方に緑の木々が立ち並ぶ森が見えて来るのだった。


切歌「やっとこの暑い荒野ともおさらばデース♪」

調「そうだね♪」


調と切歌は暑い荒野を抜けられることに喜んでいた。


はやて「ほな、あそこからは歩きで移動しようか。バードラモン達の体力を温存せんといかんしね♪」

翼「ああ、そうしよう♪」


炎真達は荒野を抜け、森の入口辺りに到着するとブラックウォーグレイモン、バードラモン、ガオガモンを退化、炎真もハイパー化を解き、徒歩で森の中を移動するのだった……
















森の中を進むこと1時間後……


炎真「ふう、だいぶ涼しくなって来ましたね♪」

ギンガ「そうね♪ 荒野からだいぶ離れたからなのもあるけど、日も落ち始め来ているわね」

なのは「もう夕方なんだ……そろそろ野宿できる場所を探さないとね」

はやて「せやな。ええ場所は無いもんかなぁ……」


夕方が近くなって来たので、野宿できる場所を探し始める炎真達。

そんな中……


切歌「およ?」

調「? どうしたの、切ちゃん?」

切歌「調、あそこに自販機あるデスよ!♪」

調「え?」


切歌が何かを見つけたらしく、彼女が指差した方へ視線を向けると、森の中に不釣り合いな自販機があった。


炎真「な、何でここに自販機が……って、今更聞くのは野暮ですかね……?」

はやて「……せやな、デジタルワールドは何でもありやし」

ギンガ「そ、その結論は極論過ぎるような……」

なのは「けど、何故かそれで納得しちゃうんだよね……」

翼「あの自販機、電気が通っているのだろうか……?」

奏「うーん、どうかなぁ……」

調「切ちゃん、自販機で飲み物を買いたいの?」

切歌「その通りデース! ジュースが飲めるデース!♪」


切歌はそう言って自販機に向かおうとするが……


調「でも切ちゃん、今お金持ってるの? 確かコテージに置いて来ちゃったと思うけど……」

切歌「あ…………あああああああっ!! そうだったデース!!!」


調に指摘され、切歌は所持金が元の世界のコテージに置いてあることを思い出す(笑)


切歌「し、調は持っていたりしないデスか……?」

調「私も切ちゃんと同じでコテージに置いて来ちゃったから、今は持ってないよ」

切歌「つ、翼さん達は……?」

翼「すまない、暁……私も同じだ」

なのは「にゃはは、私も……」

はやて「ごめんなぁ、私もや……」

ギンガ「同じく……」

奏「ええと……つい最近まで死人だったあたしに至っては論外だな……」

切歌「(ガクッ!)デスよね……」


調や翼達にお金を借りようと考えたが、彼女達も自身と同じ状況であることに肩を落とす切歌。

そこへ……


炎真「あ、僕が出しましょうか? ジュース1本買うお金ぐらいならありますし……」


唯一お金を持っている炎真がそう申し出た。


切歌「ほ、本当デスか!?」

炎真「はい♪」

調「良かったね、切ちゃん♪」

切歌「炎真、ありがとうデース♪ それじゃあ……」


ご機嫌な様子で自販機のジュースを選ぼうとした……その時、突如切歌の目の前にある自販機が真っ二つに割れ、空洞な中身をさらけ出した。


切歌「え!?」

調「じ、自販機が割れた!?」


そして、商品の缶など無い機械の中に鎮座していたのは……


?「は〜い、そこのお姉ちゃん達。元気~?♪」

切歌「ぎょえええええ!!?」

調「な、ナメクジ!?」


生理的に受け付けられそうに無い外見をした、緑色のナメクジのようなデジモンであった。


アグモン(S)『こ、こいつは、ヌメモンだ!』

奏「ぬ、ヌメモン?」

ピコデビモン『暗くてジメジメしたトコが好きで、知性も教養もない成熟期のデジモンだ』

なのは「成熟期と言うことは、クロアグモン達より強いの……?」

ピヨモン『ううん、ヌメモンは私達を含めた成長期よりも遥かに弱いわ……弱いんだけど、汚いの……』

なのは「き、汚いのぉ!?」

翼「なるほど、弱いが故に姑息な手段を使う卑劣極まりないデジモンと言う訳か……」

ギンガ「いや、知性も教養も無いんですから、姑息な手段を考えるような頭は無いんじゃないですか?」

はやて「ギンガ、さり気無く酷いこと言ってない?」

ガオモン『マスター、ヌメモンのことは知らなくて良いことです……と言うか、知って欲しくありません』

クロアグモン『それよりも早くこの場から離脱するぞ。俺も奴の相手だけは御免被る』

アグモン(S)・ピヨモン・ピコデビモン・ガオモン『異議なし』

なのは・奏・翼・はやて・ギンガ『え?』


アグモン(S)達は疎かクロアグモンまでもが目の前にいる成熟期の軟体型デジモンーー『ヌメモン』を避けようとしているのかが分からず、なのは達は疑問符を浮かべるばかりであった。

そして、ヌメモンはと言うと……


ヌメモン「そこの可愛いお姉ちゃん達、オイラとデ~トしない?♪」

調・切歌『え"……っ?』

炎真「ええええっ!?(こ、このデジモン、調さんと切歌さんをナンパしてるんですけどーーー!?)」


なんと調と切歌をナンパし出し、炎真はそのことに内心ツッコミを入れていた(笑)

一方で、ヌメモンからのデートの誘いに調と切歌は顔を真っ青にする。

これがとある並行世界の選ばれし子供である少女であったら怒鳴り付けるだろうが、2人は違う。

調と切歌から出た言葉は……


調・切歌『ええと……ごめんなさい(デス)』

ヌメモン「ガーーーンッ!!」


少し申し訳なそうな雰囲気を出しながら、はっきりデートの誘いを断わるのだった(笑)

調と切歌の拒否の言葉にヌメモンはショックを受けて固まったが……


ヌメモン「なるほど……」

調・切歌『?』

炎真(何か嫌な予感が……)


直ぐに硬直を解くと同時に、何かを納得したような呟きをするヌメモンに、調と切歌は疑問符を浮かべ、炎真は嫌な予感を感じていた。

そして、ヌメモンは……


ヌメモン「これがツンデレって奴か!! お姉ちゃん達、俺とデートしてえええ!!!」

調「嫌ああああああああああっ!!!」

切歌「お断りデーーーーースッ!!!」

炎真「どう考えたらそんな都合の良い解釈ができるの!?」


都合のいい脳内補正で調と切歌の言葉をプラス方向に受け止めたヌメモンのデートの誘いに対し、調と切歌は全身全霊で拒否し、炎真はツッコミを入れるのだった(笑)


切歌「調は兎も角、あたしはツンデレキャラじゃないデスよ〜〜!!」

調「ちょっと切ちゃん、それどう意味!? 私だってツンデレキャラじゃないよ! ツンデレキャラはクリス先輩だよ!」

翼「うむ、確かに雪音はツンデレキャラだな」

はやて「……本人が聞いたら激怒しそうな会話やな」

なのは「にゃはは……」








クリス「えっくしぶッ! だ、誰がツンデレだあああ!?///」

ツナ「く、クリスさん、誰に怒ってるんですか?」

クリス「あ……悪い、誰かにツンデレキャラって言われたような気がして……大方、あのバカか後輩達、後は先輩辺りが噂してんだろうな、まったく……!///」

アンジュ「でも、あんたがツンデレキャラなのは間違って無いでしょ?」

クリス「はあっ!?///」

マリア「なるほど、愛されキャラにツンデレ要素は必要不可欠と言う訳ね」

クリス「ふざけんな!! あたしはツンデレじゃねえし、愛されキャラでもねえよ!! くそっ、先輩は兎も角、あのバカと後輩共は合流したらシバいてやるーーーーー!!///」








ゾクッ!

切歌「! な、何か背筋に悪寒を感じたデスけど、気の所為デスか……?」

調「……気の所為じゃないかも、私も悪寒を感じた……たぶん、クリス先輩の怒りを買っちゃったかも……」

切歌「り、理不尽デーーース!?」

ヌメモン達『お姉ちゃん達!! 俺とデートしてえええええ!!!』

調「嫌ああああああああああっ!!!」

切歌「勘弁して欲しいデーーーーースッ!!!」


調と切歌は現在デートの誘いをして来るヌメモン……いや、ヌメモンの大群から逃げていた。

どうやら他の自動販売機から他のヌメモン達がゴキ〇リの如く次々に現れ、調と切歌を追いかけ回していた。


切歌「え、炎真〜〜!!」

調「た、助けて!!」

炎真「え、ええええっ!?///」


ヌメモンから逃げる調と切歌に助けを求められ、抱き付かれた炎真は顔を真っ赤に慌てふためていた。

それを見たヌメモン達は……


ヌメモンA「てんめええええ!! なにお姉ちゃん達に抱き付かれてんだコノヤローーー!!!」

ヌメモンB「俺達の恋路を邪魔する恋敵には制裁だ!!」

ヌメモンC「これでもくらえーーー!!!」

炎真「うわぁっ!?」


ヌメモンの一体が炎真の顔面に向かって『何か』を投げ付け、炎真は反射的にそれを回避する。

ヌメモンの投げた『何か』は炎真の後ろにあった1本の木にベチャッと言う音を立てて当たった。

炎真達は恐る恐る木に直撃したヌメモンが投げたものを確認すると……


炎真「んなーーーーー!!?」

調「ええええええっ!!?」

切歌「デデーーーーースッ!!?」


炎真達が顔を真っ青にする程の『アレ』であった。

え? アレじゃわかんないって?

すみません、察してください(滝汗)

ヌメモンの攻撃であるアレについては、いくら小説とは言え明確に書くのは衛生的に良くないので(滝汗)


なのは「く、クロアグモン達が言っていた汚いって、このことだったの!?」

はやて「さ、最低や、このデジモン達!!」

翼「や、やはり卑劣極まりないデジモンではないか!!」

ギンガ「た、確かに……」

奏「あ、アグモン(S)達が相手にしたく無い理由が理解できたな……理解したくなかったけど……」


なのは達も何故ヌメモン達を相手にしたくなかったのかを理解するのだった……不本意ではあるが(汗)


ヌメモン達『覚悟しやがれ恋敵ーーー!!!』

ヌメモン達『そして、お姉ちゃん達!! 俺とデートしてえええええ!!!』

炎真「ふ、不幸だあああああああっ!!!」

調「嫌ああああああああああっ!!!」

切歌「こっち来るなデーーーーースッ!!!」


ヌメモン達の標的にされた炎真・調・切歌の3人は全速力で走り出し、追って来るヌメモン達から逃げるべく森の奥へと向かって行く。


なのは「あ! 炎真君達が!」

はやて「あかん! ただでさえ他の皆と逸れてるのに、あの3人とも逸れる訳には……!」

翼「すぐに追うぞ!」

奏「ああ!」

ギンガ「了解!」


なのは達はヌメモン達から逃げる炎真達の後を追い、森の奥へと進んでいく……
















それから暫くして、ヌメモン達から逃げながら森の中を進む炎真・調・切歌の3人は……


炎真「はあ、はあ、はあ……ぬ、ヌメモン達は……?」

調「はあ、はあ、はあ……い、いない、何とか撒けたみたい……」

切歌「はあ、はあ、はあ……た、助かったデース……あ、あんなデジモンとデートだなんて、死んでもごめんデスよ……」

調「うん、激しく同感」

炎真「あはは……あ、今気付いたんですけど、僕達町の中にいるみたいですね」

調「あ、そう言えばそうだね。ヌメモン達から逃げるのに必死で気が付かなかったけど……」

切歌「何か遊園地みたいな町デース♪」


ヌメモン達から逃げることに必死で気付くのが遅れたが、いつの間にか遊園地のような町の中にいるのだった。

1番高い場所には三角柱の赤い屋根と大きな窓をいくつも持った白い城が立っており、観覧車やジェットコースター、メリーゴーランドといった様々なアトラクションや色々な色の風船が空に上っていくのがここからでも見える上、西洋風の素敵な街並みを再現した通りが炎真達を待っていた。

幼少期は米国の聖遺物研究機関『F.I.S.』で『フィーネ』の魂の器を見出す観測対象の孤児『レセプターチルドレン』として過ごして来た調と切歌は遊園地に来たことが無いからか、目の前に見える町の光景に目を輝かせていた。

一方、炎真は実の家族がDスペードに殺されるより前に、家族と一緒に遊園地へ来たことはあるが一度だけで、Dスペードに家族を殺された後はシモンファミリーの皆と泥水を啜るような苦しい生活を送って来たことから遊園地に行く余裕も無かったので、久しぶりに見る遊園地の光景に懐かしさを感じていた。

そんな時……


炎真「っ!」


炎真は何かを感じ、後方へと視線を向けていた。


調「炎真?」

切歌「どうしたデスか?」

炎真「……何かが来る」

調「え!?」

切歌「ま、まさか、ヌメモン達デスか!?」

炎真「いや、違う。それよりも危険な何かが……」


そこへ……


ヌメモン「そこのお姉ちゃん達!」

切歌「ヒィッ!?」

調「ぬ、ヌメモン!?」


1体のヌメモンが物陰から現れたのだ。


ヌメモン「ここに隠れな! 奴が来るぞ!」


ヌメモンは炎真達にこちらに来るように手招き?していた。


炎真「……彼の言う通り、ここは隠れよう」

切歌「え、炎真!?」

調「で、でも……!」

炎真「今は僕を信じて! 早く!」

調「う、うん」

切歌「わ、わかったデス」


調と切歌は先程のことがあってヌメモンに良い印象を抱いていないので躊躇するが、炎真に強く言われて渋々了承するのだった。

そして、炎真達が隠れたと同時に黄色い熊のぬいぐるみのようなデジモンが現れた。


炎真「あれは、デジモンなの……?」

ギルモン『うん、そうだよ』

ロップモン『あのデジモンはもんざえモン、完全体のパペット型デジモンよ』

調「完全体?」

ルナモン『成熟期デジモンがさらに進化したクラスのデジモンで、わかりやすく言えば成熟期のグラウモン達よりも強い格上の存在よ』

切歌「あ、あんなぬいぐるみのような見た目で、グラウモン達より強いんデスか……?」


物陰に隠れている炎真達が小声で会話する中、完全体のパペット型デジモンーー『もんざえモン』は……


もんざえモン「おもちゃの町へようこそ。おもちゃを愛し、おもちゃに愛されるおもちゃの町の町長ですよ」


まるで壊れたおもちゃのように、不気味な雰囲気を醸し出しながらそう呟く。


調「あれ、良いデジモンなの……?」

ロップモン『その筈……なんだけど……』

ヌメモン「騙されるな、最近奴はどうも様子がおかしいんだ……」


ヌメモンは調達を注意する。


炎真「何があったの?」

ヌメモン「さあな。詳しくはわからないが、この町に黒い歯車が現れてからあんな風になったみたいだな。皆そんなもんざえモンが怖くなって、このおもちゃの町には誰も近づかなくなったんだ」

炎真達『っ!』


ヌメモンの口から出た黒い歯車と言う単語に、炎真達は目を見開く。

何故なら黒い歯車はピョコモンの村で出会ったメラモンを暴走させる原因となったものであるからだ。


調「じゃあ、もんざえモンがおかしくなったのって……」

切歌「黒い歯車に操られているってことデスか……?」

炎真「……確証は無いけど、その可能性は高そうだね」


もんざえモンが黒い歯車に操られている可能性があると推測する炎真達。

一方、もんざえモンは……


もんざえモン「皆と一緒に遊びましょう」


そう言いながら、炎真達がいる場所を通り過ぎるのだった。


切歌「行っちゃったデスね……」

炎真「さっきもんざえモンは皆と一緒にって言っていた……もしかしたら、なのはさんや奏さん達もこのおもちゃの町に……!」

調「探しに行こう」

ヌメモン「おもちゃの町で俺とデートか!?」

調・切歌『……ごめんなさい(デス)』


調と切歌は頭を下げると同時に駆け出し、炎真も苦笑しながらその後に続く。


ヌメモン「ハッキリ言うお姉ちゃん達だな……でも……そこがまた堪らなーい!! 待ってくれよ、お姉ちゃん達ぃぃぃぃっ!!!」


炎真達……特に調と切歌はヌメモンの声を無視しながら走り続ける。

調と切歌のザババコンビが何故か汚物系と呼ばれているデジモン達から異様に好かれて、モテモテであるという本人達からすれば失神ものの事実が判明した瞬間である。

もちろんこの時まだ調と切歌は、自分達の恐るべき体質について知るはずも無かった……
















炎真達はギルモン達パートナーデジモンをデジヴァイスから出し、ギルモンの嗅覚や、ロップモンとルナモンの聴覚を駆使しながらおもちゃの町を探索すること15分後……


炎真「! あそこにいるのは……なのはさん!」


ベンチに座っているなのはを見つけ、駆け寄ると……


なのは「……」


なのはの瞳は何も映してはおらず、まるで人形のようであった。


炎真「な、なのはさん……?」


炎真は人形のようになってしまったなのはを見て、寒気を感じるのだった。

その後見付けた奏、はやて、翼、ギンガもなのはと同じ状態であった。


ルナモン「皆、感情を取られてしまったみたいだわ……」

ロップモン「まるで人形のようね……」


ルナモンとロップモンが不安そうになのは達を見つめながら言う。


切歌「皆、一体どうしちゃったんデスか……?」

調「もしかして、もんざえモンの仕業かな……?」

炎真「その可能性はありそうですね……ギルモン、デジヴァイスからクロアグモンやアグモン(S)達の匂いはする?」

ギルモン「(くんくんっ)ううん、皆デジヴァイスの中にいないみたい……」

炎真「そっか……」

調「もしかして、なのはさん達とは別の場所に捕まってるんじゃ……」

切歌「急いで探すデスよ!」


炎真達はなのは達を一箇所に集めてベンチに座らせた後、クロアグモンやアグモン(S)達を探すべく再び町の中を探索する……
















暫くして歩いていると、ロップモンとルナモンの耳に聞き覚えのある声が聞こえ、その場所へ移動すると……


炎真「アグモン(S)!? それにクロアグモン達も!」

アグモン(S)「炎真!」

クロアグモン「無事だったのか!?」


薄暗い小さな家の中のおもちゃ箱に押し込められているクロアグモン・アグモン(S)・ピコデビモン・ピヨモン・ガオモン達を見つけるのだった。


炎真「うん。調さんと切歌さん、ロップモンとルナモンも一緒だよ」

調「さっき、なのはさんや奏さん達も見つけたんだけど……」

切歌「皆、感情を失って人形みたいになってて……一体、何があったんデスか?」

ピコデビモン「それは……」


炎真達はアグモン(S)に何があったのかを聞いたところ、おもちゃの町に着いたと同時にもんざえモンに不意を突かれる形で襲撃され、もんざえモンの攻撃を受けたなのはや奏達は感情を失って人形のようになってしまい、それによって進化できなくなってしまったクロアグモンやアグモン(S)達は完全体であるもんざえモンの前に歯が立たず敗れ、ここに囚われてしまったのだった。


アグモン(S)「奏の姐御達はもんざえモンにやられちまったんだ……」

クロアグモン「俺が付いていながらこのザマだ……情けない」


アグモン(S)とクロアグモンは悔しそうにそう言う。


ピヨモン「お願い、炎真、調、切歌! もんざえモンを倒して、皆を助けて!!」

切歌「ええええっ!? グラウモン達より強い完全体のデジモン相手にデスか!?」

調「炎真とギルモンは兎も角、私や切ちゃんは今ギアを纏えないから戦力外だし、ロップモンとルナモンに至っては進化ができない。もんざえモンに勝つなんて……」

ロップモン・ルナモン『……』


調の言葉に、ロップモンとルナモンは進化できない事実に歯痒さを感じていた。


炎真「兎に角もんざえモンの相手は僕とギルモンがするから、調さんと切歌さんはクロアグモン達を……」


炎真がもんざえモンの相手は自分とギルモンがし、調と切歌はクロアグモン達を助けるよう言おうとした……そんな時、突如後ろからどすん、どすんと言う大きな足音が響いてきた。


炎真達『っ!』


その音に炎真達はまさかと思い、恐る恐る背後を見遣ると……


もんざえモン「ようこそ、いらっしゃいました。ここはおもちゃの町、どうぞごゆっくり楽しんでいってください」

炎真「も、もんざえモン!?」


そこにはもんざえモンがいたのだった。

そして、もんざえモンは……


もんざえモン「ラブリーアタック!!」

調・切歌『っ!?』


調と切歌に向けて必殺技である赤いハートマークを放つ。


炎真「危ない!!」

調・切歌『きゃあっ!?』


炎真は咄嗟に2人は突き飛ばすが……


炎真「うあああああああっ!!?」

ギルモン・調・切歌・ロップモン・ルナモン『炎真!!』


代わりに炎真がもんざえモンの必殺技を受けてしまうのだった。

そして、炎真は……


炎真「…………」


なのは達と同じように感情を失い、人形のようになってしまうのだった。


ルナモン「そ、そんな……」

ロップモン「え、炎真まで……」

調「わ、私達を庇って……」

切歌「……こんなの……こんなの無いデスよ!!」

ギルモン「よくも……よくも炎真をおおおおおおっ!!!」

ガオモン「よせ、ギルモン!! 1人では無理だ!!」


ガオモンが静止の声を上げるが、最愛のパートナーをやられた怒りで闘争本能が剥き出しの状態になっているギルモンには聞こえず、ギルモンはもんざえモンに向かって行く。


ギルモン「ファイアーボール!!」


ギルモンはもんざえモンに必殺技の火炎弾を直撃させるが、もんざえモンは平然としていた。

それでもギルモンはファイアーボールを連続で放ちながらもんざえモンに接近し……


ギルモン「ロックブレイカー!!」


鋭い爪による攻撃を仕掛けるが……


もんざえモン「ラブリーアタック!!」

ギルモン「うわああっ!?」


もんざえモンは先程炎真に繰り出したのとは違う青いハートマークを放ち、ギルモンを風船の中に閉じ込めた。

風船の中に閉じ込められたギルモンはファイアーボールやロックブレイカーで破壊しようとするが、まったく壊れる気配が無かった。


調「そんな、ギルモンまで……」

切歌「どうして……どうして、こんな酷いことをするデスか!? もんざえモンはおもちゃの町の町長なんデスよね!? 何で皆を酷い目に合わせるのデスか!?」

もんざえモン「酷い目に合わせているのは、皆さんの方でしょう? おもちゃを買ってもらっても、飽きたらすぐに捨ててしまう。そんな子供達が許せないのです。だから、そんな悪い子には感情を奪っておもちゃのおもちゃになって貰います。勿論、皆さんにもなって貰いましょう。寂しくないですよ、皆一緒ですから」

切歌「……おもちゃを大事にできない人達を許せないと思う気持ちはわからなくも無いデス……でも、だからって皆の感情を奪って、おもちゃにして良い理由にはならないデスよ!」

調「切ちゃん……うん、そうだね。どんな理由があっても、人の感情を奪ったことを正当化なんてできない!」


もんざえモンの言葉に、調と切歌は闘志を漲らせて反論する。


調「ロップモン!」

切歌「ルナモン!」

調・切歌『皆の為にも、何としてももんざえモンを倒そう/倒すデス!!』

ロップモン「ええ! ブレイジングアイス!!」

ルナモン「勿論よ! ティアーショット!!」


調と切歌の決意に応えるようにロップモンとルナモンはそれぞれ必殺技を放ち、もんざえモンに命中させるが、やはり成長期と完全体の差は大きいのかダメージを与えることができずにいた。


調「ロップモン、黒い歯車を探して!」

切歌「さっきのヌメモンの話が本当なら、もんざえモンの体の何処かに刺さっている筈デスよ、ルナモン!」

ロップモン「わかったわ! ブレイジングアイス!!」

ルナモン「任せて! ティアーショット!!」


ロップモンとルナモンは必殺技を連続で放ちながらもんざえモンの周りを動き回り、黒い歯車を探していた。


もんざえモン「ラブリーアタック!!」


もんざえモンは先程ギルモンを捕まえた青いハートマークをロップモンとルナモンに向けて放つ。

ロップモンとルナモンはその攻撃を受け無いよう躱して行くが、もんざえモンの攻撃を躱すのに精一杯で黒い歯車を探すどころでは無かった。


切歌「このままじゃ、ルナモンとロップモンがヤバいデスよ!」

調「何とか打開策を見つけないと……!」


そんな時であった。


?『俺達に任せとけええええ!!』

調・切歌『え?』


後ろからした声に調と切歌は振り向いた。

そこにいたのはヌメモンの大群であった。

ヌメモン達はもんざえモンに向かって飛び出すと……


ヌメモン達『行けえええええっ!!』


もんざえモンに向かって次々と飛んで行くアレのいくつかは、べしゃっともんざえモンの身体で潰れた……助けて貰ったのに手放しに喜べないのは何故だろう?

囚われているギルモンやクロアグモン達は微妙な表情を浮かべていた。


調「………ヌメモンが、私達のために戦ってくれてる」

切歌「アレを投げるしか取り柄が無いのに、あたし達の為に戦ってくれているデス……!」

ロップモン「根性無しで、ヘタレな上に変態で……」

ルナモン「救いようの無い汚物デジモンのヌメモンが……!」

ギルモン「えー……」

クロアグモン「お前達……ヌメモン達を褒めてるのか? それとも貶しているのか?」

ピコデビモン(と言うより、ヌメモンのアレは取り柄と言っていいのか……?)


しかし、ヌメモン達がもんざえモンに敵う筈も無く、もんざえモンの必殺技である青いハートマークが無情にもヌメモン達を捕らえ、次々に風船の中に閉じ込めていく。

だが、ヌメモン達のその勇敢な姿に応えなければならないと感じた調と切歌は……


調「ロップモン」

切歌「ルナモン」

ロップモン・ルナモン『何?』

切歌「あたし達は今でもヌメモン達を好きになれないデス……でも!」

調「例え敵わなくても、私達を助けようとしてくれたヌメモンのあの勇気には応えたい!」

ロップモン「ええ……!」

ルナモン「そうね……!」

調・切歌『炎真やヌメモン達、そして皆の為にも……!』

ロップモン・ルナモン『絶対に負けられない!!』


調とロップモン、切歌とルナモンの強い決意に呼応するかのように……


ドクンッ!

調・切歌『っ!』


調と切歌は一瞬何かが鼓動するような感覚を感じた直後に、調と切歌のデジヴァイスから眩い光が放たれる。


調「っ! 私達のデジヴァイスが……!」

切歌「輝いてるデスよ!」


それと同時に……


ロップモン「体の奥から……!」

ルナモン「力が、漲って来る……!」


ロップモンとルナモンの体が輝き出し、体内から大きな力が漲ってくるのを感じていた。

そして、ロップモンとルナモンは……


《挿入歌:brave heart / Be The Winners》
※お好きな方を脳内BGMとして再生してください。

ロップモン→トゥルイエモン「ロップモン、進化ーーー!! トゥルイエモン!!」

ルナモン→レキスモン「ルナモン、進化ーーー!! レキスモン!!」


ロップモンは両腕に爪が折り畳まれているガントレット状の武器『兎角鉄爪(とかくてっそう)』を装備し、武闘家のような道着を身に纏い、独自で編み出した拳法『兎牙拳』を使うロップモンの面影を残す成熟期の獣人型デジモンーー『トゥルイエモン』へ、ルナモンは背中には紫の突起が生え、顔に鉄面、両手に甲の部分に三日月があしらわれたグローブ『ムーングローブ』を装着し、驚異的なジャンプ力と素早い動きで敵を翻弄する、ルナモンの面影を残す成熟期の獣人型デジモンーー『レキスモン』へと、それぞれ進化を遂げた。


調「ロップモンが……!」

切歌「ルナモンが……!」

調・切歌『進化した(デス)!』


調と切歌はロップモンとルナモンが進化したトゥルイエモンとレキスモンの姿を見て、嬉しそうな笑みを浮かべていた。


トゥルイエモン「これなら!!」

レキスモン「やれる!!」


トゥルイエモンとレキスモンは同時に駆け出し、素早い動きでもんざえモンの周りを駆け回る。

もんざえモンは目からビームを放つが、トゥルイエモンとレキスモンには擦りもしない。

パワーではもんざえモンに分があるが、その反面スピードではトゥルイエモンとレキスモンの方が上である。


レキスモン「ムーンナイトボム!!」

もんざえモン「ぬおお……っ!?」


レキスモンは両手のムーングローブから催眠効果のある水の泡を投げつけ、もんざえモンに命中させる。

レキスモンの技を受けたもんざえモンに強力な睡魔が襲い掛かり、動きが鈍りつつあった。

そこへ……


トゥルイエモン「忍迅拳(にんじんけん)!!」

もんざえモン「があっ!?」


トゥルイエモンが高い跳躍力を活かした素早い忍びの拳法をもんざえモンに食らわせ、もんざえモンの体勢を大きく崩したところへ……


レキスモン「ムーンナイトキック!!」

もんざえモン「ぬおおおおっ!?」


追撃とばかりに、レキスモンが空高く跳躍してから繰り出す急降下キックをもんざえモンの顔面に直撃させ、もんざえモンを大きく転倒させる。

トゥルイエモンとレキスモンは息の合ったコンビネーションでもんざえモンを翻弄していた。

それはまるで……


切歌「何かあたしと調のユニゾンみたいデース!♪」

調「うん。そうだね、切ちゃん♪」


調と切歌のユニゾンをパートナーデジモンであるトゥルイエモンとレキスモンが体現している様であった。

体勢を立て直したもんざえモンはトゥルイエモンとレキスモンに反撃しようとするが、高いスピードを持つ2体に攻撃を当てられず、翻弄されていた。

そのことに業を煮やしたもんざえモンは……


もんざえモン「ラブリーアタック!!」


必殺技の赤いハートマークをトゥルイエモンとレキスモン……では無く、調と切歌に向けて放った。


調・切歌『っ!』

トゥルイエモン「しまった! 調!!」

レキスモン「切歌!!」

ギルモン達『調!! 切歌!!』

ヌメモン達『お姉ちゃん達、逃げろおおおおっ!!!』


あまりに突然のことで調と切歌は回避する間が無く、トゥルイエモンとレキスモンが急いで駆け出すが間に合いそうに無く、囚われの身であるギルモンやヌメモン達も身動きできずにいた。

もんざえモンの感情を奪う攻撃が無情にも調と切歌に迫りつつあった……
















ここは、何処だ……?

暗くて、何も見えない……

体が、まったく動かない……

確か僕は……調さんと切歌さんを庇って、もんざえモンの攻撃を受けたんだ……

なのはさんや奏さん達を助ける為に、もんざえモンを倒さないといけないのに、こんなところで……僕は、このまま何もできず、永遠に暗闇の中にいるのか……?

いや……それでも……それでも、諦める訳にはいかない! 諦めてたまるか!!

僕はそう思い、動かせない体を動かそうと必死に踠いていると……


『そうだ○○○○、それでもと言い続けろ』


え? 今、女の人の声が聞こえて来たような……

そう疑問符を浮かべている僕の目の前で翡翠色の光が輝き出し、その光と共に長い栗色の髪と蒼い目を持つ女の人が現れた。


『フッ……姿や名前を変わってもお前はお前なのだな、○○○○』


女の人は笑みを浮かべながら僕のことを知らない名で呼びながら、僕の手を掴み取る。

何だろう……僕はこの女の人のことを知らない筈なのに、何故か初めて会った気がしない……それに凄く暖かくて、心が落ち着く……


『さあ行け、○○○○……今のお前の仲間が待っている……』


女の人は僕の背中を優しく押し、前へと進むよう促す。

最初は思うように動かせないでいた体が次第に動かせるようになって行き、僕の体はより前へと進んで行く。

そして、目の前に眩い光が現れ……


『○○○○、お前の中にはどんな暗闇も照らす光が宿っている……『可能性』と言う名の希望の光がな……それを忘れるな』


女の人の言葉を最後に、僕の意識は途切れた……
















トゥルイエモン「調ーーー!!」

レキスモン「切歌ーーー!!」

調・切歌『っ!』


調と切歌は迫り来るもんざえモンの必殺技の恐怖から目を瞑り、直撃を覚悟した……その時。


フォンッ!!

調「えっ!?」

切歌「デデースッ!?」

トゥルイエモン・レキスモン『なっ!?』


調と切歌は何かによって勢いよく引き寄せられ、もんざえモンの必殺技を間一髪回避した。

そして、引き寄せられた調と切歌は誰かに抱き留められた。

その人物は……


超炎真「2人とも大丈夫ですか?」

調・切歌『え、炎真!?』


先程まで感情を失っていた筈の炎真で、彼はハイパー化して調と切歌を大地の炎の重力で自身の方へ引き寄せて救うのだった。


ギルモン「炎真〜〜ッ!!」

アグモン(S)「か、感情が戻ってるぜ!」

ガオモン「まさか、自力で感情を取り戻したのか!?」

クロアグモン「とんでもない奴だ……」

ピコデビモン「ああ……」

ピヨモン「凄いわ、炎真!♪」

トゥルイエモン「本当に凄いわね♪」

レキスモン「ええ♪」

ヌメモンA「あ、あの兄ちゃん、とんでもねえな!」

ヌメモンB「チクショウ! あの兄ちゃんは俺達の恋敵だけど……かっこいいぜ!」

ヌメモンC「良いぞ、兄ちゃん!」


ギルモンは炎真に感情が戻ったことに泣きながら喜び、トゥルイエモンやレキスモン、クロアグモン達やヌメモン達は炎真が自力で感情を取り戻したことに驚きながらも、炎真のことを称賛していた。


もんざえモン「そ、そんなバカな!? 私の必殺技を受けたにも関わらず、自力で感情を取り戻すなんて、あり得ない!!」


もんざえモンも炎真が感情を取り戻したことに対して信じられないとばかりに激しく動揺していた。


調「炎真、一体どうやって感情を取り戻したの……?」

超炎真「ええと……それでもと抗っている内に、元に戻れたみたいです」

切歌「ど、どう言うことデスか……?」

超炎真「すみません、上手く説明できそうに無いです……兎に角、今はもんざえモンを!」

切歌「そ、そうデスね!」

調「うん! トゥルイエモン!」

切歌「レキスモン!」

トゥルイエモン「任せて、調!」

レキスモン「次で終わりにするわ、切歌!」


トゥルイエモンとレキスモンは再びもんざえモンに猛スピードで向かって行く。


《挿入歌:Edge Works of Goddess ZABABA》

もんざえモン「があああああああっ!!!」


もんざえモンは炎真が感情を取り戻したことに対するショックが大きかったのか、向かって来るトゥルイエモンとレキスモンに対して怒り狂ったような攻撃を繰り返すが、大振りな攻撃が素早い2体に当たる筈も無かった。

そんな中、トゥルイエモンが両腕の兎角鉄爪の折り畳まれていた爪を展開しながらもんざえモンに近付き……


トゥルイエモン「巌兎烈斗(ガントレット)!!」

もんざえモン「があああああっ!!?」


兎のような敏捷かつ高い跳躍を活かした、兎角鉄爪から繰り出す連撃技をもんざえモンに浴びせる。

対するもんざえモンはトゥルイエモンにパンチを繰り出すが、トゥルイエモンは高い跳躍で回避し、もんざえモンの拳はそのまま地面にめり込んで抜けなくなった。

その隙を逃さないとばかりに……


超炎真「そこだ!」

フォンッ!!

もんざえモン「ぬおおっ!?」


炎真が大地の炎の重力でもんざえモンを地面に押され付け、動きを封じた。

その衝撃でもんざえモンの背中のファスナーから黒い歯車が露出し出すのだった。


調「黒い歯車!」

切歌「漸く見つけたのデス!」

トゥルイエモン「レキスモン!」

超炎真「フィニッシュは任せたよ!」

レキスモン「了解! 受けなさい、ティアーアロー!!」


レキスモンは背中の突起から美しい氷の矢を引き抜き、もんざえモンの背中にある黒い歯車に目掛けて放つ。

そして、レキスモンの氷の矢は……


パキーンッ!!


黒い歯車に命中し、黒い歯車は凍結すると同時に割れ、消滅するのだった。


切歌「よっしゃあなのデース!♪」

調「やったね、切ちゃん、炎真♪」

超炎真「はい!♪」


炎真達3人は仲良くハイタッチを交わす。

黒い歯車を破壊できたことによりもんざえモンは正気を取り戻し、炎真達の勝利が確定するのだった……
















もんざえモン「おもちゃは飽きられるとあっさり捨てられ、壊されてしまう……それが許せなかったのです」


黒い歯車を破壊したことにより正気を取り戻したもんざえモンは、捕らえていたギルモンやヌメモン達、クロアグモン達を解放し、さらには感情を奪っていたなのは・奏・はやて・翼・ギンガの5人を元に戻した後に語る。

背を丸め、申し訳なさそうに語るその背中はあまりにも寂しかった。


もんざえモン「おもちゃが遊ばれちゃいけない、おもちゃが遊ばなくちゃいけないと、いつの間にかそう思うようになって……すみません、私は思い上がっていた様です……」

調「思い上がってるなんて、そんなことないよ。もんざえモンの言ってる事は間違ってないって、私は少なくとも思う」

切歌「調の言う通りデス。もんざえモンは黒い歯車の所為でやり方を間違えてしまっただけなんデスから、元気を出すデスよ♪」


調と切歌はF.I.S.に来る前の、実の家族と暮らしていた時の記憶が無いが、きっと小さい頃は沢山のおもちゃに囲まれ、楽しかったと思う。

それは炎真もなのは達も同じで、その時の気持ちは若干朧げではあるが覚えている。

顔を見合わせてにっこりと笑う調と切歌を見て、もんざえモンは微笑みかけた。


もんざえモン「調さん、切歌さん、皆さん……私を正気に戻してくれて、ありがとうございました。お礼にハッピーにしてあげましょう♪ ラブリーアタック!!」


優しいピンク色のハートが、炎真達とデジモン達を包んでふわりと空を飛ぶ。

暖かくて幸せな気持ちが沸き上がる。

今度こそ本物の笑顔が、笑い声が、夕暮れに染まるおもちゃの街に溢れるのだった。

そんな中……


炎真(それにしても……僕を助けてくれたあの綺麗な女の人、誰だったんだろ? 初めて会った気がしなかったけど……また会えるかな?)


炎真は自身を暗闇から救ってくれた栗色の髪の女性にまた会いたいと内心思うのだった……


To Be Continue…… 
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