俺、ヤンデレ神に殺されたようです!?
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入学
ピンクツインテと一緒に教務科に行ってきた。どうやら、神崎.H.アリア、という名前らしい。どこかで聞いたことがあるな……どこだっけ?
ともかく、アリアは東京武偵高校に編入し、俺と同じクラスらしい。こんな女と同じクラスとか命がいくつあっても足りないだろ!
担任の高天原先生についていき、自分のクラスとなる場所に一緒に入る。アリアは黒板の方のドア、俺は反対の後ろのドアから入った。
俺に視線を向けた奴は数人ほどで、そのほかのやつはアリアに目が釘付けらしい。そりゃ可愛いもんな。外見だけは!
「神崎.H.アリアです。強襲科でSランク 」
メンドくさそうな表情で自己紹介を済ませ、キンジの隣が良いと言っている……え⁉︎ ホントにそんなこと言った⁉︎ 俺の聞き間違いじゃないだろうな⁉︎
キンジは窓側から3列目の1番後ろの席。アリアが座りたいという場所は窓側から2列目の一番後ろの席、そこは俺の特に仲良い友達の1人である武藤が座っているが……
「キンジ! お前にも春が来たみたいだな! 先生!俺、転校生さんに席譲ります! 」
「なんでだよ! 」
キンジは何故か絶望顔をしていたが、より一層絶望したようだ。
俺の席は、窓側から1列目の一番後ろの席、キンジの隣ではなくアリアの隣だ。
(・・・・・運悪すぎじゃないか? )
俺が席に着くと、アリアはキンジのそばまで行き、腰のあたりからベルトを取り出す。
「さっきのベルト、返すわ」
「ん、ああ」
キンジにベルトを投げ、アリアが席に着く……前に理子が席から勢いよく立った。
アリアよ! ベルトを渡すタイミングが悪かったな! 俺もキンジに裏切られたから理子に加勢させてもらう!
「理子分かっちゃった! これフラグビンビンに立ってるよ! 」
「はぁ? 」
「キーくんベルトしてない、それをピンクツインテさんが持ってきた。これはつまり! 2人はベルトを取るような『なにか』をしたってことだよ! 」
「理子! それとキンジは今、汗をかいている! そして肩には草がついている! これはつまり! そういうことだよ! 」
もちろん草なんて来たときはなかった。だが! 俺の席に向かう途中につけておいた!
この流れで使うとは思わなかったが、チャンス!
周りの野次馬達もこれには騒ぎ立てる。
『おいキンジ! 抜けがけしやがったな! 』
『外とかどれだけ進んでるんだ! 』
『女に興味なかったんじゃないの⁉︎ 』
『キンジ×朝陽君じゃなかったの⁉︎ 夏コミに出せないじゃない! 』
待て待て待て、最後! 最後おかしいよ! 俺とキンジをネタに何してんの!?あとで問い詰めるか......
とりあえず眠いので机に突っ伏す瞬間────アリアが太もものホルスターに手をのばし、ガバメントを取り出すのが見えてしまった......
アリアのガバメントが轟音を唸らせ、窓のフレームや壁に新しい傷をつけていく。理子は弾が横をかすめたのか、バンザイしたまま椅子にヘナヘナと座り込んでしまった。
アリアは顔を真っ赤に染めながら、クラスメイト全員を睨みつける。
「れ、恋愛なんてくだらない!!覚えておきなさい!!そういうことを言うやつには、風穴あけるわよ!!」
最後に天井に発砲し、クラスメイト全員を黙らせてしまった......
☆☆☆
昼食時、俺とキンジ、武藤、不知火の4人で食堂に集まり世間話をしていた。ネタは俺達とアリアの出会いだ。
「つまり、京条君と遠山くんは神崎さんに助けてもらって、爆発のせいでスカートのホックが壊れてたからベルトを貸してあげた、と?」
「はい、そうでございます。嘘、偽りのない真実でございます」
「まるで小説やアニメのような世界だね! 遠山君と京条君は神崎さんを大切にしないと」
いやそもそもこの世界……言ったらロリ神様に怒られそうだからやめておこう。
すると、脳内でロリ神様の声が聞こえた。
『おい! ロリ神まだ言うか⁉︎ 君には天罰を与えなければならないようだね……』
(ロリ神様、ちょっと話したいことがあるから今は引っ込んどいてくれ)
『後で天罰だ。覚えておけ』
天罰なら俺の前に座り、仏頂面をしている武藤にやってくれ。
武藤はキンジのほうをジッ〜、っと見ながら忌々しそうに呟く。
「なあキンジ、お前白雪さんもいながら神崎さんまでとるのか⁉︎ 俺の白雪さんを返せ! 」
「しつこいぞ武藤! 白雪をとったつもりもないし、神崎にだって追いまわされてるだけだ! 」
「嘘つくんじゃねえ! 今朝の会話のこともあるだろう! 」
「あれはデマだって言ってるだろ! 」
ややこしくなりそうなので不知火にこの場を預け、俺は食堂から出る。
人気のない場所まで行き、そこにあったベンチに腰掛けた。周りに人がいないか確認し、ロリ神様を呼ぶが、直後に体の内側から焦げるような衝撃が襲ってきた。
(電流やめろよ! 痛いから! もう少し威力弱めてくれ! )
『君がロリロリうるさいからよ!!それで?話したいことはなに?』
(俺の思ってることがお前にダダ漏れだろ?そこで、だ。電話みたいに許可した時に繋がるっていうのはどうだ?)
この世に産まれてからこの瞬間まで!!俺が何を考えてたのか、ロリ様にダダ漏れなのだ。プライバシーなんてなかった。
『確かに。君のゲスい考えが流れ込んでこなくなるのはとってもいいことだわ! そうしましょう。』
(よし!!これで俺はやっとあんなことやこんなこと......)
『君......もういいや。許可制にしたわ。』
ロリ神様にお礼を言ったあと通信を切り、イケメン不知火に任せている食堂に向かった。
☆☆☆
あの後、食堂についたところで昼休みが終わったので4人で教室に戻った。
HRなんてものは無く、大事なことはメールで送られてくるので速攻でカバンを手にし、今朝のことで質問攻めにしてくる輩十数人を撒きながら俺は装備科に向かう。
【雪月花】をある人に預けていたので受け取るためだ。
装備科につき、《平賀》とプレートが下げてある部屋に入ると、怪しい機械や何かの部品が山積みになっていた。
一体何を作っているのか想像できないな……
「平賀さ〜ん? 平賀文さ〜ん?いるか〜? 」
「あ、きょーじょー君! ちょうどいいのだ! あややを出してほしいのだ! 」
「え? 一体どこに……まさかこの足か? 」
ロボットの足かと思っていたものが、機械が山積みになっているところから出ている。
引っ張ると……中学1年生くらいの身長の子がでてきた。ふぅ、とため息をつくと平賀さんは大きく可愛らしい目を輝かせ、満面の笑みで感謝してきた。
埋まるほど奥に何かあったのか? まあ平賀さんのことだし、機械人間作ってても驚かないな。
平賀さんは高額な料金を請求するが、依頼された仕事はキッチリとこなす。まあ高額な料金というのは違法になるほど高いんだけど。
「平賀さん、【雪月花】が何で作られているか分かった? 」
「それが……わからないのだ! でも未知の金属で作られていて、切れ味がすごく良いのだ。こんな刀、どこで手に入れたのだ? 」
「えっと……任務先でもらったんだ……」
言えない。神様に作ってもらったなんて言えない……
未知の金属ってなんだよ、気になるな。あとで聞いてみよう。
「ありがとう平賀さん、また来るよ!」
俺は【雪月花】を特製の留め金で腰に留め、出ようとした時平賀さんが制服の袖を掴んできた。
顔は真っ赤に染まっている。なぜ?
「きょ、キョージョー君! グロックのメンテナンス無料でするからもうちょっと話相手になってほしいのだ! 」
「話相手? まあこれから予定もないし、話相手くらいなるよ」
平賀さんは天使のような笑みをうかべ、心底幸せそうな顔をする。可愛いな……どこかの神様とは大違いだ。
グロックの整備をしてもらいながら、クラスや依頼のことについて色々と話した。
最近はロボットを作っているとか、平賀さん頭良すぎだろ。
違法改造や法外な料金をとらなきゃSランクなのに、勿体無いなぁ……
☆☆☆
日が暮れるまで話し込んでしまった。時計を見ると4時間も経っている。まあ平賀さんとの話は面白かったし。
だけどもうそろそろ、寮に戻らないといけない時間になってきたな。
「平賀さん、そろそろ俺は帰るとするよ。夕飯のしたくもしなきゃならない」
平賀さんは名残惜しそうな表情を浮かべたが、
何か思い出したようで俺に待っててと告げ、奥に行ってしまった。
仕方なく傍にあった椅子に座っていると、3分くらいして奥の方から戻ってきた。
「きょーじょー君にあげるのだ......」
可愛いお顔を真っ赤に染め上げ、差し出してきた小さな手にはグロックのマガジンがのっていた。
「平賀さん?俺予備マガジンはいっぱい持ってるけど......」
「そ、それは特別製なのだ! もしよかったら返事が欲しいのだ。」
「そっか、ありがと! このマガジンにはどんな弾が入ってるんだ?」
平賀さんからもらったマガジンは、
弾が入ってないと思えるくらい《《とても軽かった》》。だが上から見るとしっかり弾らしきものが入っている。
「そ、それは企業秘密なのだ! 絶対にいつも冷やしておいて欲しいのだ。温度12℃くらいがいいのだ。あと何か、そのマガジンを覆うポーチみたいなもので保護をしてくれなのだ。」
「冷やさないと撃てないのか......分かった。」
そのくらいなら精神力もほとんど使わないし、
どんな弾がでるのか楽しみだな。
とりあえず特製のマガジンポーチにいれておく。
「じゃあ平賀さん!また明日!! 」
「さ、さようならなのだ!! 」
何故か緊張した顔をこちらに向け、見送ってくれた平賀さんに手をふり、寮への帰路につく。寮から学校へは自転車を使えばなんてことない距離であり、寮に帰るとキンジがダラダラしていた。まったく、勉強の一つでもしたらどうだ?俺はシャーロックに大学卒業までの勉強を教えてもらっているから大丈夫だ。
だが.……その教え方がひどい。間違えたら銃弾がとんでくる。そんな世界だったな。
とりあえず夕飯何するか決めてないのでキンジに、何がいい? って聞いたらカレーがいいらしい。よし、カレーにするか!あと野菜は、と。
『ピンポーン』
ん?誰か来たのか?
「キンジ、今手が離せない状況だ。頼む」
────ピンポーンピンポーン
「今少し考え事があるんだ。後にしてくれ」
─────ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
「「ああああ!!!うるせえ!!!」」
2人で一緒に玄関に行き、俺が扉をあけると......
ピンクツインテが仁王立ちしていた。
「遅い!!あたしがチャイムを鳴らしたら3秒以内で来なさい! 」
ドカドカと家の中に入り込む。ピンクと白のシマシマ模様の大きいトランクをリビングにぶん投げるようにして部屋の中に入れる。
なんて乱雑で凶暴なやつだ! 厄介ごとでも 持ちこんできたのか⁉︎
「お、おい! 神崎、何しにきたんだよ! 」
「キンジに惚れたなら他の部屋で暮らしてくれよ! 」
惚れた、という言葉に顔を真っ赤に染める。キンジは横で反論しているが、アリアは肩を震わせながらもそれを無視している。
そして……自信満々で、受け入れてくれて当然! という顔をしてありえない言葉がアリアから告げられた。
「キンジ! 朝陽! 私の奴隷になりなさい! 」
「「は、はぁ⁉︎ 」」
どういうことだ⁉︎ 奴隷ってそういう奴隷⁉︎ イケナイ遊びにロリが誘ってきてる⁉︎
残念だがアリア……俺たちはそういうことをしていい歳じゃないんだ……
「な、何をするんだ? 」
「あたしとパーティーを組んで武偵活動をするの! 拒否権はないわ! 」
「強引すぎるだろ! 」
確かに、キンジが絶叫するのもわかる。自分勝手で、威張り散らして、まるでどこかの貴族様みたいだな!
アリアはトコトコと机の方へ向かい、椅子に座り、そして使用人をこき使うような目で見てくる。
その際、太もものホルスターとガバメントがチラッと見えた。うーむ、これぞ《《ガン福》》。うまいこと言ったな俺!
「コーヒー! エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ! 砂糖はカンナ! 1分以内! 」
「すまんなアリア、俺はドラクエやったことないんだ……そのネタには反応できない。許してくれ…… 」
「コーヒーよ! さっさといれなさい! 」
「俺はコーヒーなんて苦くて飲めないからそういうのはキンジに言ってくれ。」
とりあえずアリアの世話はキンジに押し付け、俺は夕飯の支度をする。
まったく、アリアが来なければもう終わっていたものを!
「これギリシャコーヒー? ううん、違う……変な味」
「それはレッキとしたコーヒーだ。慣れろ」
どうやらアリアはインスタントコーヒーがわからないらしい。
ま、コーヒーが飲めない俺には味なんてわかんないがな。どれも同じ、苦いだろ。
「夕食は⁉︎ 何にするの? 」
「カレーですよアリア様。もうちょっと待っててくださいね」
「あら、朝陽は従順じゃない。えらい子よ。それに比べてキンジ! ご主人様に敬語もなしってどういうつもり⁉︎ 」
「どうもこうもないだろ! 人の家にズカズカと勝手にはいりやがって! 」
うん。わかるぞキンジ。そういう気持ちもある。だが、ここは従おうじゃないか。面倒ごとが減って助かるぞ。
「分からず屋は出て行きなさい! 」
結局、アリアにガバメントで脅され出て行ってしまった。おい、ご主人様と一緒にいるのは大変なんだぞ。
どこが沸点かもわからないし、言動に注意するか。
「アリア様「アリアでいいわ」……じゃ、アリア。なんで俺たち家におしかけてきた? 単にパートナーにするっていうだけじゃないだろ? 」
「ええそうよ。あたしにキンジとあなたの力をかしてほしいの」
「なんで俺たちなんだ? 他にも、強い奴らならいるだろう」
「勘よ。あなたたちとはうまくやっていけそうなの」
勘……ねえ……Sランク様も勘に頼ることもあるんだな……あ、俺もSランクだったわ。
いかんいかん、つい忘れそうになるな。
「あなた、能力持ちでしょ? 」
「そうだが、俺のこと調べたのか? 」
「ええ。京条朝陽。強襲科、諜報科、超能力捜査研究科でSランクを持ち、武偵高でも上位に入る強さ。
装備はグロック18C、氷刀【雪月花】。生徒からの信頼は厚いが、性格の悪さから……ゴミ条と呼ばれることも多々ある……あんた、人気者ね」
「ゴミ条は余計だ! まあそんな感じだな」
「あとあなた、高校入学以前どこの中学に通ってたとかそういうデータ出てこなかったんだけど、どこで何してたの?」
言えないっ! シャーロックにイジメられてたなんて言えないっ!
「それはまた今度だ。それより、キンジをいれてやれ。そろそろ帰って来る頃だと思うぞ。俺は明日に今日はもう寝る。また明日な」
アリアにそれだけ伝え、俺は二段ベットの上にいき、目を閉じる。──が、眠れない。アリアが変態だの、服返せなど叫んでいるからだ。ガバメントの発砲音もするし、キンジの悲鳴も聞こえる。
またやらかしたんだな……もういいや。頑張って寝よう……。
☆☆☆
「あの手紙、読んでくれたかなぁ……心配なのだ……」
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