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ソードアート・オンライン 剣が有るなら盾も必要じゃない?

作者:月の因幡
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剣と盾
デスゲーム始動
  交換条件です。

 
前書き
読んで頂き、有難うございます。
時間軸的に飛んだりしますが、お気になさらず楽しんでいただければ幸いです。
では、始まります。 

 
あの、忌まわしきドアブレイクから1週間の時間が流れた。
未だに我が城には門が存在しない。どうやら俺に対する家族の信頼が蔓落とし宜しく急降下した事に対する処置なのだそうだ。プライバシーの侵害どころの騒ぎではない。
プライバシー?なにそれ?おいしいの?

「このままでは、俺のプライベートな世界が本当に無くなってしまう。」

更に言えば、あれ以降姉と妹は俺と口を利いてくれていない。精神的に疲弊しまくりだ。

「だが、しかーし。待ちに待ったこれが俺に明日への活力を与えてくれるのだ。」

その手には1万本限定先行発売のSAOのソフトが2本ある。この日の為に態々休みを取っていた親父と徹夜組として並んで買った物だ。
1本は勿論自分用で。もう一本は、両親が今後のナーヴギアの販売の方針等を検討する為に、仕方なしに購入した物だ。
ナーヴギアを使用した初のVRMMORPGでもあり、今後、これに類似した物が電器メーカ業界でも売り上げを左右するであろうと言う事から、それらの売りの要素を先方に解り易く伝えるには実際に体験するのが手っ取り早いと言う事で購入された物である。

全国のVRMMORPGプレーヤーに謝れと思う。本気でやらないなら買うな。

閑話休題。

「ふはは、これで俺は現実から逃避できルヴォア。」

はずかしめ無く、部屋で中二病宜しく声を上げていた俺の背中に、あの懐かしき蹴りの衝撃が走る。
またもやベッドの上にダイブした俺は、背中に感じる痛みに顔を顰めながらも、蹴りを放ったであろう人物が居る方向へと視線を向ける。
其処には案の定姉が居た。
がっ、その後ろでドアの端から、顔を半分出した状態で心配そうに俺の方を覗き込む妹の姿も同時に目に入る。

「なんだ?2人して俺のプライベート映像を生で見にきいたったたたい。」

耳を千切れんばかりに引っ張られました。
ひれ伏して謝ったら許してもらえました。

「ほら、桂子ちゃん。」

土下座体制の俺の前に姉に背中を押された妹が少し遠慮気味にとてとてと歩み寄ると、土下座体制で顔だけを上げてる俺を、少し恥ずかしそうに目を逸らしながらも見下ろす。

「あ、あの、お兄ちゃん。」

え!何、この今から告白します的な感じの空気は。困ります、近親相姦なんて困ります。

「わ、私もゲームしたいです。」

告白されませんでした。

暫くの沈黙の後、ベッドの上で胡坐を掻く俺と、部屋のベッドに腰掛ける妹と、俺のパソコンディスクに腰掛ける姉のトライアングルが出来上がる。

「でもな、ナーヴギア自体が15歳以上を対象にされてる物だし、桂子ちゃんはまだ12歳だろ?特に何か有るって訳でもないけど、一様は年齢制限されてる物なんだよ?」

特に断る気は無かったのだけれど、年齢対象外の物を、知っておきながらも妹に使用させたとなると、俺だけがヒールになる可能性が出てくるので、確認だけは取っておくことにする。

「別に何も無いならいいんじゃないの?」

まあそうなんだけども、発言が凄く無責任です。

「忍君だって年齢対象外の物見たりしてるじゃない。」

ちょっ。それをここで言いますか?妹が居るここで言いますか?その妹は頭にクエスチョンマークが浮かんでいますが。本当にそのまま純粋無垢に育ってほしいですね。
これ以上渋るの理由も無いので、諦めから来る小さな溜め息を吐いたところで、妹の顔が鼻息が掛かる所まで近づいてくる。自分の口臭が気になります。

「じゃ、じゃあ交換条件です。私にゲーム教えてくれたら、お父さんにドア直して貰うように言います。」

なに、その魅力的な条件、飲まざるを得ない。因みに妹の口臭は無臭でした。

とっ言うことで、俺の部屋にあるナーヴギアで妹がダイブ。親父のナーヴギアで俺がダイブする事となりました。
経験者として俺が居ることから、新規IDの設定やキャリブレーション等の初期設定事項を難なく終えていき、早速ゲームスタートと相成った。

「桂子ちゃん、もう一度確認するぞ?ゲーム内では絶対に本名を言っちゃいけない。現実世界の事をあれこれ他人に質問するのもいけない。これオンライン上では最低限のマナーだからな。」

「はい。」

少し緊張した表情で答える妹の手に、自分の手を重ねて、出切るだけその緊張が解れる様にしてやる。

「つっても、そんなに緊張しなくて良いよ。冷静に考えればそんなに難しいことじゃないだろ?それに今回は俺が居るんだ、しっかりフォローはするよ。」

「はい。」

少しは緊張が無くなったのか、今度は何時もの明るい笑顔で答える。

「最後な、俺が行くまで、最初に出た場所から絶対に動くなよ。」

「うん。」

小さく頷くと目を閉じる。そして、そのまま動かなくなった。どうやらゲームの中にダイブしたようだ。ナーヴギアの信号表示が忙しなく光を放っている。
信じられるか、これry)

「さて、親父たちへの言い訳、手伝ってくれよ。」

傍で事の成り行きを見守っていた姉に言質を取る。特に何か言われることはないとは思うが、年齢対象外の物をさせているのだ、心構えぐらいはしといても良いだろう。

「解ってる。ごめんね無理言って。」

中々見る事のできない姉の申し訳なさそうな顔だ。アルバムに飾りたい。

「いや、普段から我がまま言わない桂子ちゃんの頼みだしね。出切る事なら何でもするよ。」

「それでもよ。」

これも中々見られない優しい姉の顔。これは良い物が見れた。

「普段からそんな感じなら、今すぐにでも彼シヴォア。」

「つまんない事言ってないで、早く行って上げなさい。」

「御意。」

鬼に見送られながら、親父の部屋へと向かい、自分のIDで早速ダイブする。
目を閉じているはずなのに視界がホワイトアウトする。感じる独特の浮遊感。保々同時に感じる地に足をつけている感覚。
その瞬間に身体全体に湧き上がる歓喜。戻ってきた。俺は戻ってきたんだ。

「戻ってきたあああああああ。」

戻れなくなっているとも知らずに、俺は歓喜の雄たけびを上げた。 
 

 
後書き
明日から仕事だ。がんばるます。

明日から、更新が遅くなりますが、永い目で見ていただけると幸いです。

では失礼します。 
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