レーヴァティン
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第百八十話 トランシルバニアへその十二
「その証拠に死んだら国は滅んでるわ」
「滅んだのが何よりの証拠だな」
「完全にお手本に出来ないね」
「そうだな」
「建築は本当に気をつけないと」
「必要なだけに収めてな」
そうしてというのだ。
「やっていかないとな」
「それが国を続ける秘訣の一つよ」
「ああ、じゃあな」
「これからもね」
「宮殿はいいさ、住む場所はもうあるんだ」
既にというのだ。
「じゃあな」
「ローマのあの宮殿でいいわね」
「ああ、何の不自由もないしな」
それでとだ、久志は笑って話した。皇帝の宮殿としては小さいという言葉は聞いているが気にしていない。
「あそこでな」
「そうよね」
「このままな、ただご馳走じゃなくてもな」
「美味しいものは食べたいわね」
「それはな、この辺りもワイン美味いよな」
酒の話をした。
「それじゃあな」
「飲むのね」
「ああ」
笑顔での返事だった。
「そうするな、そしてな」
「今夜は楽しんで」
「そして準備が整えば」
「出陣ね」
「軍を二手に分けて」
またこの話をした。
「一方はワルシャワ、そしてな」
「もう一方はブタペスト」
「そこに向かうな、そして俺はな」
久志は自分が進む道も話した。
「ブタペストに向かうな、だからな」
「そちらの軍を率いるからよね」
「まずはトランシルバニアに向かうな」
その地にというのだ。
「そうするな」
「あの地域ね」
「ああ、山が多い地域でもな」
「それでもよね」
「戦になればな」
「敵が山にいても」
「それでも戦ってな」
そうしてというのだ。
「倒すな」
「そうするわね」
「ああ、絶対にな」
こう言ってだった、久志はまずは酒を飲むことにした、ルビーを溶かした様な美酒も楽しむのだった。
第百八十話 完
2020・10・1
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