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戦国異伝供書

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第百十二話 はったりその十二

「織田家よりもな」
「強い家になりますな」
「そうじゃ、織田家の様に鉄砲を多く使うが」
「鉄砲騎馬の様にですな」
 今度は成実が言ってきた。
「あの兵達の様なものを使い」
「織田家より強くなってな」
「戦って」
 そしてというのだ。
「そのうえで」
「勝ちますな」
「政もじゃ」
 これもというのだ。
「織田殿の楽市楽座を行い関を廃することもな」
「行っていますな」
 成実も応えた。
「田畑も増やしていますし」
「街も整えてな」
「道や堤も多くしています」
「そうしているが織田殿以上にじゃ」
 さらにというのだ。
「よくする」
「そうしますな」
「そして天下の色は織田家の青からな」
「当家の水色にしますな」
「そうする、水色は青より青し」
「その様になる」
「天下にそのことを知らしめるのじゃ」
 まさにというのだ。
「その様にする」
「そうですな」
「だから茶もじゃ」
 これもというのだ。
「これからはな」
「広くしていきますな」
「そうじゃ、しかし茶器はまことに高かった」  
 政宗はこのことは苦い顔で述べた、もっと言えば苦笑いだった。
「それでまだ安い方だとな」
「言われたのですか」
「商人に」
「そうであった、高い茶器は国一つ分の価値があるという」
「国一つですか」
「それだけの価値がありますか」
「そう言われた」
 商人からというのだ。
「恐ろしいことにな」
「ううむ、茶器が国一つとは」
「それまた」
 片倉も成実も政宗のその話に言葉を失った。
「恐ろしいですな」
「そこまでの価値があるとは」
「ではそれを褒美にすれば」
「誰もが驚き喜びますな」
「言うならよい武具や書や宝と同じじゃ」
「そうしたものとですか」
「扱われるであろうな」
 茶器はというのだ。
「織田殿はもうそうされておられる様であるしな」
「茶器を褒美に渡されていますか」
「織田家のお歴々にな」
 家臣達にというのだ。
「そうされておる」
「そうなのですな」
「既にな」
「そうした意味でもじゃ」
「茶器は大事なものなりますか」
「これからな、だからわしもな」
 政宗もというのだ。
「これからは茶器を集めたいが」
「それは、ですな」
「今の当家では難しい」
「力をつけてからですな」
「そうなる」
 こう言いつつだった、政宗は片倉と成実にずんだ餅に彼が煎れた茶を出した。そうしてその茶を飲んでだった。
 そうしてだ、政宗はこう言った。 
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