リュカ伝の外伝
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リュカと貴族と娘達の騒動。……偶に息子が巻き込まれます!
<グランバニア城-謁見の間>
マリーSIDE
どーも、こんにちは…日に日に美少女のオーラを醸し出す0歳児、マリーちゃんです。
赤子生活を始めて早半年…
私は今、見た目だけは超イケメンのお父様の腕の中に抱かれてます。
そして、そのお父様が何処に居るかと言うと、グランバニア城の謁見の間で玉座に座っております。
何故そんな所で赤子をあやしているかと言いますと、現在目の前には謁見に訪れた貴族が一人、お父様にゴマを擂って居るからです。
はい、つまりは謁見中ですね!
国王の大事な仕事である、謁見中に赤ん坊と戯れるなど、言語道断!…って、ご立腹の方もいらっしゃると思いますが、違うんですよ。
どう頑張っても王様に見えないこの男が、王様らしい事をしているのを見てみたくて、策を巡らしてこの状況を造ったんです!
お父様に抱かれてないと、騒ぎだし泣きまくると言う、赤子ならではの荒技を駆使して…
普段はチャラ男のお父様が、仕事中は王様らしく威張り散らしているのかと思い、無茶して謁見に立ち合ったのですが………
この男、普段と変わらないんです!
今、目の前ではカリメロだか、カリフラワーだかの伯爵が、一生懸命媚びを売ってるのに…
「なぁ、カルバルト伯爵…ゴマスリはいいから、本題に入ってよ。長時間お前の面を見ていると、気分が悪くなるんだ…」
って………
公式の場面とは思えない発言!
たとえ王様にでも、こんな酷い事を言われたら普通は激怒しますよね。
でも彼は怒りません。
けして人間が出来てるからではありませんよ…だって額に青筋を浮かべて、引きつった笑顔をしてますもん!
そう、彼は怒れないんです。
何故かというと、3ヶ月前に端を発します。
この国で貴族に対する課税の法案を、無理矢理執行したからなのです。
勿論、そんな事が出来るのはだた一人…私を抱いているイケメンパパの、リュカ国王陛下です。
まぁ金はある所から取ろうと言う、考え方は間違って無いんですけど…
気位ばかり高い貴族が黙っている訳ありません!
直ぐさま兵を挙げ内乱を起こそうとしたのですが、貴族への課税と同時に、平民への減税と、グランバニアに住む全ての人々への福祉や公共機関の向上を約束した為に、最前線で戦う兵士が貴族軍には集まらなかったんですね。
その為グランバニア王国軍と貴族軍の、兵力比が1000:1と結構笑える結果だったんです。
それでも状況の見えない貴族は、数の差を奇襲という作戦で補おうと1カ所に集まったんです。
目の前に居るカルバルト伯爵を筆頭に、グランバニア有数の貴族達が集まったんですが…やはりバカはバカです!
【我らはリュカ王に奇襲を行う崇高なる貴族連合である!我らに賛同する者は同士として迎えよう! 奇襲作戦決行は、△月×日 正午より決行する! 当日の朝には○○○へ集合されたし! 志ある同士の参加を期待する!】
てな感じのビラを、グランバニア中に撒き散らした様です。
奴等、奇襲作戦の意味分かってんのか?
当日の朝、集合場所へお友達モンスターと共に赴いたお父様は、殺傷能力を無くしたハリケーン並のバギクロスで、貴族達を吹き飛ばし終わりにしたそうです。
因みに、この内乱での死者は0。
お父様のバギクロスで大怪我をした貴族が多数居たぐらいでした。
尚、この内乱に参加した貴族達には、お咎めは無かったそうです。
意外に寛大だなと思い、お兄様が「お父さんは優しいですね!」って、凄い尊敬の眼差しで見てたんですが…
「バカだなぁ、今後ネチネチいたぶるんだよ!」
と、嬉しそうに話してました。
素敵すぎて惚れそうです。
そんなわけで、目の前にいる元崇高なる貴族連合の筆頭は、お父様に対して媚び諂ってるんですね!
さて、話を今に戻しますが…
このカルなんとか伯爵が謁見に来た理由ですが、お兄様の花嫁を推薦しに来たようです。
と言っても、自分の縁者でしょうけど…
因みに、殆どの国民(貴族、平民問わず)は、この国の王子殿下の顔を知りません。
まだ11歳ですから…公式の場には出てこないんですね。
本人も嫌がってますし…
てなわけで、直接アプローチ出来ない貴族達は、お父様を使って縁戚を入手しようと躍起になってるんですね。
「………そんなわけでして、我が一門には殿下にお似合いの者が多数居ます。一度、お顔合わせなどをと思いまして…」
何で一度も見た事無いのに、お似合いだと分かるんだよ!
「う~ん…みんな可愛いんだろうねぇ…」
「えぇ、勿論でございます!」
「困ったねぇ…」
「は?何がお困りでしょうか?」
えぇ!何故に困るのですか?
「うん。僕の息子はねぇ…ブス専なんだ!」
「はぁ~?」
何言ってんのこの人!
お兄様はリュリュお姉様にベタ惚れの、近親相姦1歩手前でしょ!?
リュリュお姉様は可愛いわよ!
町を歩けば男は皆見とれるぐらい。
「ほら、僕の奥さんちょ~美人じゃん!愛人も美人揃いだし、娘達も美少女しか居ない!だからさ、美的感覚がおかしくなっちゃたんだよね…自分の周囲には居ないタイプが、美人に見える様でさ…まぁ本人の好みだから、僕としては強制したくないしさ…」
「そ、それは…また…その…何というか…」
伯爵、困ってる!ちょ~うける~!
なるほど、これが狙いね!
お父様特製、嫌がらせ爆弾!
「だから諦めてよ」
「何を言われます陛下!我が一門には殿下のお好みに添う者も居ります!近日中に王都へと呼び集めますので、暫くお待ちくださいませ!」
そう言うなり伯爵は、お父様にお辞儀をして大慌てで帰っていった。
数ヶ月後、噂を聞きつけた貴族共が、挙って平民の少女を多数養女へと迎える。
王家主催で行われたパーティーで、貴族に成り立ての少女達を、親達が挙って自慢する光景が繰り広げられた!
そして、それを影から見て大爆笑する国王が居たという…
どうやら真の狙いはこっちだったみたい…
後書き
リュカさんの趣味の一つ…
貴族イジメ。
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