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夢幻水滸伝

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第百六十八話 力の差その四

「あの人はどうもな」
「そうしたタイプやないな」
「策を立てる様なことは苦手や」
「そやな」
「あの娘は常に一直線でな」
「謀は苦手やな」
「それもかなりな、情報収集も結構な」
 日毬はというのだ。
「目立つ方やし隠れるのも下手やしな」
「苦手やな」
「精々普通に出来る位や」
 その程度だというのだ。
「そやからな」
「軍師はやな」
「あの娘は出来ん、そやからな」
 だからだというのだ。
「それぞれのタイプを考えてな」
「適材適所やな」
「それを壮絶に間違えたご先祖様もおったしな」
 芥川はここで大戦中の大日本帝国陸軍を思い出した、この組織は人材教育は出来ていたがその後の適材適所が全くなっていなかったのだ。
「一直線にこの世界で言う江戸から越中まで帰る様な御仁を参謀つまり軍師にした」
「日本アルプス踏破したんか」
「そや、信濃とかの山を越えてな」
 そうしてというのだ。
「越中まで帰ったんや」
「凄い御仁やな、しかしな」
「軍師には向いてへんやろ」
「そんなこと普通の人は出来んというかな」
「考えもせんやろ」
「到底な」
「そう思うのが普通や」
 実際にというのだ。
「この世界でもな」
「そういうことする人は軍師にするより」
 狐は真剣な顔で言った。
「密偵にすべきやろ」
「しかも変装の名人で行動力の塊やった」
「それやったら尚更やな」
「けどそんな人を軍師にしてな」
「おかしな策立てていったんやな」
「そや、ちなみに空気を読む能力は全くなかった」
 こちらの能力もなかったというのだ。
「あくまで己を通してた」
「尚更軍師に向かんな」
「それで適材適所に失敗してな」
「色々おかしなことになったな」
「そやった、ただの能力を見てな」
 そしてというのだ。
「人を用いるもんやない」
「それぞれに向いたところにやな」
「置くべきや」
 それがいいというのだ。
「ほんまにな」
「そういうことやな」
「そやで僕もな」
「今回適材適所を考えてやな」
「一騎打ちに星のモンを送ったし」
 そうもしてというのだ。
「それでや」
「勝ったんやな」
「そや」
 まさにというのだ。
「そうしたんや」
「成程な」
「それでや」
「今も戦ってるな」
「万全の状況になる様にな」
「ほな一騎打ちはやな」
「これまで通り全員勝ってくれるやろ、しかしな」
 それでもとだ、芥川は狐に話した。
「今回は多分これまでの戦で一番しんどいわ」
「アメリカ戦よりもやな」
「ああ、アメリカ戦では星のモンを僕と中里含めて二十二人送ったが」
 それがというのだ。 
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