最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~
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第二十七話
※現実では20歳以下の飲酒は法律では認められていません、設定によって飲むことができた彼らのしゃべりを楽しんでくださいね
剣先生の家で俺のランク祭優勝を祝って、バーベキューパーティーが終わった後、3人はお酒に酔った状態で家にへと帰っていた。
歩いているのは、学生寮のマンションが並んだ道。
「タスクぅ兄さん! 飲みすぎオrrrrrrrrrrrrrrrr」
土下座をするように地に手をついたユウは、そのまま水たまりを作るように規制の入った金色の物体を出していた。
「おめえが言うな、ヴッ!! やめろ匂いで吐き気がッ!!」
眼の前で規制を出していたため、その匂いが俺の鼻に入る。
「ちょっとユウ! もう飲めないっていうの! マイはまだ飲めるもんねぇ!! ってオrrrrrrrrrr!!」
マイは俺と肩を寄せ合うようにくっついたため、俺の靴と足の間にそのまま吐いた。
あ、靴下があああああああああああああ!!
70年代の酔っ払ったサラリーマンのように三人は、路地裏を歩いている。
ドラマでよく見るようなおっさんたちではなく、青年一人、女の子が2人だ。
掃除はしないかって? 掃除は清掃ロボットという、ESP学園が独自に開発された、ルンパのような円盤型のロボットがやってくれるから大丈夫なのだ。
油性のスプレーさえも消してくれる洗浄力のためここの科学力も知れたもんじゃない。
「タスク兄さんって、ここで一番強くなったのにその風格が無いよね!?」
「わかるー! でもそれがタスクのいいところって…… でももうちょっとねえ?」
「ねえ!」
プークスクスと聞こえる。さすがに頭にきたため酔いが覚めてきた。
こいつら…… ぐぬぬぬぬぬ……
「うるさいわい!!」
と、一言言って手元にあるストロンガーを飲む。
「タスク兄さんちょっと座ってみてください」
はいはいと道のど真ん中で座ると、後ろでひそひそと二人が何かを話している。
「タスク、いいよって言ったら後ろ向いてね」
「はい解りました」
何が始まるんだろうかと、俺は靴を脱いで正座をしていた。
「いいよぉー!」
マイが元気よく言う。
よっこいしょと後ろを見た。
「「ヴォエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!」」
俺は二人に規制をかけられ、その匂いで視界が暗くなり、そして体の制御が無くなった。
◇ ◆ ◇
天井にある蛍光灯に虫のようなものが飛んでいるように見える。
見慣れたようなライトに、見慣れた鉄の壁。
「ちょっとタスク!? だめだまだ起きない」
ん?舞の声か?
「マイちょっとビンタしてみてよ、ユウの力じゃ死んじゃいそうだし」
「わかった」
ビシバシビシ!!
いた! 痛い! 超痛いっす!
「やめ……ろ」
声が小さいながらも、やめろと抵抗の意思表示をしてみたが……
「やっぱりここは王道を征く水でしょ」
と、マイが同時に言ったため俺の言葉をさえぎっていた
そしてノリノリ、ヤカンに水を入れていた。
ちょっとまて! それをどうするんだ!
やめやめえろおおおおおおおおおおおおおおおお!!
しかし俺の体は動かなかった。
「「ほれほれほれーい」」
本日2度目の意識を失った。
◇ ◆ ◇
「君さあ、昨日退院したばかりでしょう?」
咎めるようにいう男性。
なぜ俺がこの白衣を着た男性に注意をされているんだろうかと記憶喪失の頭で考える。
これは…… 俺をこんな惨事にさせた人間を捜すミステリーが始まるのか!?
ということはないわけで、今俺は意識喪失でまた病院のベットで眠っていた。
どうやら彼女らのおふざけが過ぎていたらしい、さすがに悪乗りも酷すぎるため会ったら制裁だこの野郎。
とりあえず意識は元通りになったため、半日寝て退院できるらしい。
医師様、迷惑をお掛けしまして、本当に申し訳ございません。
病院から家へと帰る道を歩いていたら、携帯端末にメールが入った。
[よう、昨日は楽しめたか? 3時ごろに学習館に来てほしい。お前と話さなければならん用事ができた。マイさんも一緒に連れてきてくれ]
メールは剣先生からであった。
楽しめたの何も気絶させられたわけなのに、楽しいもあったもないよ……
2回も気絶させられたのに、まああいつらが楽しそうならいいか。
彼女らは、いつも楽しそうなんだけどね。
しかし、マイも一緒に来いとは何かあったのだろうか?
直接行ってみなければわからないかと考え、てきとうに返信して家へと帰る。
◇ ◆ ◇
自宅に帰ると、昼夜逆転生活でもしているのか、マイが眠っていた。
着替える途中で力尽きたのだろうとわかる、シャツを半分ブラがギリギリ見えなくもない位置で止まったまま寝ている。
横にいるユウはギリギリ全裸の状態で眠っていた。
つまりはそういうことだ。
スケベがしたくなるような欲求を抑え、彼女の肩を起こすために揺らす。
「マイさん、起きて―」
ゆらゆらゆらと揺らすと、腕の近くにある二つの球体も一緒に揺れる。
これにはタスクも、えっど幕府である。
小さい口からむにゃむにゃ、あと10分と声が聞こえる。
「お願い起きて」
できるだけユウを起こさないよう、彼女を揺らしている。
おっと手がすべった、彼女に生えている2つの球体を掴んでいた。
「あのマイさん…… 起きてくれません?」
ボヨンボヨンボヨン。これは手が滑ってしまったのでしょうがないわけで。
このシュウマイは服の上からでもわかる。良い張りとツヤ。
「あっ、やめ……」
小さい口から、ボヨンボヨンボヨン。
「……マイさん起きてください」
頭の中で胆略化されている固定文を投げるように、彼女に言っている。
しかし、手の運動は休むことがない。
「起きて起きて起きて」
その言葉に合わせるようにボタンのようなものを、何度も押していた。
いい加減にしろと、自分に言い聞かせて、彼女の肩を優しく叩いた。
「頼む起きてください」
三回ほどして、彼女の目が覚めた。
「た、タスク? おかえりぃ」
寝起きの目を擦ると、語尾のいやらしさに理性を働かせて、今日の用事を彼女に伝える。
うんうんと眠気と二日酔いがありそうなのに、気持ちよく承諾をしてくれた。
今は、2時半であり、剣先生との約束まであと30分ある。
二人は着替え終わり、剣先生がいる学習館へと向かう。
「そういえばもう八月も終わりだね」
彼女は、風で髪をなびかせると、俺のちょっと前を歩く。
若干、風の温度が冷めてきたなと思ったら、夏ももう終わりなのか……
「そうだね、ランク祭も終わったしもう少しで九月か…… 意外とあっという間だったわ」
全ては、あの追試の授業からだったなと、振り返ってみる。
まあよくここまでこれたなと自画自賛していいくらいにはな。
「マイは、普通なら高校三年生だっけ?」
「そうだよー。まあほとんど学校には行ってないけど」
学校に行っていない? その疑問とともに前方の確認を怠っていたためか、犬のウン子を踏んだ。
「あーくっせ、あっ、これって犬のウン子!」
ギャグマンガの一コマのような、セリフと行動に、彼女が笑っていた。
「ははは、タスクって本当に面白いね」
彼女は、腹を抱えて笑っている。
そんなにまで笑うと、こちらまで笑ってしまう。
まあね! と、ナルシストなお調子者のように答える。
「ほんとうに、タスクに救われてばっかりだ」
その言葉とともに少しだけ前をあるく、彼女の髪は風で舞い上がる。
いま彼女がどんなことを思っているのかなんて俺にはわからない。
だけどこれだけは言っておく必要があるなと思ったんだ。
「俺も君に救われたんだ、君会えてないと、こんなにまで前には進めなかったと思う」
彼女の足はぴたりと止まり。
「ほんと?」
こちらを振り向くと、真偽を確かめる顔で、ただ一言、聞いてきた。
「ほんとだよ、だから…… なんていうんだろう」
照れくさくなってきたため、頭をかきながら絞りだすようにしてこう答えた。
「ありがとう」
頭を働かせた割には、もうちょっとあったんじゃないだろうかと、そんなことを思う。
「マイこそありがとうだよ」
後ろに戻り、俺の両手を掴んで言った。
彼女の顔がしっかりと見える位置にある。
その顔は、恥ずかしながらもしっかりとこちらを見る。
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
◇ ◆ ◇
学習館に付くと、剣先生がいる職員室へと二人は向かう。
「先生、きましたよ」
ドアを開き、剣先生の座っている席を見る。
「おうタスク、マイさんは連れてきたか?」
ちょうど椅子に腰かけ、コーヒーを飲んでいるようだった。
「はい」
「失礼します」
二人は剣先生の前にある、用意されていた椅子へと座る。
「コーヒーを入れてこようか? お二人方は砂糖は入れる派か?」
「いいですよ先生、僕が入れますよ」
「客人にいれるのは礼儀だぞ、だから座っておけ」
はい、と答え彼女の言葉にあまえた。
先生の背中が、事務室にあるガスコンロ部屋のドアで消えた。
「わたしさ、剣先生のこと、最初は怖い人だなあって思ってたけど、面倒見がいい、良い人なんだとわかった」
その消えた背中のドアを見て、彼女は言った。
たしかに、俺みたいな人間をここまで育ててくれたんだから、身を持ってわかる。
「わかる、本当にあの人には頭があがらないからね」
「修行させてもらってたんだっけ?」
「そうそう、師匠みたいなものだね」
「なんだか、映画の主人公みたいだよねタスクって」
「そ、そう?」
「うん、かっこいいよ」
「えへへ」
いつの間にか、剣先生がドアを開けて、こちらに来ていた。
「ほら、熱いから気を付けるんだぞ」
熱が伝わらない、遮熱コップに入れてきた。
3人はそれぞれ、一口飲むと、剣先生から話し始めた。
「まずは、マイさんのことから話すぞ」
はいと、一言かえした。
「マイさんのお父さんから、昨日電話が入ってな。9月の学校には間に合うように帰ってこいとのことだ」
「はいわかりました」
マイは承諾すると、コーヒーを飲む。
「次にタスクだな、お前には新しいランクが設立された」
「新しいランク?」
「ああ、お前はここの生徒と比べると例外項目が多いからな、それと、ランク祭を優勝したためだ」
確かに俺は、普通の能力者とは違う。
「Aランクとか、Bランクとかではないんですか?」
「それではない、お前専用の特別ランクだ」
「特別ランク?」
俺が知っているような特別ランクは、SSSランクのようなバケモノクラスが、背負っているランクだ。
「ランクFALSE⦅ファルス⦆。略してFランクということだな」
「Fランクって、一周回ってきましたね……」
いい落ちが付いたなとそんなことを思ってしまう。
「フフッ たしかにな、何かあるなら評議員会に言うといい」
俺のうまい返しに、彼女は小さくわらう。
「まあ、FALSEってかっこいいですし、気に入りましたよ」
「そうか、それはよかった」
そう言い彼女は、コーヒーを飲んだ。
「あと、もう一つ」
「「なんですか?」」
二人は同時に発する。
「タスクをマイさんの護衛任務についてもらう」
「タスクが私を守るんですか?」
そうマイが聞くと、剣先生はうなずいた。
「そうだ、マイさんはまたどこかの組織に狙われる可能性が高いからな」
「よかった、まだ一緒にいられるね!」
マイが俺の方を見て喜んでいた。
「うん! あのときにあんなこと言ったのに、一緒にいられるのかと思ったけどよかったよ」
君とずっと一緒にいたいと言っていた俺。
ただラッキーだと思った。
「たしかに。あ、そうだタスクも学校行こうよ」
「俺も?」
「うん、いいでしょ先生?」
目を輝かせながら、彼女は聞く。
「まあ希望財閥に護衛任務の傭兵としてだからな。いいだろう上に話しておくよ」
「よかった。これからもよろしくねタスク」
「うん、こちらこそよろしくマイ」
それにて話は終わった。
これからまた彼女と暮らせる。
第1章完
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