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第三章
「そして部下の手当てや守りにもな」
「そうした術を使う」
「それならですね」
「問題はないですね」
「そうお考えですね」
「ならいいか」
コシュチェシコは命令に従って部下を気遣ってくれるのならいいとした、エリザのそのこだわりについて。
だが彼女が率いている小隊がコーンウォールに出没したファイアーマンティコアやキマイラの大群の征伐を命じられた時だった。
エリザは部下達に言った。
「炎には炎で向かいましょう」
「あの、今回征伐するモンスターは火属性のものが多いですが」
「火は効果が期待出来ません」
「むしろ回復させかねません」
「それでもいいのですか?」
「いいのです」
指揮官として部下に言い切った。
「私に策があります」
「その策とは」
「一体何でしょうか」
「火属性のモンスターを火で倒すお考えの様ですが」
「どのモンスターの火も赤いですね」
エリザは笑って言った。
「左様ですね」
「それはそうですが」
「火は赤いものです」
「赤い火が何かありますか」
「そこに」
「その時にわかります」
不敵に笑ってだった、そのうえで。
エリザは部下達と共にモンスター達が出没するという森に入った、すると程なくしてその大群に囲まれたが。
エリザは右腕を前に突き出して彼等に術を放った、その術は。
「大炎の術!?」
「炎系の術最強の術ですか」
「その術を使われますか」
「そうされますか」
「そうです」
まさにというのだ。
「ここは」
「あの、ですが」
「まことに火属性のモンスターに火は効果が期待出来ません」
「とても」
「それはです」
「どうしても」
「ご覧になっていればわかります」
エリザは笑っていた、それでだった。
大炎の術はモンスター達を囲んだ、その炎は。
「赤くないぞ」
「青いぞ」
「青い炎だと」
「青い炎を放たれたのか」
「青い炎は赤いものより強いのです」
エリザは驚く部下達に不敵に笑って話した。
「ですから」
「それで、ですか」
「赤い火を使うモンスターにも効果がある」
「そうなのですか」
「これまでは氷属性の術を仕方なく使っていましたが」
火属性のモンスター達にはだ。
「しかしです」
「これからは、ですか」
「その青い炎を使われる」
「そうされますか」
「赤い炎は大丈夫でも」
それで下手をすれば回復しかねないがというのだ。
「しかしです」
「青い炎はどうか」
「そう言われるのですね」
「攻撃を放たれてから」
「そうです、火属性といえども耐えられる熱さには限りがあります」
無限に耐えられる訳ではないというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「青い炎で焼き尽くしますか」
「火属性のモンスターを」
「流石にサラマンダーやファイアーエレメントには通じないでしょうが」
そうしたモンスター達にはというのだ。
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