べとべとさんがいたので
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第四章
「妖怪位ね」
「入るか」
「そうなるの」
「そうでしょ、これはね」
こうも言う娘だった。
「べとべとさん以外の妖怪もいるでしょ」
「そうか?」
「他にもいるの」
「多分ね」
娘がこう言うので二人は気になって夜妖怪が出るという時間になって商店街に出てみた、夜は余計に人気がない。
その人気がないシャッター街に入るとだった。
様々な妖怪達日本の彼等が宴会を開いていた、狐もいれば狸もいるし一つ目小僧や河童もいる。皆遊んで飲んで食べていた。
二人はその様子を見て話した。
「人がいなくてもな」
「それはそれで賑やかになるのね」
「妖怪が来て」
「そうなるのね」
「おや、あんた達人間だな」
話す二人の横から烏天狗が言ってきた。
「人間がここに来るなんて珍しいな」
「この時間にな」
すねこすりが足元から言ってきた。
「もうここに来る人間なんていないってな」
「思っていたらな」
「いや、いるんだな」
「たまにはな」
「昔はここも人が大勢いたらしいけれどな」
「今は誰もいないからな」
そうした状況になっていてというのだ。
「わし等の棲み処にしているが」
「また来るなんて珍しいな」
「まあそれでもな」
「どうかってこともないけれどな」
「あんた達も飲むかい?」
ひょうすべが一升瓶と碗を手に言ってきた。
「そうするかい?」
「いや、いいよ」
「私達お酒はあまり飲まないから」
「ちょっと見に来ただけだしな」
「だからね」
「そうか、じゃあな」
ひょうすべは二人の返事を聞いてだった。
それならとなって下がった、そしてだった。
二人は妖怪達にそれじゃあと言って家に戻った、それで夫や子供達と留守番をしていた娘に商店街のことを話した。
すると娘はやっぱりという顔で両親に言った。
「やっぱりね」
「妖怪達がいてもか」
「驚かないのね」
「犯罪者が棲み付いたんじゃないからいいでしょ」
娘の返事はあっさりしたものだった。
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