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スイッチオン

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第三章

「ここは何とかしないと」
「全国かかってるし」
「夢を適える為に」
「早く何とかしよう」
「スイッチ入れてあげましょう」
「そうしましょう」
 それでどうしようかという話になってだった。
 皆麻美に考えられる限りのことをした。
「漫才やろう」
「落語しましょう」
「男の子の恰好いい画像見せましょう」
「面白い漫画がいいわよ」
「怪談どう?」
「恋愛小説とかは」
 とにかく考えられる限り麻美に見せてだった。
 やってみた、だが。
 麻美のスイッチは入らない、沈み込んだままだった。それでだ。皆試合開始時間が迫っている中で焦りだした。
「どうしよう」
「もう少ししたら試合よ」
「試合開始よ」
「そうなるのに」
「一体どうしよう」
「このままだと麻美ちゃん試合にも出られないわよ」
 スイッチが完全にオフになっているからだ。
「よりによってこんな時に」
「本当に困ったわね」
「何でこんな時にオフになるのよ」
「どうすればいいのよ」
 皆途方に暮れだした、だが。
 ふとだ、誰かがだった。
 自分のロッカーを見てこう言った。
「しまった、お弁当しまい忘れていたわ」
「お弁当?」
「そんなの持ってきてたの」
「そうなの、試合が終わったら食べようって」 
 そう思ってというのだ。
「持ってきてたの」
「そうだったの」
「試合午前中だしね」
「それが終わったらなの」
「食べようと思ってたの」
「ええ、お握り沢山作って」
「お握り?」
 その言葉が出るとだった。
 不意にだ、麻美は。
 顔を上げた、そうして言いだした。
「試合よね、今日」
「えっ、復活?」
「麻美ちゃん復活?」
「スイッチ入ったの?」
「いきなり」
「皆、頑張っていこう」 
 麻美は立ち上がって言った。
「今日勝ったら決勝だし」
「え、ええそうしましょう」
「本当に今日だからね」
「頑張っていこう」
「是非ね」
「うん、ここまできたから」
 だからだというのだ。
「気合入れていこう」
「それじゃあね」
「頑張っていこうね」
「皆で」
「そうしていこうね」
 皆いきなり復活した麻美に驚きつつ彼女に応えた、そしてだった。
 ユニフォームに着替えた麻美と共にグラウンドに出た、麻美はまさに大活躍でチームを引っ張っていき。
 チームを勝利に導いた、皆このことには喜んだ。
「やったわね」
「これで全国よ」
「遂に夢が適ったわよ」
「麻美ちゃんもいてくれたし」
「見事そうなったわね」
 皆グラウンドで抱き合いつつ笑顔になった。だが。
 麻美に事情を聞いてもだった。 
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