| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ケルベロス

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四章

 酒に馳走を振る舞いながら彼等と話した、彼等は真面目にゼウスと話していたが。
 ここでだ、ゼウスにこんなことを言った。
「いや、我等の他にです」
「ケルベロスもいますので」
「安心出来ます」
「若しタンタロスから極悪人達やティターン達が出ても」
「我等の目を掻い潜っても」
「あの子がいますので」
 それでというのだ。
「安心しています」
「無論我等も仕事を全うしています」
「ですがそれでもです」
「ケルベロスがいてくれてです」
「本当に助かります」
「何かと」
「兄弟と同じことを言うな」
 ゼウスは彼等の言葉を聞いて述べた。
「ハーデスと」
「その通りですから」
「我等も悪人や忌まわしき者達を見ていますが」
「それでもです」
「ケルベロスがいるからいいか、しかし」
 それでもとだ、ゼウスは彼等に酒や馳走をどんどん出しながら話した、天界の主神は吝嗇ではなかった。
「あの犬はな」
「外見が恐ろしい」
「毒も持っている」
「だからですか」
「怖いとな」
 その様にというのだ。
「思うが」
「いや、それを言いますと」
「我等もではないですか」
「この外見ですから」
「そなた達の何処が恐ろしい」
 ゼウスはこのことは強い声で否定した。
「その多くの腕がどれだけ素晴らしいか」
「私達は忘れないです」
 ゼウスと共にいるヘラも言ってきた。
「確かに貴方達はウラノス神やティターン神族に疎まれましたが」
「この多くの頭と腕がですね」
「それがですね」
「役に立ったというのですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「私達を助けてくれたではないですか」
「そなた達とサイクロプス達は私の宝だ」
 ゼウスは言い切った。
「だからだ」
「我々は恐ろしくない」
「醜くない」
「そう言われますか」
「その姿が何だ」
 かつて疎まれたそれがというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧