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作者:天上学園
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前書き
テスト投稿です 

 
「……くん……やくん………朋也くん!起きてください朋也くん!」


深く沈んでいた意識が、渚の声で揺り起こされる。渚は俺の肩を揺さぶりながら声をかけていた。


「んー………後5分だけ…」
「ダメです!起きてくださいっ!緊急事態なんですっ!」
「…何?」


緊急事態だと告げる渚のただならぬ様子に、俺の意識が急速に覚醒する。居候をしている古河家で寝ていたつもりが全く見知らぬ場所で眠っていたことに気がついた俺は、薄い布団を跳ね除けると慌てて飛び起きた。


「ここは…どこだ?」
「わかりません。目が覚めたらここに居たんです。朋也くんがすぐ隣で寝ていたので急いで起こしました。」
「そもそも俺達、確か部室に居たよな?」
「はいです。杏ちゃん達もそこに………」


そう言って渚が俺の背後を指差す。今まで気がつかなかったが、そこには確かに杏や春原の姿があり、どうやらさっきまでの俺と同じく眠っているようだった。


「何が起こってるんだ…」
「わかりません。とりあえず杏ちゃん達も起こしてあげませんか?」
「そうだな。もしかしたらコイツらが何か知ってるかもしれないしな。」
「…そうですね。」


そう口にした俺だったが、正直なところ内心期待はしてなかった。渚もそんな俺の気持ちを察していたのか、落ち着いてはいるものの顔には不安が浮かび上がっていた。


渚と手分けして杏達を起こす。と同時に周囲の様子を少しだけ探ってみた。


俺達が目覚めたその部屋は、一見すると演劇部の部室のような部屋だった。だがそこには、部屋の隅に積み上げられた小道具や衣装が詰まったダンボールは無く、代わりに俺達が眠らされて居た簡易ベッドのようなものが有ったり、他にも光坂高校の部室には無かった備品が置かれたりしており、違う場所である事は明白だった。

部屋に居たのは俺と渚、杏、智代、ことみ、そして春原の6人。一緒に居たはずの椋や仁科、幸村の爺さんの姿はそこになかった。


目覚めたのが見知らぬ場所だと気付くと、皆それぞれに焦りや不安、憤りの感情を発露していたが、俺と渚が宥めすかして一様に落ち着きを取り戻した。


「で、ここはどこなのよ朋也。」
「俺だって知らねーよ。」
「私達は確か演劇部の部室に居たはずだが…」
「はいです。智代さんが視察に来られて居た他は、いつも通り挨拶をして基礎練習をしていたはずです。」
「でも、一緒に居た椋や幸村先生はなんで居ないのよ。」
「仁科さん達も一緒に居たはずなの。とってもとっても不安なの。」
「なんか面倒な事に巻き込まれちゃっのかねぇ。」


車座になってあーだこーだと話をする。それで何かが解決するわけではなかったが、こうして気心の知れた仲間達と話をしているだけで、少なくとも不安な気持ちはかなり紛れていた。


『ヨウコソ天上学園へ。私ハげーむますたー。諸君ラヲ歓迎シヨウ。』


とその時だった。不意に校内放送のようなものが流れ出した。ボイスチェンジャーか何かを通したその声は機械的で、聞いているだけで不快感を催す。


『諸君ラニハ今日カラ暫クノ間、Key杯ヲ巡ッテ戦ッテモラウ。詳シイ事ハ部屋二設置サレテイルぱそこんヲ参照スルヨウニ。ナオ、コノ世界二居ル限リ君達ハ死ヌ事ハ無イノデ、存分二戦イタマエ。ソレデハ、諸君ラノ検討ヲ祈ル。』


突然の事にみんな黙り込む。
鍵杯?戦ってもらう?死ぬことは無い?
正直理解が追いつかない。どうやら俺達は何者かに拉致でもされたのだろうか。天上学園と言っていたな。俺の知る限りでは、光坂市近辺にそんな名前の学校は無いはずだ。一体何が起きてるんだ…


「なんか面倒な事に巻き込まれちゃっのかねぇ。」
「お前、さっきもそれ言ってなかったか?」
「そうだっけ?もう忘れちゃったねぇ。」


沈黙を破ったのは、春原の緊張感のない声だった。恐らくコイツは何が起こってるのかは理解していないだろうが、場の重い空気を振り払うためにワザと同じ事を言ったに違いない。相変わらずバカだけどここ一番は気の利く奴だ。ま、本人には死んでも言わないけどよ。


「パソコンを参照しろと言っていたな。」
「智代、これの事じゃない?」


春原がバカを言っている間に、杏と智代がしっかりパソコンを見つけてくれていた。俺は正直、パソコンなんて触ったことが無いからな…ここは杏達に任せておこう。


「ちょっとみんな、狭いとは思うけど画面が見える所に来て。」


任せておこう…と思った矢先、パソコンを立ち上げた杏が俺達を呼ぶ。一体何を見つけたのだろうか。渚やことみ、そして春原でさえもやはり今の状況が気になるらしく、杏の指示に素直に従っていた。


杏の肩越しに画面を覗きこむ。そこには『この世界のルール』『Key杯戦争のルール』『エンジェルプレイヤー取り扱い説明書』『エンジェルプレイヤーを起動』と、メニューらしいものが表示されていた。


「Key杯は、さっきゲームマスターとやらが触れていたな。確かKey杯を巡って戦ってもらう…と言っていたか。」
「そうね。巡って…と言うくらいだから、Key杯って何かの道具なのかしらね。」
「聖杯みたいなものだろうか。」
「多分そうね。」


杏と智代が話を進めてくれている。それはありがたいのだが、早速意味不明の単語が出てきたんだが…


「聖杯って何だい?」
「そこから説明しなきゃならないの?面倒ね…ねえことみ。後でこの馬鹿に聖杯について教えてあげて。」
「うん。わかったの。」


どうやら春原も同じだったようで、話を遮って質問していたが、案の定と言うか何というか…杏に軽くあしらわれていた。ま、後でことみが教えてくれるみたいだが。


「それじゃ、順番に見ていくわよ。」
「先ずは『この世界のルール』とやらだな。」
「そうね。えっと…これは長いわね。」
「杏ちゃん。ここにプリンターが有るの。多分Wi-Fiで繋がってると思うの。」
「ナイスよことみ!そうね…うん。ちゃんと設定もされてるわ。ゲームマスターさんもなかなか気が利くじゃない。よし。それじゃ人数分印刷するわよ。」
「なぁ渚…ワイファイ…ってなんだ?」
「ごめんなさいです…私もあまり詳しく知らないです。」


またまた知らない単語が飛び出してきたので、俺は渚に聞いてみたのだが…渚も知らないらしい。


「春原…は知ってる訳ないか。」
「あなた、相変わらず失礼ですね!」
「事実を言っただけだろ。それとも何か?お前はワイファイとやらを知ってるのか?」
「知らないねぇ。」


春原は知らないと恥ずかしげも無く堂々と言い放つ。ま、こいつの辞書に「恥ずかしい」なんて言葉は有るわけ無いな。


「岡崎さ、絶対ワザと口に出してるよね…」
「ん?すまん。本音が漏れてたか。」


いつものように軽く春原を弄る。俺達にとっては日常の事。この異常事態にあっても、こうしていれば少しは冷静になれるような気がした。



「さて、それはそうと…なぁことみ。ワイファイ…ってなんだ?」


やはり知らないままなのは気持ち悪いからな。ことみなら間違いなく知ってるだろう。


「朋也君。Wi-とは、無線LANに関する登録商標のことなの。Wi-Fi Allianceと言うアメリカ合衆国に本拠を置く業界団体によって、国際標準規格であるIEEE 802.11規格を使用したデバイス間の相互接続が認められたことを示す名称のことなの。無線LANが商品化された当初は、同一メーカーであってもラインナップの異なる製品間では相互接続は保証されていなかったの。それで、購入検討にあたり実際に接続可能かどうかユーザーにとてもわかりづらく、無線LANの一般への普及に問題があったの。そこでWi-Fi Allianceは、ユーザーのニーズを汲んで技術が成熟できるように、この問題を解決するための団体として1999年にWireless Ethernet Compatibility Alliance という団体名でスタート………」
「ストップ!ストーーーップ!!」
「???」


ことみはワイファイの説明を始めてくれたのだが、ぶっちゃけ何がなんだかサッパリである。と言うか何かのスイッチが入ってしまったか…慌てて俺はことみの説明を遮った。


「すまんことみ。俺の聞き方が悪かった。ワイファイとやらを俺でもわかるように簡単に一言で説明してくれ。」
「えっと…一言で言うと、無線LANの統一された規格のことなの。」
「無線…というと、要はそのパソコンとプリンターが無線で繋がってるってことか?」
「簡単に言うとそうなの。」
「そうか。サンキューな。」
「…もっと詳しく説明したかったの。」


規格とか細かいことはわからないが、要は無線で繋がってると言うことらしい。詳しく説明したかった…と、ことみはしょげていたが、渚が上手く慰めてくれるだろう。


そうこうしている間にも、杏と智代は手際よくPC内の情報をまとめてくれていた。


「しかし…これは何と言うか…」
「ファンタジーね。」


智代と杏が印刷してくれた紙、それと二人がこの短時間にまとめてくれたプリントを見る。

なるほど…これは確かにファンタジーだな。



・・・・・・・・・・
『この世界のルール』
この世界は、諸君達が暮らしていた現実世界とは異なる次元にある。「死後の世界」とでも思ってもらえたらいい。
ここでは肉体に如何なるダメージを受けても死ぬことは無い。バラバラの細切れになって焼却されたとしても、24時間もあれば復活する。 (なお、復活に要する時間には個人差がある)

またこの世界では、諸君らが構造を知っている物であれば土塊から作り出す事が出来る。空想の産物でもキチンと理屈さえ通っていれば製造可能である。

この世界はおよそ4km四方の閉鎖された空間である。上空、及び地下においても「果て」が存在するので、Key杯戦争を回避して脱出しようなどと思わない事をおすすめする。

『Key杯戦争について』
文字通り、諸君らにはKey杯を巡って戦って頂く。Key杯とは、手にした者の願いを叶える聖遺物である。是非とも獲得目指して奮戦してくれたまえ。
なお、勝利条件については非公開とさせていただく。

『エンジンプレイヤーとは』
特殊能力(スキル)を人工的に付与させるシステムの事である。
本PCに編集ソフトがインストールされているので、創意工夫を凝らしたまえ。
初期状態でいくつかのスキルが用意されているので、そちらも参考すると良いだろう。
1つのスキルを複数人で共有する事は出来ないので、誰にどのスキルを習得させるか、熟慮したまえ。
なお、スキルの対象は習得者自身のみである。他者に直接干渉するようなスキルは作成できない。
 
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