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レーヴァティン

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第百七十七話 七尾城攻めその十一

「戦いたくない者を巻き込まなかったことはな、そして城の兵達は皆若かったな」
「死ぬとわかっている戦だったので」
「それでか」
「妻や子のいる者もです」
「城から出したか」
「武器を持てぬ者も」
 飯炊きの様な者達もというのだ。
「そうしました」
「戦える者だけが戦ってか」
「死ぬ様にです」
 まさにというのだ。
「しました」
「だからだな、そこまで考え心ある優れた者を殺すなぞだ」
 そうしたことはというのだ。
「俺はしない、だからだ」
「それで、ですか」
「お前がよければな」
「このままですか」
「この地を治めてもらう」
 こう言うのだった。
「いいな」
「そうしていいのですか」
「俺は心のある者を用いる」
 老将に告げた。
「そうするからだ」
「それがしに心がある」
「それがわかった、若し嫌なら寺に入ってもらい」
 英雄はさらに話した。
「もう一度戦ううのならな」
「その時はですか」
「前の様に戦いたい奴を集めてだ」
 そのうえでというのだ。
「俺のところに来い」
「戦えというのですか」
「何度でも相手をしてやる」
 こう告げた。
「そうしてやる」
「そうですか」
「それでどうする」
 老将軍を鋭い目で見つつ問うた。
「これから」
「器が違いました」 
 老将は畏まって答えた。
「ですから」
「降るか」
「はい」
「そうか、ではな」
「この命預けます」
「これからはこの世界の為に戦ってもらう」
 英雄は老将に告げた、そして藤原というその者も用いることにした、そして戦の処理が終わるとだた。
 英雄は軍勢を率いて大坂に戻りそれぞれの領地に戻した、そうしてから仲間達に強い声でこう言った。
「これでだ」
「後はですね」
「東海と甲信、北陸の政を行ってな」 
 紅葉に対して答えた。
「そしてだ」
「そのうえで」
「その政が固まってな」
 そうしてというのだ。
「それからだ」
「再びですね」
「戦を行う」
 その様にするというのだ。
「今度は東国だ」
「関東とですね」
「奥羽だ、だが」
「それでもですか」
「どちらを先に攻めるかというとな」 
 それはというと。
「関東だ」
「そちらですね」
「そうだ、そちらを先に攻めてな」 
 そしてというのだ。
「それからだ」
「関東を完全に掌握し」
「そしてだ」
 それからだというのだ。
「奥羽とする」
「奥州そしてですね」
「羽州だ、こちらはな」
「共にですね」
「攻めていく」
「関東の後で」
「そうする」
 こう紅葉に述べた。
「いいな」
「それでは」
「まずは手に入れた地域をな」
「全てですね」
「しっかりと治めて完全に幕府に組み込む」
 東海と甲信そして北陸をというのだ。
「それからだ」
「東国攻めは」
「それでいい、ではな」
「これよりですね」
「また政に専念する」
 こう言ってだった、英雄は政にあらためて専念する様になった。そうしてまた大坂で長い時を過ごすのだった。


第百七十七話   完


                  2020・9・8 
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