自分勝手な母親と心優しい娘

「奇麗な子っていないっていうね」
「そうよ、身だしなみを整えてね」
　母はその息子に笑顔で話した。
「奇麗になるのよ」
「そうだよね」
「お勉強でもスポーツでもね」
　そうしたこともというのだ。
「努力したらね」
「よくなるんだね」
「最初から出来る人は天才でね」
　そうした人でというのだ。
「この人達は努力を努力を思わないでね」
「努力しているんだ」
「そうした人達だから」
「誰でもやらないと駄目なんだ」
「そうよ、だからメリーもね」
　その彼女もというのだ。
「ちゃんと整えたからね」
「奇麗になったんだね」
「そうなのよ」
　こう息子に話した、そして家にはメリーを拾った栄子もよく来て彼女を見て可愛がる様になっていた。
「メリー、こんにちわ」
「ワンッ」
　メリーも家族ではないが自分を拾って助けてくれた栄子に懐いていた、彼女達はとても仲がよかった。
　栞奈はそうした光景を見てメリーを引き取ってよかったと思っていた、だがそんな時にまたであった。
　栄子の母親連萌がまた言いだしたのだ。
「うちの犬をね」
「うちがか」
「勝手に貰ってとか言って」
「それでか」
「そうして返さずに育てているとかね」
「言い回ってるんだな」
「ママ友達の間でね」
　そうしているというのだ。
「あの人達はね」
「そうなんだな」
「ええ、だからね」
　それでというのだ。
「困ってたけれど」
「本当に性格の悪い人だな」
「実はママ友の間でもね」
「評判悪いんだな」
「いい筈ないでしょ」
「ああ、そんな人がな」
　夫は妻に答えた。
「嫌われて当然だな」
「だからね」
「それでか」
「性格悪いって評判で」
「その言い回っていることもか」
「元から信用されていなくて」
　それでというのだ。