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吸血鬼になったエミヤ

作者:炎の剣製
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041話 学園祭編 まほら武闘会

 
前書き
凍結したと言ったな?嘘ではないが解凍したよ……。気まぐれな私を笑うがイイサ。 

 


シホ達は一旦落ち着いたところで夜はどうしようかという話になっていた。

「シホ。これからどうするんだい? 僕達はもう少し屋台などを周りたいとは思っているんだけどね」
「そうですね……」

切嗣にそう聞かれてシホは悩んでいた。
特段シホとタマモもこれと言ってもう本日の用はないに等しい。
ちなみに、すでにネギ達はシホにバレない様に雲隠れしていた。

「シホ様、でしたらなにやらきな臭い話である『まほら武闘会』を見てみるのもいかがではないでしょうか?」
「まほら武闘会かぁ……でも、なんか弱小なサークルの大会なんでしょう?」
「そうですね。ですが賞金は10万は貰えるそうですからシホ様なら楽勝ではないかと……」
「出るとは言っていないし、エントリーもしていないからね?」

それでもシホは暇つぶしにはいいかもしれないと思っていた時であった。
脳内に念話が響いてきたのは。

『シホ……今大丈夫か?』
「エヴァ……?」

それでシホも仮契約カードを取り出して通話を試みてみる。

『どうしたの? たまにしか使わない機能なのに……』
『まぁそう言うな。なにやら面白い大会が開かれそうなんで貴様にも声を掛けておこうと思ってな』
『それって……ネギ先生も出るとかいうまほら武闘会?』
『ああ。それで間違いない』
『でも、そんなでかい大会じゃないんじゃない?』

そこまで話をするとエヴァが念話越しに含み笑いをしながらも、

『本当ならそうだったんだがな、なにやらあの超鈴音が複数の大会をM&Aして一つの大会にして開くそうだ』
『超さんが……?』
『お前としては気になるのではないか? あの超鈴音の悪だくみが分かるかもしれないのだぞ?どうする、シホ……』

今まであまり関心がなかったシホであったが、超の名が出た途端、一気にきな臭い雰囲気が増したのを感じたシホは、

『…………、わかった。私達もこれから顔を出しに行くわ』
『そうこなくてはな。楽しみにしているぞシホ。もしやしたらお前とも戦えるやもしれんからな。あ、場所は龍宮神社だからな』

そう言ってエヴァとの念話は切れたのであった。
それでシホもこれからの方針が決まったのを合図に仮契約カードをしまい、

「気が変わりました。まほら武闘会に行ってみましょう」
「え!? シホ姉ちゃん、大会に出るのか!?」
「わー! 面白そう!」

士郎とイリヤがそれで楽しそうに話している。
尊敬しているシホがもしかしたら活躍するかもしれない、それだけで二人の子供心は沸き立っている。
そんな二人の視線に思わずシホはというと、

「(そんな視線で見られたら今更出ないだなんて言えないじゃない……)」

と、思っていた。
そこにアイリが話しかけてくる。

「シホさん。でもなんか私、嫌な予感がするのだけど……」
「アイリ。きっとその思いは間違いじゃないと思うよ? もしかしたら噂に聞く“あの”まほら武闘会だったら昔はいいけどインターネットが発達している昨今じゃ厳しいかもしれないからね」
「切嗣さんはまほら武闘会についてなにか知っているんですか?」
「まぁね。僕も噂でしか聞いたことはないけど、なんでも25年前までは裏世界の住民がこぞって参加していたらしいからね。
それに、シホにも関係してくるけどあのナギ・スプリングフィールドも25年前に参加していて優勝しているらしいからね」
「あのナギが……」
「初耳な話ですね、シホ様……」

そんな話は初めて聞いたのでまだまだナギの事を知らない事が多かったんだなとシホは感じていた。
とにかくシホ達はそれで龍宮神社まで向かうことにしたのだが、到着してみたらそれはもうたくさんの人が集まっていた。
見れば格闘家とわかるような恰好をした人が複数いた。
そしてその中にはよく見ればネギや小太郎、他にも3-Aの戦闘に長けている猛者達もほとんどがいた。

「わー! なんかすげー光景だな! 天下一武闘会でも開くのかな!?」

士郎がそれで興奮しまくっていた。
それとは別としてネギ達がシホの姿に気づいたのか近くに寄ってきた。

「あ、シホさん。シホさんも見学に来たんですか?」
「はい。ネギ先生達も……?」
「そうなんですよね」

シホとネギが呑気に会話をしているが、タマモはタマモでアスナ達に話しかけていた。

「アスナに刹那さん達は先ほどぶりですね~」
「「えっ……?」」
「(ん……?)」

アスナ達のそんな反応にタマモは内心で首を傾げた。
反応からして先ほどの事で気を遣ってくるというのを予想していただけになにも知らなそうなそんな表情に思わず疑惑が深まる。

「その、アヤメさん、先ほどとは……?」
「ですから、先ほどまでわたくし達を尾行していましたよね?」
「えっ!? そうなの!?――――あー……もしかして、また使ったのかな……?」
「恐らくですが……」

アスナと刹那は二人だけが分かるそんな会話をしているが、タマモはいまいち要領を得ていないために、二人に近寄っていく。

「……なにやら訳ありみたいのようですね……そこのところを後で詳しく教えてくださいましね?」
「「は、はい……」」
「それに、話的にもしかしたらわたくし達と一緒にいる人達の事は知らなそうですしね」

タマモの推測は、果たして当たっていたようだ。
アスナと刹那はイリヤとアイリの姿を目に入れて驚きの顔をしていた。

「シホに、似ている……」
「そうですね……」
「なるほど……(これは時渡りの術かなにかですかね……にわかには信じられませんが……)」

タマモはそれでもう事情はなんとなく察したのか、これ以上は触れない様にすることにした。
触らぬ神に祟りなし、藪をつついたら痛い目を見る。






そして、一千万という賞金を前に各々が騒ぎ出している中で、シホはエヴァと話し合っていた。

「つまらん児戯だが、シホ、貴様はどうするのだ? お前としてもこの大会の根底を知りたいところなのだろう?」
「そうねぇ……でも、私が出てもバランスブレイカーのような気がしているから見学でもいいかなって思っているけど……」

それで視線を切嗣達に向けて、エヴァも視線の先にすぐに気づいたのか一瞬ではあるが驚きの表情をしたが、すぐに納得したのか、

「…………なるほど。この世界でのシホの家族共か。なかなかに面白い光景ではないか」
「まぁ、変な神の悪戯には感謝しかない出会いなんだけどね」
「ふむ……。そしてあの小僧どもにはかっこ悪いところは見せられないというところか」
「そんな感じ。予選でもカッコいいところとかは見せておきたいけど、本選ではどうしようかって感じで……」

それで悩むシホ。
シホの言う通り、バランスブレイカー……言いえて妙である。
エヴァのように力を封印されていないから尚更に。

「ま、精々悩め。そんなに時間もないだろうがな」

見れば会場には超の姿があり、説明時に呪文の詠唱は禁止などと結構すれすれな事を宣っていた。

「あんなことを言ってるんだから怪しさ全開だし、超さん」
「そうだな。まぁ、私には知った事ではない話だがな。バレるならバレるで結構。環境が変わればその世界で適応していけばよい事だしな」
「その意見には半分同意するけど、でもまだこの世界には魔法がバレるのは時期尚早だと思うし……」
「そうだが……適当にすごしていればおのずと変わっていくものだぞ?」

そんな会話をしていると、ネギもエヴァの姿を確認したのか、

「ふふふ……私の事を忘れているんじゃないか? ん、ぼーや」
「ま、師匠(マスター)ッ!?」

そして内容的にデートのような会話が成されている。
私に負ければ最終日は付き合ってもらうとかなんとか。

「お、そうだ。こういう場では私の従者であるシホも参加させないといかんな!」
「ちょ……まだ出るとは……」

シホがまだ出るか決めていないが、そこで追い打ちの様にタカミチが現れて、

「ネギ君達に……それにシホ姉さんも出るのなら僕も出ようかな?」
「タカミチ……本気?」
「そのつもりだけど……運よく当たったらシホ姉さんに僕の集大成を見せたいし」
「こんな本気も出せない大会でー……?」
「そこはほら。臨機応変にしないとね」
「言うようになったわね、タカミチ」

シホとタカミチのそんな会話に引きずられたのかアスナとかも参加するとかいう始末でシホはまだ士郎達の憧れの視線が自身に注がれているのを無視できないために、

「はぁー……わかったわよ。出ればいいんでしょ出れば……」

大量にでかいため息を吐きながら、いつもの片頭痛が起きたかのように頭を抑えながらだるそうげにそう答えたシホであった。

「シホさんも出るんですか!?」
「そんな話になってしまったようでして……ネギ先生、もしもの時はお覚悟を」
「ひ、ひえー……」

それであの弟子入りテストの時を思い出したのかシホの胸を貫いた方の手が微妙に震えているネギである。
だが、そんな弱気なネギの心境のところで、超が追加でとある情報を与えた。





曰く、――――25年前のこの大会の優勝者は『ナギ・スプリングフィールド』と名乗る10歳の子供だと。




それを聞いたとたんにネギの表情が一気に引き締まった。
その変化を見て、

(やはり、父の名が出ると表情が変わるのね。ネギ先生……)

そんな事を思うシホの姿があり、それならと思い、

「では、ネギ先生。先ほども言いましたがもしもの時はお願いしますね」
「はい! あの時より鍛えた僕を見せます!」

先ほどまでの弱気な反応などすでになく、戦うものの顔になっていたためにシホも幾分やる気になっていた。
そしてそのまま会場の中へと入っていくシホ達。
応援席では士郎達とタマモが一緒にいて、

「シホ姉ちゃん! 頑張れー!」
「シホお姉ちゃん、頑張ってー!」
「シホ様、応援しておりますね!」

と、すでに観戦する気満々だったためにシホはやんわりと手を振りながら応えていた。
ふと、視線を会場一体に向けて見れば、ネギが参戦しているグループの中にフード姿のアルの姿を確認できたシホはというと、

(アルもなにやらモノ用みたいね……波乱に満ちているわねこの大会。まるで小同窓会みたいで……)

そしてすでに予選は始まっているようであちこちで戦闘が開始されている。
そんな中でシホのグループにはなぜか愛衣の姿があったために、

「愛衣ちゃんもこの大会に何か用があるの……?」
「はい。超さんの監視も含めて出場しています。それより……シホさん、その……その仮装のまま出ていますと可愛いですけど、冗談でもある意味怖いですよ?」
「あっ……」

そういえばとシホもそこでやっと気づく。
自身の衣装は可愛い吸血鬼の仮装のままだったのだ。
朝倉もそこは外さないかったのかタイミング悪く、

『そしてなぜか可愛い吸血鬼の衣装の女の子が紛れ込んでいる!違う舞台のゴシック衣装の少女とともこの子の詳細はいかほどに!?』

と、すでに会場を盛り上げていたために、

「…………朝倉、あとで絞める」

そう決意しつつ、

「愛衣ちゃんはちょっと下がっていて。片付けるから」
「わ、わかりました……」

そして愛衣が下がったのを皮切りに精神集中したシホはというと、一瞬でその場から姿を消したかと思ったら舞台上にはすでに愛衣とシホ以外の選手達はすでに白目を剥いて伸びていた。
その一瞬の出来事によって会場はどよめきとともにシホに注目が集まる事になっていた。
観戦していた千雨はというと、

「(な、なんだ!? あいつもなんか実力者だったのか!?常識者の仲間だと思ったのに……)」

と、裏切られたような心境だったという。

『おおっと!? なんだこの早い幕切れは!? あの少女は一体!? っていうか、エミヤーン。少しは加減しようよー!?』

そんな朝倉の実況など気にせずにシホはそうそうに舞台を出ていくのであった。
舞台を出た後に愛衣に話しかけられて、

「その、シホさん……やっぱりすごい実力ですね」
「まぁ……少し頭に血が昇っていたのもあるね、反省……」

頭を抑えつつこれからどうしようという感じのシホが出来上がっていた。
それで他の舞台も粗方終わったのかトーナメント表が発表される。





Aブロック

一回戦目  佐倉愛衣  vs 村上小太郎

二回戦目  シホ・E・シュバインオーグ  vs クーネル・サンダース

三回戦目  長瀬楓  vs 中村達也

四回戦目  龍宮真名  vs 古菲

 

Bブロック

五回戦目  田中        vs 高音・D・グッドマン

六回戦目  タカミチ・T・高畑 vs ネギ・スプリングフィールド

七回戦目  神楽坂明日菜    vs 桜咲刹那

八回戦目  エヴァンジェリン・A・K・マクダゥエル  vs 山下慶一




そんなトーナメント表を見て、シホは思わず苦い顔になった。
エヴァとやるならまだしもまさかのクーネル……いや、アルとの戦いとなったからだ。
そんな、少しやりにくそうな相手となった事をまだ知らないエヴァはというと、

「ふっ……シホ、貴様とは別の方になったな。これでAブロックは決まったようなものではないか」
「普通ならそう思うよね、普通なら……」
「ど、どうした? その腑抜けたような顔は……?」
「エヴァもそのうち気づくんじゃない……?」

そんなどこか投げやりなシホの言葉にエヴァは頭を悩ます事になるが、翌日には気づくだろうとシホは思いつつ、

「(超さん……この大会の不安要素同士をぶつけてきたわね。やり手だね)」

と感じ取っていた。
 
 

 
後書き
エヴァとぶつけるのも考えたんですが、こうなりました。 
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