ソードアート・オンライン 剣が有るなら盾も必要じゃない?
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剣と盾
デスゲーム始動
βテスター
前書き
作者の思い付きで始めますので、めちゃくちゃかも知れませんが、作者の妄想を笑いながらも楽しんでいただけたら幸いです。
では、始まります。
ソードアートオンライン。完全なる仮想空間への接続を可能にしたナーヴギアを使用して、バーチャルリアリティ世界を楽しむ初のVRMMORPG。
そのβ版の抽選を見事引き当てた俺は、もう直ぐ終わるβテスト期間の内に第8層までたどり着いた。
勿論1人では到底実現させられるわけも無く、今ではこの世界で隣に居るのが当たり前になった存在、所謂相棒と呼ばれる存在と共に今しがた第7層のボスを倒した所だ。
時間にして約1時間ほどの戦闘。その運動量を演算処理したナーヴギアから齎されているであろう仮想の疲労感に、相棒と共にその場にへたり込む。
「はあ、はあ、いまだに思うけどさ、この疲労感的な物は必要なのかねぇ。」
「はあ、はあ、これがなきゃ、達成感が半減すると思わないか?」
違いね。と短く答えて瞳を閉じ、強敵を倒した達成感に浸る。
疲労感と言っても、やはりそれは仮想空間で齎される幻想なのだろう、でなきゃ1時間も動いていられないし、今の短い会話の内にその疲労感も荒れた呼吸も平時のものに戻りはしないだろう。
正に都合の良いリアリティだと思うと共に、凄い世界だとも思う。
そんなどうでも良い事を考えている俺の横で、疲労感が無くなったのを合図に、相棒は「よっと。」と立ち上がり、ボスを倒したことで通れるようになった門へと足を進める。
「お、おい、もう行くのかよ。」
そんな彼の背中に、少しあせって声をかけるが、彼はそんな俺に振り向きながら、呆れた表情と共にため息を吐き、いまだに座ったままの俺の所まで歩を進めて笑顔と共に手を差し伸べる。
「当然だろ?β版も今日で終わりなんだ。少しでもこの世界の事を知っておきたいと思わないか?」
その笑顔に少し呆けてしまったが、その表情を苦笑いに変えてその手を握る。
「だな。」
短い返事。でもそれで十分だ。短い時間では有るが、彼とはこの世界で濃密な時間を共に過ごしてきたのだ、彼がこの世界でどのような思考を持ち、どのように楽しんでいるのかはそれなりに理解しているつもりだ。
フロアボスを倒した後に通れる様になる、次のフロアへの扉に肩を並べて進んでいく。
「次の世界はどんな所だろな?」
見れば解る事を、わざわざ疑問にした質問。
「さぁな。」
無愛想な返し。
この世界でコンビを組むようになってから毎回続けてきた短い会話。
でも、それが心地良い空気を作る。互いに微笑を浮かべて次なる世界に歩を進める。
第8層。
それは、第1層と似たような世界だった。
「何だよ、少し拍子抜けだぞ?これは。」
紫色の狼型モンスターの攻撃を盾で防ぎながら不満を述べる。そう第8層はこの世界の第1層をそのまま移したような作りになっていたのだ、出て来るモンスターやアイテムにも真新しい物は無く、第1層から第7層までのモンスターやアイテムの数値を強化した物が現れたのだ。
軒並み能力は上がっているが攻撃パターン等が同じなのだ。
バーチャルリアリティを売りにしたこの世界でもステータスの強化は勿論強さに多大な影響を齎すが、其れだけではバーチャルリアリティを取り組んだ意味が無い。そう攻撃を避ける動作や、攻撃を放つ動作はプレイヤーの運動神経や反射神経が影響を与えるのだ。確かに其れだけでは平等性に欠ける為にナーヴギアが脳に与える電気信号を介して補助を行うが、大なり小なりは其処にも影響力を残している。
それはリアルの経験値のみではなく、勿論この世界での経験値も然りだ。故に相手の動きが解ってしまうと言うのは、かなり面白みに欠けてしまうのだ。
初めてこの世界に踏み込んだ時には、何もかもに感動していたのに対して、既に其れが不満に変わってしまっている辺り人とは欲望に限りが無い物だと思う。
「まあ、仕方が無いんじゃないか。多分、GMもこのβ期間中に此処まで来る奴が居るなんて思ってなかったんだろう。」
どこか諦めの入った様な発言をする相棒は、俺が盾で動きを止めたモンスターにリーパーを放つ。ソードスキルを受けたモンスターは、妙にリアルな獣特有の叫び声を上げて青いポリゴン片となり散る
「おっ、俺凄ぇ発言ですか?やっぱり強い人は言うことが違いますなぁ。」
「お前もその一人だろうに、よく言うよ。」
お互いに冗談を言い合いながらこの世界のフィールドで狩を続けていく。既に日は傾き始め、仮想世界の空をオレンジ色に染め上げて、唯でさえ幻想的な世界を更に美しい物へと変えている。
この世界が一望できるような高台に辿り着いた時に、どちらからともなくその場に腰を下ろして夕日を黙って見つめる。
「あーぁ、今日で終わりかぁ。」
そのまま倒れこむようにして仰向けに倒れて、テンションの下がった声で呟く相棒。
その声色や表情からも、この世界に対して心残りが有るのは明らかだった。同じ気持ちの自分には其れが手に取るように解る。
「まぁ、正式サービスは直ぐなんだし、其れまでの我慢さ。」
倒れこんだ為に、自分の少し後ろに有る彼の手が虚空へと伸ばされるのが視界の端の方に映る。
つられる様に見上げた空は、青と橙色とが絶妙に入り混じった美しい色に染まっている。これが作り物だとは俄かには信じられないリアルさが有る。
少しの沈黙の後に、彼が其れを破る。
「正式サービスには?」
「・・・もち。」
「だよな。」
短い会話。
それだけで十分。その会話が合図だったかの様に、腹に響くような低い鐘の音が鳴り、同時にアナウンスが流れる。
「この度は、ソードアート・オンラインのβテスト版をプレイして頂き、誠に有難うござしました……………。」
アナウンスが流れると同時に、どちらからとも無く立ち上がる。
何所までも続く幻想の世界を、この目に焼き付けるように見つめた後に振り向き同じように景色を見つめていた相棒に手を差し出す、所謂握手の催促だ。
彼は、暫くその手を呆けたように見た後に後頭部を掻いてから、顔を少し横にそらして仏頂面で手を握てくる。
「握手ぐらいで照れるなよ、こっちまで恥ずかしくなる。」
相変わらずだと、苦笑いを浮かべておちょくってやると、案の定「照れてねぇよ。」とむきになって言葉を否定してくる。言外にいろいろと出過ぎだ。短い付き合いだが彼は嘘がつけないと言うのは解ってしまっている。いや、俺じゃなくても少し付き合えば誰もが思うことだろう。
故に思う、思える、良い奴だと。嘘がつけ無いこの天邪鬼が悪い奴な訳がない。なりようが無い。
いまだに拗ねた表情で顔をそらす彼を出来の悪い弟の様だと思いながら、握る手に少しだけ力を込める。
その動作を不思議に思った彼の視線が、俺に向いたのと同時にここ一番の笑顔を向ける。
「また、会おうなキリト。」
またもや呆けた表情のキリトだが、直ぐにその顔を笑顔に変える。
「ああ、またなシルド。」
「それでは、この度は最後までソードアート・オンラインβテスト版をプレイして頂き、有難うございました。」
アナウンスが流れた後、視界がホワイトアウトした。
後書き
想像です、いや、残像だ。なんだ・・・と。
っと言うことで、ちまちまと進めて行きたいな~なんて。不定期です、ええ、不定期ですとも、原作読んでないですとも。
アニメしか見てないですとも。
故に想像だ、想像するのです。
誤字や脱字があれば教えていただければ嬉しいです。
とっ言うことで、今後ともよろしくお願いできればな~なんて。
失礼します。
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