側溝の中から
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第三章
「保健所の人に来てもらってね」
「あの娘捕まえてもらうの」
「それで私達が引き取りましょう」
「そうしてもらうの」
「そうしてもらったら」
それでというのだ。
「あの娘助かるから」
「それじゃあ」
「ええ、すぐに連絡しましょう」
聡子は自分の携帯を出してすぐに保健所に連絡した、すると保健所の人はすぐにずっとその場で子供達を心配して見守っていた母猫を捕まえた、そして二人に聞いてきた。
「この子もですか」
「はい、引き取ります」
「それで育てます」
「お願いします、大切な命ですから」
保健所の若い男の人は二人にこのことを話した。
「宜しくお願いします」
「はい、それじゃあ」
「母子三匹引き取らせてもらいます」
「ニャーーー」
母猫は保健所の人の手から二人に引き渡された時鳴いた、聡子は自分が持っていた白猫を牧子に一旦預け自分は母猫を持った、そうしてだった。
二人は隣同士の部屋ということで一緒に猫を飼うことにした、二つの部屋で三匹を飼いはじめた。ここで二人はその方が猫達にいいと話して一つの部屋に同居をはじめ二人で一緒に三匹の面倒を見ることにした。
母猫はカナ、白猫はシロ黒猫はクロと名付けられた。三匹共仲良く一緒に暮らしはじめたがその彼女達を見てだった。
聡子は牧子にこう話した。
「まさか溝の中にいるなんて」
「思わなかったわよね」
「そうよね」
「ええ、けれどね」
「それでも助けられてね」
「こうして一緒に暮らせる様になって」
それでとだ、牧子は三匹に餌をやりつつ同居人となった聡子に話した。
「よかったわね」
「本当にそうよね」
「カナもね」
母猫もというのだ、見ればカナは自分の周りにいるシロとクロを大事そうにあやしている。甘噛みもしている。
「一緒だしね」
「ええ、これからも三匹一緒に暮らしていける様にしないとね」
「私達も頑張ってね」
「そのうえでね」
二人で笑顔で話した、そうしてだった。
三匹にご飯を出した、するとだった。
三匹は仲良くご飯を食べはじめた、二人はその三匹を見てまた笑顔になった。
側溝の中から 完
2020・10・19
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