レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百七十五話 冬が終わりその六
「好きだ」
「そやな」
「それで特にだ」
「肝臓やな」
「美味いし身体にもいい」
「そやからやな」
「好きだ」
またこう言った。
「生でもな」
「生レバもか」
「あれを刺身にしてだ」
その様にしてというのだ。
「食うこともな」
「好きやな」
「起きた世界でもこの世界でもあまり食えないが」
それでもというのだ。
「好きだ」
「そやねんな」
「だから魚のそれもだ」
「好きやねんな」
「そういうことだ」
「成程な」
「それでだ」
英雄は今はすき焼きの肉を食べつつ話した。
「今度鯉を食う時はな」
「鯉の肝もやな」
「内臓全体をな」
肝臓だけでなくというのだ。
「食う」
「そっちもやな」
「頭やあらは吸いものにしてな」
そうして食べてというのだ。
「そしてだ」
「そういうことやな」
「あと揚げてもだ」
鯉をというのだ。
「好きだ」
「いや、鯉を刺身にするならだ」
幸正が言ってきた。
「別の魚にすべきだ」
「揚げるのはか」
「鯛がいいかも知れない」
この魚だというのだ。
「天麩羅でも素揚げでもいいが」
「鯉を刺身にするならか」
「揚げるのはな」
まさにというのだ。
「別の魚にしてだ」
「食うべきか」
「同じ魚ばかりだと飽きる」
だからだというのだ。
「それでだ」
「揚げて食う魚はだ」
「別のものにすべきだ、そして鯉に対することが出来る魚は」
そこからもだ、幸正は話した。
「鯛だ」
「魚の味か」
「それで言うとな」
「鯉に対する魚は鯛しかないか」
「そうだ、だから鯉を刺身にしたならな」
それならというのだ。
「揚げるのなら鯛がいい」
「そういうことか」
「こちらも美味いしな」
「確かにな、俺は鯛も好きだ」
この魚もとだ、英雄は答えた。
「非常にな」
「そうだな」
「あの味がだ」
まさにというのだ。
「実にいい」
「刺身にしてもいいがな」
「他の味もいい、だが揚げてもか」
「実にいい。今度食ってみることだ」
「ではな」
「まあ普通はであります」
ここで峰夫がこう言ってきた。
ページ上へ戻る