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レーヴァティン

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第百七十四話 冬の嵐その九

「自ら来るもよしでだ」
「使者の言葉に従うもよし」
「どちらでもな」
「まずはでござるな」
「迎え入れることだ」
 幕府にというのだ。
「出来るだけ降る者を増やしていく」
「そして春になれば」
「戦だ、だが戦までにな」
「戦になることを少なくするでありますな」
「そうしていく」
 こう言ってだ、英雄は実際に政を進めていった。貨幣のことにそして北陸のことにとそうしていった。
 そしてだ、大坂で雪を見て言った。
「奇麗なものだが」
「その雪がですね」
「今はですな」
「我等の邪魔になっていますな」
「そうだ」
 幕臣達に答えた。
「深く積もってな」
「そのせいで、ですね」
「兵を進ませられない」
「その為に」
「俺達もだ」
 その雪を見ながら話した。
「どうしてもな」
「今は、ですね」
「動けない」
「左様ですね」
「どうしても」
「春まで待つ」
 そうするというのだ。
「そして今はな」
「政ですね」
「それを行っていきますね」
「春までは」
「腰を据えて」
「そうする、戦は出来ずともな」
 それでもというのだ。
「やるべきことは多い」
「はい、そうです」
「政のことをお願いします」
「これからも」
「それではな、それでだ」
 英雄は幕臣達に話した。
「貨幣のことだが」
「西の浮島と合わせる」
「あちらのものがこの世界共通の貨幣はので」
「それで、ですね」
「そちらに合わせますね」
「貨幣を一つにしてこそだ」
 まさにというのだ。
「世界は一つになる」
「ですね、商いも楽です」
「世界の殆どが海に沈みこの浮島では次第に昔の貨幣が復活してです」
「今に至りますが」
「貨幣についてはですね」
「戻しますね」
「そうすることにした」
 仲間達と話して決めたことを述べた。
「これからはな」
「わかりました、ではです」
「西の浮島のものにしましょう」
「今は使われていない貨幣に戻し」
「そして新たに造る貨幣も」
「大判や小判は止めてだ」
 無論銀貨や銅銭もだ。
「その様にしていくぞ」
「わかりました」
「ではその様にしましょう」
「そしてそのうえで」
「西の浮島と商いもしましょう」
「ではな、あと空船も増やす」
 西の浮島との行き来に使っているそれもというのだ。
「軍勢のそれも増やすが」
「それと共にですね」
「商いのそれも増やす」
「そうしていきますか」
「そうする、しかし」
 英雄はこうも言った。
「二つの浮島の大きさはほぼ等しかったな」
「はい、実は」
「そうなのです」
「どちらもあまり大きさは変わりませぬ」
「そこにいる人の数も」
「そうだな、そして文明の程度もな」
 これもというのだ。
「どうもな」
「変わりないですね」
「然程ですね」
「左様ですな」
「だがこの世界全体では低いか」
 どちらの浮島もというのだ。
「そうか」
「それは、です」
「書を読むとです」
「かつてはより程度が高かった様ですな」
「世界が石に変わり海に沈むまでは」
「それまでは」
「俺の世界で言う産業革命が成っていた」
 この世界のかつてはというのだ。 
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