レーヴァティン
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第百七十三話 北陸攻めの前にその八
「人が出来ることはです」
「限りがあるな」
「そうしたものなので」
「俺達もな」
「冬で戦が出来ないなら」
それならというのだ。
「諦めるしかないです」
「その通りだな」
「ここで若し兵を出せば」
どうなるかとだ、桜子は言った。
「荒波と雪でとんでもないことになるよ」
「全くだな」
「どっちも馬鹿に出来ないからね」
「船は荒波に飲まれる」
「そして雪で行く手を阻まれて」
「補給も進軍も出来ずな」
「凍傷にもなってね」
将兵が傷を受けてというのだ。
「どうにもならなくなるよ」
「それが冬というものだ」
「この浮島でもそうだからね」
「ここはな」
「仕方ないよ」
「春まで待つことだな」
「出来ることをして」
そしてというのだ。
「そのうえでね」
「動くべきだな」
「東海は順調にいったと言っていいしね」
その全土の掌握がというのだ。
「だったら欲張らずにっていう意味でも」
「今は北陸を攻めないことだな」
「今戦の準備をしても戦をするのは冬だしね」
「ならな」
「大人しくしておこうね」
「それではな」
英雄は桜子の言葉にも頷いた、そうしてだった。
今は兵を進めなかった、ただ戦の用意をするだけだった。そして自分達は一旦大坂に戻り兵達も戦の準備をしつつ休ませた。
その間北陸のことも調べさせ。
東国のことも調べさせた、するとだった。
「関東も東北も蝦夷もな」
「それぞれの勢力でまとまったでござるな」
「統一されたな」
こう智に話した。
「今は」
「そうでござるな」
「関東、東北、蝦夷でな」
「そしてでござる」
「幕府に従わないな」
「そうなっているでござる」
「ならだ」
英雄は鋭い目になって述べた。
「これからはな」
「それぞれの勢力をでござるな」
「北陸攻めの後でな」
「兵を進め」
「そして倒す」
その様にするというのだ。
「次はな」
「そうするでござるか」
「今度はな、しかし」
「今は」
「北陸だ」
この地域だというのだ。
「あちらをな」
「攻めるでござるな」
「まずはそこだ」
英雄は強い声で言った。
「何といってもな、そしてな」
「それからでござるな」
「東国だ、北陸より先に関東という手もあるが」
「それは、でござるな」
「それもいいが」
それでもというのだ。
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