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とある星の力を使いし者

作者:wawa
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第5話

「あんた一体なにしたの。」

美琴は麻生が一体何をしたのか聞く。
麻生はめんどくさそうな顔をしながら美琴の質問に答える。

「あれは重力子(グラビトン)の数ではなく速度を増加させそれを一気に周囲にまき散らす。
 なら、あの重力子(グラビトン)を空間の檻で囲みその中の重力子(グラビトン)に干渉してその速度の増加を止める。
 その後、速度を減少させていって最後には消滅する。
 これで満足か?」

美琴はその説明を聞いて唖然とする。
美琴は麻生の能力は空間能力者の類だと思っていた。
しかし、重力子(グラビトン)の速度に干渉するなど明らかに空間能力者とは違う能力を使っていた。

「ほんと、あんたは一体何者なの。」

前にも同じ質問をする。

「通りすがりの一般人Aだ。
 それ以上でもそれ以下でもない。」

美琴と麻生が普通に話をしていると初春は何も起こっていない事に気づき周りを確認する。

「あの・・・爆弾は・・・」

「ああ、それはこいつが・・・・」

美琴があの爆弾を止めたのは麻生だと言おうとした。
しかし麻生が美琴の言葉を遮るように言う。

「それよりお前達はこの男を探せ。」

麻生はポケットから何かを出して美琴に見せる。
麻生が持っていたのは写真でそれに写っていたのはあのぬいぐるみを持った男の顔だった。

「こいつが例の爆弾をあの子供に持たせた犯人だ。」

「!?・・・どうしてあんたがこの男の写真を持ってんのよ?」

「あの子供にぬいぐるみを渡す所を見たからな。
 その時見た男の顔を能力で写真化しただけだ。」

ますます麻生の能力が分からなく美琴。
ふと初春の方を美琴が見るとじーっと麻生の方を見ていた。
麻生もその視線に気づいたのか初春の方を見る。

「俺の顔に何かついているか?」

麻生が初春にその視線について聞く。

「やっぱりあの時の人ですね!!!」

初春はそう言って麻生の手を掴みブンブンと上下に振り回す。

「ねぇあんた初春さんと知り合いなの?」

「いいや、初対面の筈だが・・・・」

麻生は自身の記憶を辿ろうとした時、ヒュンと音と同時に何もない所から白井が現れる。
どうやら初春が狙われたことに気づき能力で此処まで飛んで着たようだ。

「初春!!!大丈夫ですの!?」

「あっ!!白井さん!!
 見てください、この人を!!!」

初春に言われ白井も麻生の顔を見る。
すると白井も麻生の顔を凝視するとあっ!!の言葉と同時に麻生の左腕をがっちり掴む。

「ようやく見つけましたわ。
 もう逃がしませんわよ。」

「あんた黒子とも知り合いなの?」

「どちらとも初対面だ。」





時を遡るほど去年の冬。
白井がまだ常盤台中学入っておらず風紀委員(ジャッジメント)の資格は持っていたが実践に参加した事はなく裏方の雑用や先輩同伴のパトロールばかりなのだ。
風紀委員(ジャッジメント)
学園都市における警察的組織その二。
生徒(能力者)によって形成され、基本的に校内の治安維持にあたる。
九枚の契約書にサインして、十三種の適正試験と4ヶ月に及ぶ研修を突破しなければならない。
風紀委員活動の際には、盾をモチーフにした腕章をつける。

「こっちは特に異常なしっと。」

肩まで伸ばした黒髪と眼鏡が特徴の女子高校生、固法美偉が機械の画面を見ながら呟く。
今日も先輩である固法美偉と一緒に第七学区に見回りをしている。
白井は固法に自分の待遇について聞く。

「なぜわたくしに任されるのは裏方の雑学や先輩同伴のパトロールばかりなんですの?」

白井は座学も実技も能力測定全てにおいて成績優秀な自分が半人前扱いされるのが不満なのだ。
白井は自分が小学生だから任せられないのだと思っている。
固法はそんな白井の質問に白井の頭に手を乗せて答える。

「年齢の問題だけじゃないわ。
 あなたの場合なまじポテンシャルが高い分全てを一人で解決しようとするきらいがあるからね。
 もう少し周りの人間を頼るようにならないと危なっかしいのよ。」

頭をなでながら固法は言う。
白井はこの行為がすでに子供扱いされているのだと思う。
固法と白井は再びパトロールを再開する。
そして郵便局に入り怪しい人物がいないか確認する。
すると入り口の方で初春が郵便局に入ってくるのが見えた。
初春と白井は風紀委員(ジャッジメント)訓練所で知り合った仲だ。

「白井さん!
 偶然ですね。」

「初春・・・なぜ貴女がこんな所(第七学区)に?」

「もうすぐ中学生になるし学校や寮の下見に来たんです。」

「中学生?
 どなたがですの?」

「やだなーもー私に決まっているじゃないですか。」

白井は初春が同い年である事に驚く。
白井は初春が絶対年下だと思っていたらしい。

「白井さんはもうどこに行くか決まっているんですか?」

「え・・ええ、わたくしは常盤台中学という所へ・・・」

白井が常盤台中学に行く事を知ると初春は白井に尊敬の眼差しを送る。
初春は常盤台のイメージを白井に語るが白井曰く、常盤台は生徒間で派閥なんてものを作っている生徒もいるらしく常盤台にあまり良い印象は持っていないようだ。

「特に『超電磁砲』(レールガン)などと呼ばれる超能力者(レベル5)がいるらしいのですがきっとコーマンチキでいけ好かない性悪女に決まってますわ。」

「知らない人の事をよくそこまで言えますね。」

白井は初春になぜ郵便局に来たのか尋ねる。
何でも帰りの電車賃が無くなったらしくお金をおろしにきたらしい。
白井と初春は一旦別れ白井は固法の元に戻る。

「すみません、知り合いがいたもので・・・・」

白井は固法に近づき謝ろうとしたが固法はある客を凝視していた。
そして白井にしか聞こえない声で話す。

「あの男、郵便局に入ってから順番待ちをするでもATMを使うまでもなく局員の居場所や目ばかり窺っているわ。
 人の所有物を勝手に透視するのは気が引けるけど・・・・」

そう言って少ししゃがみ男を再び凝視する。
固法が持っている能力は透視能力(クレアボイアンス)
眼球に頼らず視覚情報を得る能力。
内部が隠れて見えないものを解析したり、遠隔地を見たりできる。
固法はその能力で男のカバンの中身などを透視する。

「カバンの中に工具・・・バール・・・とワイヤー・・・ッ!!」

能力を使い、鞄の中を透視していく。
これだけ聞いていれば何かの作業の帰りなのかそれとも今から向かうのかもしれない。
次に持っている道具を見なければ。
その道具を見た固法は息を呑んだ。

「右ポケットに拳銃。」

それを聞いて白井はその男が強盗に来たのだと思った。
確かに郵便局で局員の動きを確認してさらに拳銃をもってくる輩など大抵は強盗かその類だろう。
固法は局員に伝え白井に避難誘導にを任せるよう指示する。
白井は逮捕しませんの?と固法に提案するが固法は既に風紀委員(ジャッジメント)の手では負えないと判断してこれを警備員(アンチスキル)に任せようとする。
警備員(アンチスキル)
学園都市における警察的組織その一。
次世代兵器で武装した教員で構成されている
超能力を持たないが、暴走した超能力者をも取り押さえられるようかなり強力な武装が許されている。

白井は固法の判断に納得いかない表情をする。
固法は局員にあに連絡しようと呼びかけるが次の瞬間パンッ!!と音がする。
固法がその音の方に見るとさっきの男が拳銃を持っていた。

(クソッ・・・先に動かれた。)

男は局員や客に動くなと命令する。
そして男が局員の方を見ている時、白井はその男に向かって走る。
男が局員の方に向いている時は白井から見て背を向けているのだ。

(訓練通りにやれば・・・・)

まず白井は右足の踵で男の左足のつま先をおもっきり踏みつける。
相当痛かったのか男はすぐさま白井に向けて左手で殴りつける。
しかしそれはあまりに単純な殴りであり白井はそれをかわし男のパーカーの帽子を掴むと同時に左足で男の左足の膝を後ろから蹴りバランスを崩す。
後ろに体重が乗り仰向けに叩きつけられる。
男は拳銃で白井を狙おうとするがすぐさま白井が倒れた男のみぞを踏みつけて気絶させる。

(何だ、簡単ではありませんの。)

簡単に犯人を倒す事ができたと思った時だった。

「きゃあっ!!」

聞き慣れた声が叫び声をあげその方に向くとそこには別の男が初春にナイフと突きつけていた。





麻生はいつもの通り散歩していた。
真っ黒なズボンに真っ黒なコートを羽織り黒一色で染めた服装は麻生の髪の白さを際立てていた。
すると前の方の郵便局のシャッターが閉まっている事に気づき次の瞬間、ヒュン!!と音と同時に花飾りのカチューシャをした女の子が突然現れる。
女の子は自分が外にいる事に驚いているようだ。
女の子はシャッターの閉まった郵便局に何か言うと周りの人に助けを求める。

「お願いします!!助けてください!!!
 中で風紀委員(ジャッジメント)が強盗に襲われて!!!」

周りの女の子が助けを求めても誰も助けようとしない。
それもそうだ。
郵便局で何があろうと自分には関係ない。
誰も助けようとはしないだろう。
麻生もそう言った人間だ。
助けを求められれば助けそれがなければ助けない。
その女の子が麻生に助けを求めた訳ではない。
しかしその女の子は泣いていた。
おそらく知り合いの風紀委員(ジャッジメント)が襲われているのだろう、と麻生は考える。
そして麻生はゆっくりと郵便局に近づき右手でシャッターに触れる。

(何で助けようと思ったんだろうな・・・・)

この時、麻生は突然助けようと思った。
本当に突然そう思ったので自分でもなぜそう思ったのか分からないのだ。
対する女の子も麻生が何をするかよく分からないようだ。

(映像に残ると面倒だから壁をつたって監視カメラに干渉してこれから起こる映像を映らないようにする。)

その作業が終了すると麻生は左手を握りしめ拳を作りシャッターに叩きつけた。






男に殴られ床を滑るように吹き飛ぶ。
仲間がいることを考えずに勝手に行動してあまつさえ先輩である固法も自分をかばい怪我をして気絶している。
何とか自分の能力で人質である初春を何とか外に飛ばす事が出来た。
後は人質がまた捕られないよう犯人に注意を白井に向け時間を稼ぎ警備員(アンチスキル)が来るのを待つ。
そう白井は考えていた。

「お前が何を考えているか当ててやろうか。
 警報が鳴ってだいぶ経つ、間もなく警備員(アンチスキル)が到着するだろう。
 コイツは外に出られないのだから人質を取られないよう引き付ければこちらの勝ち・・・図星だろ?」

白井が考えていたことを見抜かれていた。
男はポケットからパチンコ玉みたいな物を取り出す。

警備員(アンチスキル)がいくら来たところで怖くはないがウジャウジャ囲まれるのは厄介だ。」

男はその玉を閉まっているシャッターに投げようとした時だった。
ドォン!!!と音と同時に男が玉を投げつけようとしたシャッターがいきなり外側から穴があいたのだ。
男は警備員(アンチスキル)と思ったが違った。
黒一色の上下の服を着て白い髪が特徴の麻生恭介が立っていた。

「何だお前は!!!」

男は麻生が突然シャッターに穴をあけた事に驚いている。

「俺は通りすがりの一般人Aだ。」

男はその言葉と同時に手に持っていた玉を麻生に投げる。
通常投げた玉は重力により下へと引っ張られ放物線のように下がっていく。
しかし男が投げた玉は下に下がることはなく一直線に進んでいく。
絶対等速(イコールスピード)
これが男の持つ能力だ。
投げた物体が、『能力を解除するか投げた物が壊れるまで、前に何があろうと同じ速度で進み続ける』能力。
速度は大したことはないが、手のひらに複数納まるサイズの鉄球と組み合わせることで、 防犯シャッターすら破壊可能な威力を発揮する。
そんな能力が付加した玉が麻生に飛んでくるが麻生はその玉を右手で掴んだ。

「は?」

男は一瞬唖然とする。
絶対等速(イコールスピード)の能力が付加した玉を掴む事は不可能だ。
そんな事をすれば麻生の身体が玉に身体が貫かれてしまう。
しかし麻生は掴んだ玉を指先でこねている。

「ふ~ん、絶対等速(イコールスピード)って所か。
 そんなちんけな能力じゃあ俺を殺す事なんて出来ないな。」

玉をこねながら、麻生は呟いた。
麻生は飛んでくる玉に干渉して玉に付加している絶対等速(イコールスピード)の能力を消したのだ。
男にはその原理が分かる訳がなく今度は複数の玉を同時に投げる。
麻生がその複数の玉の原子に干渉しその玉を酸化させる。
玉を酸化させれば鉄である玉は錆びていきやがて崩れていく。

「ど・・どうなっているんだ!!!!!」

男が目の前の一連の光景が信じられないようだ。
麻生は素早く男の懐に飛び込み男の腹と左手に少し隙間を開ける。
そして空気を圧縮した物を間に作りそれを男に目がけて押し出すように放つ。

「ぐぶあ!!!」

その叫びと共に壁に打ち付けられ気絶する。
白井はその光景を目にして言葉が出ないようだ。
麻生は白井に近づき右手を白井の足に置く。

(!?・・・足の痛みがなくなっていますの!!)

次の瞬間には足の痛みや殴られた所の痛みが消えていたのだ。
麻生は固法にも白井と同じように手を置くと固法の背中に刺さっていた金属の破片がゆっくりと抜けていき刺さっていた傷も無くなっている。

「これで終わりだ。
 傷の治療はサービスだ。」

そう言って麻生は自分が入ってきたシャッターの穴から出ようとする。
しかし白井は麻生の手を掴む。

「お待ちになって。
 傷の治療はあなたがしたのですか?
 それにこの事件に関わったのでしたら参考人ですので逃げられては困ります!!」

ちっと麻生は舌打ちをする。
この一連の事件に関わってしまった事に激しく後悔する麻生。
はぁ~とため息と同時に白井の方を見る。

手を離せ(・・・・)

その言葉と同時に白井の手が自分と意思と関係なく手を離す。

(何がどうなっているのですの・・・あのお方が言った瞬間勝手に手が・・・・)

自分の手を見つめてはっ!?、気がつき麻生の方を見る。
そこには麻生の姿がなかった。





「と、まぁこのような事件があったのですのよ。」

場所は変わり風紀委員(ジャッジメント)の支部の一つである第一七七支部。
あの虚空爆破(グラビトン)事件の後、麻生が持っていた写真のおかげで犯人は捕まえることが出来た。
今は麻生、テーブルを挟んで白井、初春、美琴、佐天が向かい合っている。

「どうして俺を取り調べるみたいな状況になっているんだ?
 初春達を救ったの事に感謝されるこそすれ、こんな取り調べまがいな事をされるのはおかしいと思うのだが。」

「あの時の事件の事、そして今回の事件について色々聞きたい事がたくさんありますので。」

「あの時の事件に関わったのは気まぐれ、今回の事件に関わったのはその場に俺が居て被害を受けかけたからだ。
 これでいいか?」

「そんな雑な説明で納得するとでも?」

白井の顔は笑いながらも全然笑っていなかった。
初春と佐天はその光景を見ながらオロオロして美琴は麻生の能力についての疑問が増えた。
麻生はため息と同時に席を立つ。

「どこえ行くつもりですの?」

「帰るんだよ。
 こんな所に居ても時間の無駄だ。」

部屋のドアに手をかけて出ようとした時だった。

「お待ちになって。」

その言葉を聞いて立ちどまる。

「色々聞きたい事がありましたけどまずはこれだけ言わしてくださいまし。
 あの時とそして初春やお姉様を助けていただいてありがとうございます。」

「何度も助けていただいてありがとうございます!!」

白井と初春の言葉を聞いて少しだけ白井達に振り向く。

「別にお前達の為にやった訳じゃない。
 俺の目の前で死なれてはこっちが気分悪くなるからな。
 だから助けた・・・・それだけだ。」

その言葉と同時に支部から出て行った。

「白井さん、よかったですね!!!
 何度かお礼を言いたいって言ってましたもんね!!」

「初春・・・・少しお話があるのですけどよろしいですか?」

白井は初春に襲いかかりそれを美琴と佐天で止めようとするだった。 
 

 
後書き
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