新オズのつぎはぎ娘
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第十幕その八
「それでもですね」
「お菓子の国に向かうこの旅も楽しむ」
カルロスは実は焦る気持ちを抑えています、そのうえでの言葉です。
「それがいいですね」
「お菓子の国までまだ歩きますし」
神宝はドロシーの言葉を聞いて言います。
「その間も楽しめますね」
「楽しむべきものは全部楽しむ」
ナターシャはこう考えました。
「そうあるべきですね」
「本当に気持ちが逸りますけれど」
それでもと言うジョージでした。
「それを抑えて今も楽しむべきですね」
「今も楽しんで未来も楽しむ」
つぎはぎ娘が言ってきました。
「それが一番いいのよ」
「そうだよね」
「そうよ、今すぐお菓子の国に着いたら」
つぎはぎ娘はピーターとトトの言葉から言いました、今自分達がいるこの場所から一瞬でお菓子の国に着いたらというのです。
「この旅路の楽しみがなくなるのよ」
「そう考えると」
ジョージはそのお話を聞いて思いました。
「それはね」
「残念でしょ」
「そうだね」
「じゃあね」
「今は」
「楽しく進んでいきましょう」
「そうするべきだね」
ジョージはつぎはぎ娘の言葉に頷きました。
「本当に」
「その通りよ、それでだけれど」
つぎはぎ娘はさらに言いました。
「もうすぐ日が落ちるわね」
「ええ、近くに身体を洗えるお池もあるし」
気付けばもう世界は夕刻の赤から夜の濃紫に入ろうとしています。ドロシーは終わろうとしている夕暮れのお空に星を見ながら言いました。
「この近くでね」
「今日はお休みね」
「そうしましょう」
「じゃあここでよね」
「テントを出すわね」
「そうするのね」
「それと」
ドロシーはさらに言いました。
「テーブル掛けも出して」
「晩ご飯ね」
「そちらも楽しみましょう」
「それじゃあね」
「今から出すわ」
ドロシーは笑顔で言ってでした、そのうえで。
テントを出したその後でテーブル掛けも出しました、そうして晩ご飯となりますが今夜のメニューはといいますと。
ビーフシチューにマトンの肋骨のソテーにザワークラフトに傍にバターが置かれている食パンそしてデザートにさくらんぼのトルテです。
そうしたものを出して食べはじめますが。
トトはビーフシチューを食べながら言いました。
「いや、シチューは色々だけれど」
「ビーフシチューはよね」
「一番いいかな、しかもね」
ドロシーに笑顔で言うのでした。
「今回はシチューのお汁よりも」
「ええ、具をね」
「多くしてるね」
「肉じゃがみたいにね」
「そうだね」
見ればお肉にジャガイモ、人参に玉葱といったものがシチューの中にあります。確かに肉じゃがみたいに多いです。
「これは」
「日本のお料理の肉じゃががビーフシチューを元にしてるって聞いてね」
「今回は肉じゃがみたいにだね」
「お汁を少なくして」
そしてというのです。
「具をね」
「うんと多くしたんだね」
「そうなの」
実際にというのです。
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