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レーヴァティン

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第百七十三話 北陸攻めの前にその六

「今言った理由でな」
「金山があるからな」
「あの島を手に入れるとな」
「幕府の懐具合がさらによくなる」
「そうなることを考えるとな」
「絶対にだ」
 北陸を掌握するならというのだ。
「佐渡は必要だ」
「その通りだ」
「だからな、水軍をだ」
「佐渡にか」
「向けたいが」
「わかった」
 幸正はすぐに頷いて答えた。
「ではな」
「北陸攻めの時はな」
「水軍はすぐに動き」
「佐渡を占領してもらう」
「ではな」
「あと余裕があればな」
 英雄はさらに言った。
「能登半島に上陸してな」
「あちらもだな」
「占領出来ればな」
 その場合はというのだ。
「したい」
「湖からも攻めていくか」
「攻められるならな」
 それならというのだ。
「使える手は全て使う」
「そうしていくか」
「東海の時は水軍は威圧に使ったな」
「基本はそうだった」
 幸正は英雄に答えた。
「駿河の水軍との戦は考えていたが」
「起こらなかったか」
「そうだった、こちらの数と質を見てな」
 そしてというのだ。
「すぐに港に戻った」
「戦うよりはか」
「大人しくする方を選んだ」
「そうだったか」
「だから東海攻めの時は何もなかったが」
 それでもというのだ。
「今度はな」
「違う」
「佐渡と能登か」
「あちらを攻めてもらう、佐渡は確実だ」
 この島はというのだ。
「出来るだけ早くだ」
「手に入れたいな」
「金山をな、佐渡の国人達も降し」
「そしてだな」
「あの島を手に入れる」
 その様にするというのだ。
「必ずな」
「では戦がはじまればその様にする」
「宜しく頼む」
 こう幸正に述べた。
「その時はな」
「こちらこそな」
「それはいいことだがのう」
 当季はいつもの右目を瞑った顔になって述べた。
「問題はあちらの湖じゃ」
「冬はだな」
「随分荒れちょるぜよ」
「だからな」
「そのことでもじゃのう」
「冬は攻められない」
 北陸はというのだ。
「どうしてもな」
「そうじゃのう」
「北陸の湖は冬はとにかく荒れる」
「船を出そうにも」
「すぐに荒波に沈められる」
 その様になるというのだ。 
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