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新オズのつぎはぎ娘

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第九幕その四

「登って行かない?」
「大蛇を?」
「そうしろっていうんだ」
「そっちの方が面白いわよ」
 こうピーターに言うのでした。
「むしろね」
「いえ、それはよくないわ」
 ドロシーがつぎはぎ娘の提案に異議を唱えました。
「確かにここで寝ていることは迷惑でも」
「それでもなの」
「その身体を踏んで進む様なことはね」
「登るとなると足をかけるから」
「踏むことになるでしょ」
「それはそうね」
「そうしたことはね」
 どうもというのです。
「よくないわ」
「じゃあどいて通るべきなのね」
「ええ、見ればこの蛇さんも悪気はない感じだし」
 実に気持ちよさそうに寝ています、起きる気配は全くありません。
「だからね」
「起こさないでなのね」
「どいて進むべきよ」
「それで踏まないのね」
「そうしましょう」
 こうつぎはぎ娘に言ってです、ドロシーは皆を大蛇をどけてそのうえで先に進もうと提案しました。皆その提案に頷いてです。
 実際にそうして進もうとしましたが。
「おい、アナコンダさん駄目だよ」
「何かな、この声は」
 ジョージは突然聞こえてきた雷みたいに大きな男の人の声に驚きました。
「一体」
「あれを見て」
 ドロシーは一行から見て北の方を指差しました、するとです。
 そこに高さ百メートルはありそうなとんでもない大きさの樵の恰好をした男の人がいました、お顔の下半分は赤茶色のお鬚で覆われています。
 その人を見てです、ジャックは言いました。
「ポール=バニャンさんだよ」
「そうだね」
 木挽きの馬はジャックの言葉に頷きました。
「あの人は」
「間違いないよ」
「いや、何時見ても大きいね」
「全くだね」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーの言葉は感心しているものでした。
「オズの国一の巨人だけれど」
「本当に大きいね」
「いや、アナコンダ君も大きいけれどね」
「この大きさの前には霞むね」
 かかしと樵はポール=バニャンを見上げて言います。
「まさに山みたいだよ」
「持っている斧もね」
「凄いね」
「全くだよ」
「まさかここでお会い出来るとは思っていなかったけれど」
「とんでもない大きさね」
「お声も大きいし」
 ジョージ達五人も言います。五人共この人ははじめてお会いしたので物凄く驚いています。そのことがお顔にも声にも出ています。
「巨人の中の巨人よ」
「この大きさは」
「こんなに大きいなんて」
「見上げてもまだ足りない位で」
「とんでもない大きさだね」
「驚く気持ちはわかるけれど安心していいよ」
 トトはその五人にこう言いました。
「とてもいい人だから」
「そうだよね」
「この人は凄くいい人だったね」
「確かに身体は大きいけれど」
「その身体に相応しい大きな心を持っておられて」
「物凄く優しい人よね」
「だからね」
 それでとです、トトは五人にさらにお話しました。
「安心していいよ」
「アナコンダさん、煉瓦の道の上で寝ているよ」
「?そうだったの」
 アナコンダは大人の女性の声で応えました、そのうえでそのとても大きな目を開きました。 
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