レーヴァティン
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第百七十二話 甲斐平定その八
「美しい面もあればな」
「醜い面もある」
「そうなのですか」
「人の心は同じですか」
「善人もいれば悪人もいる」
英雄はこうも言った。
「そう考えるとな」
「同じですか」
「そちらのことは」
「そうなのですか」
「そうだ、そちらはな」
実際にというのだ。
「変わらない」
「そうですか」
「そこは同じですか」
「世界は違えど」
「よくもあり悪くもありますか」
「どういった世界でも変わらないものがあるとすれば」
それは何かというと。
「人の心か、善悪と美醜があり」
「善人も悪人もいる」
「そこは同じですか」
「上様が起きられた時の世界も」
「この世界も」
「どちらもな、俺は人の心は基本的に善でも悪でもないと思っている」
どちらでもないというのだ。
「最初は中立でだ」
「そこからですね」
「善にも悪にもなる」
「そのどちらにもなる」
「それが人なのですね」
「世界が違っていても」
「驚くまでの聖者になる者もいれば」
その場合もあるがというのだ。
「それと共にだ」
「身下げ果てた下衆になる場合もある」
「そうなのですね」
「そこはまさにですね」
「それぞれであり」
「世界が変わっても同じですね」
「平気で嘘を吹聴し騙す輩もいる」
これは日本ではマスコミ関係者に多いであろうか、右も左も意図的な情報を流すなぞ普通に行う輩がいる。
「そして逆に人の為に生きる」
「そうした人もいますか」
「どの世界にも」
「下衆もいれば」
「聖者もいますね」
「両方な、そして大抵の奴は善でもあり悪でもある」
その両方を併せ持っているというのだ。
「これがな」
「そうですか」
「そこは同じですか」
「どちらもですか」
「そうなのですか」
「そこはだ」
まさにというのだ。
「同じだ」
「そうですか」
「ではですね」
「そのことは同じである」
「世界は違っても」
「人の心は」
「それはな、ただこの浮島でいいことは一つある」
それは何かというと。
「妖しげな教えは殆ど存在しないな」
「神仏のそれがですか」
「ありませんか」
「そうなのですか」
「そうだ、それはない」
まさにというのだ。
「非常にな」
「上様が起きられている世界にはありますか」
「そうした教えの者達も」
「そうなのですか」
「一見よさそうなことを言っているが」
その実はというと。
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