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お世話な親切

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第二章

「僕が出てもいいけれど」
「先生が出てもですか」
「ちょっと、なんですか」
「こういうのは友達で何とかしてなんだよ」
 教師としての立場からの言葉だった。
「教師が出て上から仲直りさせて済ませるのはあくまで最後でね」
「しかもそうした仲直りって本心からじゃないですよね」
「それも問題ですよね」
「そう。いざとなったら僕が動くけれど」
 だがそれはあくまで最後の手段だというのだ。
「それまではね」
「わかりました。じゃあここは」
「まず私達がやってみます」
 こうしてまずはクラスで何とかすることになった。そしてだった。
 二人と同じ茶道部、ただし別のクラスの大国尚に話が来た。白いやや丸い顔に日本人というよりは西洋人の感じの鳶色の目に薄茶色の紙をポニーテールにしている。
 唇は薄いピンクで背はやや小柄だ。その彼女が頼まれたのだ。
「二人の仲直りの仲裁ね」
「うん、大国さん二人と同じ茶道部だし」
「しかも仲いいわよね」
「だからお願いしたいけれど」
「いいかしら」
「あの二人茶道部でもなのよ」
 その尚も困った顔で二人のクラスメイト達に話す。
「そっぽ向き合って無視し合ってね」
「部活でもそうなの」
「クラスと同じで」
「ちょっと前まで本当に仲よかったのよ」
 尚は困った顔のままで話す。
「それがなのよ」
「あんな風になってね」
「どうして喧嘩になったかわからないけれど」
「あんな風になって」
「大国さんも困ってるのね」
「私も何とかしないといけないって思ってたところよ」
 そうした意味で丁度いいタイミングだったというのだ。
「それならね」
「うん、協力してくれる?」
「二人の仲直りに」
「こっちもお願いしたい位よ。それじゃあ」
 尚は強い顔になって言った。
「私もやってみるから」
「茶道部の部員としてよね」
「やってくれるのね」
「二人共好きだし」  
 そうした友人関係なのだ。
「それなら。やってみるわ」
「それじゃあね」
「何とかしよう」
 お互いに二人の仲を何とかすることにした。しかし二人の仲はそのままでやはり取り付く島もない。だが尚はここでこう知恵を出した。
「二人共部活にはちゃんと出るのよ」
「部活にはなのね」
「ちゃんと出てるのね」
「そう。確かにそっぽを向き合ってるけれど」
 それでもだというのだ。
「だからここはね」
「部活?」
「それを利用するの?」
「ええ。だから」
 尚は二人のクラスメイト達に己の考えを話した。そのうえでだった。
 その話の次の日に二人のクラスメイト達は二手に別れそれぞれにこう言った。
「何かお昼休み呼び出されてたわよ」
「茶道部の先輩達からね」
「お昼休みに茶室に来いって」
「そう言われたけれどな」
 こう二人にそれぞれ言ったのである。
 無論別々にチームになって分かれている二人に対してそうした。二人はそのことに気付かないままこう言ったのだった。
「そうなの。先輩に呼ばれたの」
「茶室ね」
「そこに来いって言ったの」
「どの先輩が?」
「それが誰かはわからないけれど」
 どの先輩かはわからない。これはこのクラスには二人の他には茶道部の部員がおらず茶道部についてよく知らないからだ。
 それが今は格好の理由になった、それをいいことにして二人に言うのだ。
「じゃあ確かに伝えたから」
「お昼休みね」
「お昼休みに茶室に」
「行って来てね」
「ええ、わかったわ」 
 二人はそれぞれ頷くだけだった。先輩の誰かが気になったがそれでも呼ばれているのなら行くしかなかた。具体的に何で呼ばれているかも気になった。 
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