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レーヴァティン

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第百七十話 甲斐攻めその七

「ではたいな」
「そうしたことも考えながらな」
「攻めていくたいな」
「そうする」
 こう言ってだった、英雄は。
 味噌で味付けされたほうとうを食べてだった、酒も飲んだ。そうしてこの日はほうとうも酒も楽しみ。
 翌朝は早く起きて飯を食って進軍を行ってだった。
 甲斐に入った、周りの空気は変わらなかったが。
 それでもだ、英雄は周りを見回して言った。
「気のせいでなくな」
「はい、敵国に入りました」
「だからですね」
「これよりですね」
「警戒することですね」
「これからは」
「敵の国の中に入ったのだ」
 だからだというのだ。
「油断しないことだ、普通に道を進んでいてもな」
「敵地です」
「地の利はあちらにあり」
「そして何時襲って来るかわからない」
「だからですね」
「進軍中も左右に気をつけ」
 そしてというのだ。
「陣を敷くとな」
「しかと守る」
「見張りも確かにし」
「そうしてですね」
「攻めてきてもいい様にしますね」
「そうだ、そしてだ」
 英雄は兵達にさらに話した。
「何時襲われてもな」
「言い様にしておきますね」
「そして実際に攻めてきても」
「それでもですね」
「戦い退ける」
「その様にしますね」
「そうだ、敵は城に籠っている者が多いが」
 それでもというのだ。
「その城から出てだ」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「こちらを攻めて来る」
「少数の兵でそうしてくるかも知れないですね」
「俺はそうした戦い方も知っている」
 所謂ゲリラ戦術である、英雄は自分達の世界即ち現代の戦争の仕方を知っている。その中のゲリラ戦術を言うのだ。
「実に厄介だ」
「少数の兵で攻めて来るなら」
「大軍に対して」
「一撃離脱で、ですね」
「それが厄介ですね」
「不意打ちをしてだ」
 そしてというのだ。
「すぐに逃げる」
「それからまた攻めて来る」
「また逃げる」
「そうした戦い方もありますね」
「始終そうしていくとだ」
 大軍をそうして攻めると、というのだ。
「その軍勢はやがて精神的に疲弊する」
「そうなりますね」
「確かに」
「始終攻められていますと」
「僅かな兵によるものでも」
「それでもですね」
「やがてはですね」
 兵達も話した。
「そして戦自体嫌になり」
「遂にはその国から退く」
「そうした戦の仕方もありますか」
「俺はそうしたやり方も知っている、ただ」 
 英雄は進軍しつつ周りを見回している、周りは田畑と家が見える。そしてその先には緑が遠くにあるので紫に見える山々がある。 
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