新オズのつぎはぎ娘
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第四幕その七
「新しい歯が生えているよ」
「歯がなんだ」
「うん、オズの国の法律では皆歯磨きをすることになっているね」
「それで僕もいつも歯を磨いているよ」
「オズの国で虫歯になることはないけれどね」
「お口の中は奇麗にしないとね」
「だから皆歯を磨いているけれど」
それでもというのです。
「君もお口の中は奇麗だね」
「どんなに酔っていても歯磨きと水浴びは忘れていないよ」
歯を奇麗にすることはというのです。
「毎日しているよ」
「どっちもだね」
「うん、けれどどうして歯が痛いのかわからなかったんだ」
「確かにね」
樵も木のお口の中を見たのでそれで言います。
「新しい歯が生えているね、古い歯が抜けて」
「えっ、古い歯っていうと」
臆病ライオンはそのお話を聞いて驚きの声をあげました。
「まさか」
「そう、乳歯だよ」
樵は臆病ライオンに答えました。
「それが抜けようとしていてね」
「ぐらぐらとして」
「その下から新しい歯が生えてきていてね」
「それで痛いんだ」
「人間でもあるね」
樵は臆病ライオンにさらにお話しました。
「乳歯が抜けてね」
「うん、永久歯になるんだよね」
「その時歯がぐらぐらしてね」
「次第に抜けていくね」
「そうなるね、そしてそれでね」
「歯が痛くて」
「彼はずっと困っていたんだ」
そうだったというのです。
「それで痛みから逃れる為にね」
「お酒を飲んでいたんだ」
「そうだったんだ」
「けれどおかしいよ」
腹ペコタイガーは率直に自分の考えを言いました。
「これは」
「どうしてかな」
「だってね、彼はこんなに大きいし」
木のその大きさを見て言います。
「お酒を飲んでいるのに」
「うん、僕は確かに大人だけれど」
木もこう言います。
「ただ、歯は言われてみるとね」
「生え代わっていなかったんだ」
「どの歯もね、そして全部の歯がね」
「痛いんだ」
「そうなんだ」
「全部の歯が入れ代ろうとしているんだね」
トトはこう考えました。
「要するに」
「ここでなんだ」
「うん、彼はたまたま歯の成長が遅かったのかな」
トトはこう考えました。
「つまりは」
「そんなこともあるかな」
樵は腕を組んで考える言葉を出しました。
「中には」
「まさかこうなるなんてね」
木がまた言いました。
「じゃあ僕は歯が抜けるまで痛いのかな」
「もう全部引っこ抜いたらどう?」
つぎはぎ娘がこう提案しました。
「どうせ次の歯が生えてきてるのよね」
「そうだよ」
かかしはつぎはぎ娘に答えました。
「現在進行形でね」
「それじゃあよ」
「もう抜けばいいっていうんだね」
「面倒なことは先に済ませてね」
そうしてというのです。
「痛みから解放されればいいでしょ」
「それがいいかも知れないね」
木挽きの馬はつぎはぎ娘の言葉に頷きました。
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