おぢばにおかえり
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第六十話 朝早くからその九
「千里はメイクしなくてもいいしね」
「いいって?」
「だからお顔がよ。素でアイドルだから」
「それはないわよ」
「いえ、本当に可愛いわよ」
「お母さんが言ってるだけでしょ」
「皆言ってるでしょ。奥華は美人さん多いけれど」
このことで定評があります、大教会長さんの奥さんも小柄で奇麗な人ですしとにかく奥華には美人さんが多いです。
妹達もかなりです、ですが。
「千里は一番でしょ」
「まさか」
「すくなくとも一人はそう思ってるわよ」
「一人ってお母さん?」
「さて。とにかくメイクはいいから」
それはというのです。
「用意してね」
「そうさせてもらうわね」
こうしてでした、私は自分のお部屋に入ってからスカートを穿きました。足首まである赤いロングスカートですが。
そのスカートを穿いてすぐに妹達に言われました。
「いいじゃない」
「似合ってるわよ」
「そのままいったらどう?」
「これからはね」
「ううん、何かね」
穿いてみてです、私は妹達に言いました。
「やっぱりズボンと違ってね」
「いや、制服で穿いてたじゃない」
「最近までそうしていたでしょ」
「それはそうだけれど」
それでもです。
「その時以外で穿かなかったから」
「だからなの」
「慣れていないの」
「下がスースーする感じがね」
それがでした。
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