ドリトル先生と琵琶湖の鯰
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第四幕その四
「いや、険しいね」
「日本のお城って山にあることが多いけれど」
「この安土城もなのね」
「そうなのね」
「そうだよ、この安土城はね」
このお城のことをさらにお話するのでした。
「山全体をお城にしたんだよ」
「そうしたお城もあるよね」
「日本のお城って」
「それだけに堅固だよね」
「それでこの安土城もだったのかな」
「それがどうも御殿の意味合いが強くて」
それでというのです。
「あまり守りは堅固じゃなかったって説もあるのよ」
「そうなんだ」
「山全体をお城にしているのに」
「それでもなんだ」
「そう、それがね」
それがというのです。
「天守閣も変わった造りだったしね」
「そうだったんだ」
「今はないけれど」
「そうした場所だったんだね」
「そうだよ、あと姫路城のお城はね」
そこはといいますと。
「中は言うなら櫓だったね」
「そうそう、言うならね」
「そんな場所だったね」
「殺風景と言えば殺風景だったね」
「最上階以外はね」
「それが安土城の天守閣は天主閣と書いてね」
読み方は同じでも漢字が違うのでした。
「中は御殿で信長さんはそこに住んでいたんだ」
「へえ、天主閣になんだ」
「そうだったんだ」
「けれどそれもだね」
「かなり変わってなんだね」
「普通のお城はお殿様は本丸の御殿に住んでいたからね」
他のお城はそうだったというのです。
「そこが違っていたんだ」
「安土城は」
「それで織田信長さんもだね」
「違っていたんだね」
「守りよりも宗教的な意味合いが強かったみたいだしね」
安土城の天主閣はというのです。
「何かと違っていたんだ」
「ううん、そんなお城だったんだ」
「何か他のお城とは別だね」
「ここはそうしたお城だったんだ」
「他のお城と違って」
「そうだよ、それとね」
先生はさらにお話します。
「このお城はさっき堅固でないと言ったけれど」
「うん、違う気がするよ」
「どうもね」
「山全体をお城にしてるから」
「守りも堅いよ」
「絶対にそうだよ」
「うん、このお城を攻めようと思ったら」
それこそというのです。
「かなり苦労するよ」
「間違いなくね」
「そうなるよね」
「登るのにも一苦労だし」
「そんなお城を攻めようと思ったら」
「かなり大変だよ」
「全くだよ、城壁や櫓はかなり多くて石垣も高かったそうだし」
それでというのです。
「攻めにくかったと思うよ」
「そうした説があっても」
「実際はだね」
「このお城は堅固だったんだね」
「山全体をお城にしていて」
「そうだったと思うよ、僕はね」
これが先生の説だというのです。
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