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新オズのつぎはぎ娘

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第三幕その九

「お腹一杯になっていて」
「それでごま団子を食べられなかったの」
「そうだったんだ、けれど」
「ええ、丁度いいわね」
「そうだね、じゃあごま団子をね」
「食べましょう」
「是非ね」 
 ミュージッカーから出て来る音楽が一際明るいものになりました、そうしてティータイムに入るとです。
 ミュージッカーはドロシー達と中華風のティ―セットを楽しみ中国茶を飲んで、です。ごま団子が食べられる喜びを歌いました。
 その曲を聴いてつぎはぎ娘は言いました。
「いい曲ね」
「そう言ってくれるんだ」
「ええ、朗らかでね」
 それでというのです。
「踊りたくなる曲よ」
「ダンスの振り付けまでは考えていないよ」
「あたしが考えていいわよね」
「うん、いいよ」
 ミュージッカーは快諾で答えました。
「それじゃあね」
「ええ、じゃあね」
「今からだね」
「もう一回歌ってくれるかしら」
「その歌に合わせて」
「踊るわ」
「それじゃあね」
 こうしてでした、ミュージッカーはもう一度ごま団子を食べられる喜びの歌を歌いました。するとです。
 つぎはぎ娘はその歌に合わせて朗らかに踊りました、そうして一曲踊ってからこんなことを言いました。
「ダンスに最適の曲ね」
「そう言ってくれるんだ」
「あんたの歌は全部そうだけれど」
「この歌もだね」
「ええ、ダンスにね」
 まさにそれにというのです。
「最適の曲よ」
「それでそれだけ踊れたんだね」
「そうよ」
「それは嬉しいね、ただね」
「ただ?」
「君の踊りは物凄い動きでね」
 このことはミュージッカーから見てもでした。
「ぴょんぴょん跳ねて身体も凄く曲がるけれど」
「あたしだけしか出来ないわよね」
「君のぬいぐるみの身体でないとね」 
 到底というのです。
「出来ないよ」
「よく言われるわ」
「そうだね、だからね」
「今の踊りもなのね」
「他の人が踊るにはね」 
 どうしてもというのです。
「アレンジが必要だね」
「それはわかってるわ」 
 つぎはぎ娘にしてもとです、ミュージッカーに答えました。
「そこはもうしていいわよ」
「君にしてもだね」
「ええ、皆が踊る様にね」
「それじゃあね」
「いや、凄く高く何度も跳ねて身体を曲げてくるくる回って」
 それでとです、ジョージはマンゴープリンを食べつつつぎはぎ娘に答えました。
「凄かったよ」
「そうでしょ」
「跳ねるのも曲がるのも僕達には無理だけれど」 
 ジョージはつぎはぎ娘にさらに言いました。
「君みたいにくるくる回ることもね」
「出来ないわね」
「君そこからすぐに派手に踊るけれど」
 そうするけれど、というのです。
「普通の人は目が回ってね」
「すぐには動けないのね」
「身体がふらふらするよ」
「皆そうなるわね」
「だから無理だよ」
「つぎはぎ娘は目も回らないのよ」  
 ドロシーもこのことをお話します。
「かかしさんや樵さんも同じだけれどね」
「そうそう、僕達はそうした身体だからね」
「目も回らないんだよね」 
 そのかかしと樵も応えてきました。
「幾ら回ってもね」
「全くね」
「僕もだよ、だからつぎはぎ娘みたいに跳ねたり曲がったりは無理でも」
 ジャックも言います。 
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