ドリトル先生と琵琶湖の鯰
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第三幕その十一
「暫く観て回ろうね、そしてね」
「そして?」
「そしてっていうと」
「お昼はね」
この時のお話もするのでした。
「今度は焼き肉を食べようか」
「あっ、今日はそれなんだ」
「近江牛のそちらにするのね」
「お昼は」
「そうしようね、ここにいる間はね」
先生はにこにことして皆に言いました。
「そうして楽しんでいこうね」
「近江牛のお料理を食べていくんだね」
「昨日は網焼き、今日は焼き肉」
「やがてステーキやすき焼きも食べるのね」
「そうしていくのね」
「そうしていこうね」
是非にというのです。
「そのことも楽しみだよ」
「日本の牛って美味しいからね」
「和牛ってね」
「それを食べていくとなると」
「このことも楽しいことだね」
「日本の牛のよさは」
それはどうしてかといいますと。
「それだけの手間暇をかけてだからね」
「育てているから」
「それでだね」
「その為だね」
「だからだよ、その分高いけれど」
それでもというのです。
「それだけの価値はあるよ」
「先生幸い今は収入あるし」
「大学の教授さんだからね」
「八条大学お給料いいから」
「お金もある様になったね」
「うん、なったからね」
だからだというのです。
「今はだよ」
「高いものも食べられるね」
「それに何か株主になってるよね」
「気付いたらね」
「妹さんの会社のね」
「本当に何時の間にか」
「サラがそうしてくれたんだよね、僕は社員でも役員でもないけれど」
それでもなのです。
「サラが気を使ってくれてね、僕はいいのに」
「けれどその分の収入もあるからね」
「余計に助かってるよね」
「大学教授の収入に加えて」
「株のそれもあるから」
「お金があるんだよね、サラのご主人の会社の経営は上々だし」
このこともあってというのです。
「有り難いよ、けれど本社をアイルランドに移るみたいだね」
「ああ、そうなんだ」
「イングランドからそっちに移すの」
「そうするのね」
「イギリスがEUを脱退するから」
だからだというのです。
「そのままEUの中でやっていきたいそうだから」
「それでなんだね」
「その辺り難しい問題だね」
「それでサラさんの会社もだね」
「アイルランドに移るのね」
「あの脱退は絶対にイギリスにとって悪いことになるよ」
先生は断言しました。
「薔薇色の未来なんて待っていないよ」
「それは何でもだよね」
「薔薇色の未来なんてないよね」
「未来は幸せも不幸せもある」
「そうしたものだよね」
「そう、ハッピーエンドはないんだ」
それはというのです。
「普通に続いていくんだ、まして胡散臭い人達が言うね」
「薔薇色の未来なんてね」
「信じたら駄目だよね」
「幾らテレビで人気の人が言っても」
「それでもだよね」
「信じたらね」
「それは薔薇色の未来の筈がないから」
先生は落ち着いた声で皆にお話します。
「サラのご主人の会社の移転は正しいかもね」
「そうなんだね」
「イギリスの人達は間違った選択をしたんだね」
「あの選挙で」
「そうだよ、胡散臭い人を信じたらよくないよ」
先生は動物の皆にこう言いました、そうして彦根城から焼き肉屋に行ってそこで近江牛の焼き肉を食べました。
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