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春のピクニック

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第二章

「こうしたところもいいね」
「自然を感じることもね」
 あず未もその中で言う。
「いいわね」
「そうだね、街のデートもいいけれど」
「自然の中に入ることもね」
「いいね」
「そうよね」
「というか家の近所に」
 歩いて行ける距離にとだ、翔太は川のせせらぎを聞きつつ話した。
「こうした場所があるなんてね」
「気付かなかったわね」
「そうだったね、けれどね」 
 それでもというのだ。
「いい場所だよ」
「本当にね」
「じゃあこれからね」
「頂上まで行きましょう」
「そうしようね、ただ」
 ここで翔太は。
 ふと目の前に蜂が飛んだのを見て妻に言った。
「気をつけないといけないね」
「蜂?」
「やっぱり自然の中だからね」 
 それでというのだ。
「蜂もいるし蛇も出るかも知れないし」
「そうした生きものには注意して」
「そうしてね」
「公園まで行くことね」
「流石に熊や猪は出ないにしても」
 それでもというのだ。
「そうした生きものには注意して」
「そのうえで」
「進んでいこうね、棒もあるし」
 道に落ちていた木の枝を拾って言った。
「何かあってもね」
「その棒で何とかしてくれるの」
「学生時代剣道部だったし」
 二段である、それなりに自信もある。
「だからね」
「それでなのね」
「うん、公園まで行こうね」
 山の頂上のというのだ。
「そこまで」
「地図もあるし」
 あず未はその地図を出して夫に話した。
「道案内は任せて」
「うん、じゃあお願いするよ」
「それじゃあね」
「公園まで歩いていきましょう」 
 二人で話してそうしてだった。
 夫婦で山の頂上の公園まで歩いていった、朝早く出ても頂上までは結構かかった、着いた時は十一時前だった。
 それでだ、あず未は公園に着いた時やっと、という顔で翔太に言った。
「学生時代はこれ位平気だったけれど」
「僕もだよ」 
 見れば翔太もやっと、という顔である。
「もうへとへとだよ」
「そうよね」
「登りだったからね」
 山をというのだ。
「だからね」 
「余計に辛かったわね」
「帰りはもっと楽だよ」
 翔太はあず未にこう言って励ました。
「下りだから」
「そうね、じゃあ今からね」
「公園の中を巡ってね」
 そしてというのだ。
「ゆっくりしよう」
「そうね、折角来たし」
 あず未は翔太のその言葉に頷いた。
「これからね」
「ゆっくりしようね」
「ええ、それにしてもね」
 公園の中にいて周りを見てだった、あず未は自然とこの言葉を出した。 
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