レーヴァティン
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第百六十九話 異形の武家その五
「堤も築く」
「そちらもよね」
「助かるのは虫がいないことだ」
「そうそう、日本住血吸虫ね」
「そういう名前だったか」
「あの話の後で私も調べたのよ」
起きた世界でそうしたのだ、何しろそちらの世界のことなので何かと学びやすかったことも大きかった。
「そうしたら本があって」
「それでか」
「これがとんでもない虫で」
英雄にさらに話した。
「いるお水に入ったらね」
「足からだな」
「身体の中に入ってね」
「身体を蝕むな」
「そうしてくるのよ」
「かなり厄介な虫だな」
英雄も言う。
「実に」
「だからね」
「長い間だったな」
「甲斐、山梨県はこの虫に悩まされていて」
「最近まで根絶出来ていなかったな」
「そうだったみたいよ」
「そうした虫だな」
こう奈央に述べた。
「一見何でもなさそうだがな」
「物凄く悪質でね」
「この世界にいたらな」
「凄い厄介よ」
「そうだな」
「まあお話聞いたらいないみたいだけれど」
この浮島の甲斐にはというのだ。
「だからね」
「その心配はいらないな」
「そうだと思うわ」
「ならいいがな」
「ええ、とにかくね」
「虫も敵だ」
英湯はあらためて言った。
「寄生虫にしろそうでな」
「疫病をもたらす虫もね」
「そして獣としても大型の虫もな」
こちらの虫もというのだ。
「やはりな」
「厄介ね」
「全くだ、虫はどの世界にもいるが」
「こちらの世界にもね」
「いてだ」
「厄介ね」
「実にな」
「まあのう、虫はな」
当季も言ってきた。
「普通に魚の中にもいるぜよ」
「そうだな」
「鯉を食っても」
この魚にもというのだ。
「いるぜよ」
「そして身体の中に入れるとな」
「とんでもないことになるぜよ」
「たかが鯉かも知れないが」
「用心が必要ぜよ」
「そうだな、若しもだ」
英雄はさらに言った。
「刺身を食うにしてもな」
「先に冷凍してのう」
「そうしてな」
「中の虫を殺さんとぜよ」
「厄介なことになる」
その寄生虫のせいでというのだ。
「そうなる」
「そうぜよ」
「そこが問題だ、俺は刺身は好きだが」
それでもとだ、英雄は当季に話した。
「先に必ずだ」
「凍らしてるのう」
「そうして虫を殺してだ」
「食っちょるのう」
「凍らせる術があるのだ」
それならというのだ。
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