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レーヴァティン

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第百六十九話 異形の武家その三

「そしてだ」
「あの地を任せますか」
「そうしてだ」
 まさにというのだ。
「暫く任せる」
「北陸攻めまでの間は」
「そうしていく」
「あの野田家は」
「傑物揃いだ」
 強い声でだった、英雄はこの家の者達について言った。
「武略と知略にだ」
「奇略もですね」
「全て備えている者達だ、多少劣勢でもな」
「彼等ならやってくれますね」
「どうも日和見なところもある様だが」
「それでもですね」
「あの家は自分の家を守る為にそう動く家でだ」
 日和見という話もあるがというのだ。
「家が残る方につく」
「幕府がしっかりしていれば」
「相手につくこともない」
「それで、ですね」
「あの家はが今幕府を裏切ることはない、それにだ」 
 英雄はさらに言った。
「俺達が何故幕府を置いてだ」
「この島を統一しようとしているか」
「それはだ」
 何故かというと。
「この世界を救う為だ」
「海の魔神を倒して」
 そしてというのだ。
「そのうえでだ」
「それが目的ですね」
「野田家が裏切ることはない」
 大義の面から見てもというのだ。
「敵にならないあの家は頼りになる」
「では」
「あの家を用いる」
 海津城築城とその守りにというのだ。
「そうする」
「それではその様に」
「ほなこれからでありますね」
 峰夫は自分から言ってきた。
「甲斐に向かいますね」
「そしてだ」
 さらにとだ、英雄は峰夫にも応えた。
「あの国をだ」
「攻めてですね」
「手中に収める」
 そうするというのだ。
「これよりな」
「それでは」
「それでだが」
 英雄はさらに言った。
「東海の方だが」
「確かめてみますか」
「連中に聞いてな」
 直接そうしてというのだ。
「それで確かめるか」
「ではこれより」
「聞く」 
 こう言ってだった、英雄は早速だった。
 貝殻を出してそうして智に尋ねた、すると智はすぐに答えた。
「遠江もです」
「手中に入ったか」
「この国の国人達は駿河の大名の下にいましたが」
「それがか」
「拙者達の率いる大軍が来ると」
 そのことを聞いてというのだ。
「それで、です」
「幕府についたか」
「雪崩を打つ様に、ですが」
「駿河は違うか」
「あの国は一つになっているでござる」
 そうした状況だというのだ。 
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