腹出し

　　　　　　　　　　　　　　　　腹出し
　滝川穂香は八条学園高等部商業科に通っている、茶色の髪の毛をロングにし前は左で分けている。細い眉で赤めの頬で優し気な目をしていて背は一六五位で胸は八十八ある。
　その先輩でやはり八条学園高等部商業科に通っている柴田凛子はやや切れ長の小さな知的な瞳で眉は薄い。長い黒髪を後ろで束ねていて唇は小さい。背は一六六位で胸は八十二程だ。二人は今自分達の家がある八条グループの企業の社員と家族の為の大阪市此花区の集合団地の中の庭でジャージ姿でいた。穂香は赤で凛子は青だ。　
　その姿で身体全体を動かしていた、そしてその中で穂香は凛子に言った。
「先輩、どうも」
「ええ、ちょっとね」
「調子悪いですね」
「私もよ」　
　凛子も言った。
「どうもね」
「チアリーダーの新しいダンスって」
　二人は高校のチアリーダー部に所属している、そこで新たに行う新しいダンスの練習を部活が終わって家に帰ってからもやっているのだ。
　だがそれでもだ、上手くいかず。
　それで二人共悩んでいた、穂香はさらに言った。
「何かこう」
「これまでの踊りとね」
「全然違っていて」
「難しいわね」
「そうですよね」
「難しいと思うとね」
　凛子は実際に眉を顰めさせて話した。
「余計にね」
「苦手意識が出来て」
「出来ないって思えるわね」
「そうですよね」
「それを克服するにはね」
「部長も言ってますね」
「練習を重ねて」
　そうしてというのだ。
「身体で身に着ければね」
「いいんですよね」
「実際にその通りだけれど」　
　凛子は難しい顔のまま述べた。
「この踊りはね」
「本当に難しいですね」
「部長も他の娘も言ってるけれど」
「難しいですね」
「部活でも最近この踊りの練習ばかりで」
「私達はこうしてですよね」
「ええ、家に帰って」
　二人はそれぞれ別の棟に家族と一緒に住んでいるが同じ集合団地の中にいるのでこうして一緒に練習しているのだ。夜だがそうしている。
「それでね」
「毎日部活の後も練習してますけれど」
「それでもね」
「中々身に着かないですね」
「何千回しても」
「それでもですね」
「身に着かないかもね」
　こう言うのだった。
「何でも百回すればっていうけれど」
「百回じゃ駄目なら二百ですね」
「実際それ位やってるけれど」
　それでもというのだ。
「身に着いてないし」
「それじゃあ」
「もうね」
　それこそというのだ。
「何前回踊ってもね」
「身に着かないですか」
「この踊りはね、けれど映像見たら」
　プロのチームがやっている動画である、部全体でユーチューブで確認したり学園の視聴覚室でも観ている。
「物凄く決まるから」
「絶対に覚えたいですね」
「ええ、部全体でね」
「私達にしても」
「何とかね」
　二人でこう話して練習を再開した、二人だけでなく部全体で励み合宿もこの踊りを見に着ける為に行うことにした。