曇天に哭く修羅
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四部
Bブロック 6
前書き
話の流れがおかしくなったかな?
【空間振動】で空気が揺れ、衝撃波となって襲って来るも、春斗は【神速斬光・ニノ段】の高速運動と【夜天中月】の斬撃で迎え撃つ。
大きく振りかぶった数百に及ぶ三日月型の刃は方向を問わずに広がっていき、刀を振った周囲まで斬り刻んでしまう。
空間振動と月刃がぶつかる直前だった。三日月の刃が全て狙いを逸れる。これでは相殺できない。衝撃波は春斗へ一直線。
(この、陽炎にも見える景色の揺らぎ方。仕込んだみたいだな会長は……)
《島崎向子》による【空間歪曲】だ。
春斗は回避して難を逃れる。
(ここで出し切らせるか迷うなあ。立華くんの成長に良さそうな気もするし)
向子は亜空間で寝転がりながら頭を悩ませている最中であり、同時に《立華紫闇》の【プラン】についても考えていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【神速斬光・三ノ段】
魔術師の【異能】で《江神春斗》が出すことの出来る最速。
そこに通常の魔晄操作を超えた上位互換の技術である【練氣術】の身体強化と防壁。
同じ魔晄を使った身体強化と魔晄防壁だが比較にならない程の性能を誇る。
更に夜天中月で得られる基礎能力。
春斗は初めてだった。
修業では慣れているし、レイアやエンド、聖持にも使ったことが有る。
しかし今の自分が出している力は実戦で出したことが無いほどの領域。
(まだか。まだ出てこないか)
春斗の焦燥を余所に向子は【空間移動/テレポート】を戦闘へと組み込む。
春斗は直ぐに気付かない。
だが徐々に察した。
「おかしい。歩みが遅い」
あまり大っぴらに能力を使うとあっさりバレてしまうと考えた空間移動を抑えて使ったのだ。
「空間を飛ばすワープ系の能力は景色が変わるから直ぐに解るけど、空間移動は名前の通りに空間を動かすだけの能力だからね。それに今は一度に動かしても10センチ以内。魔術師だろうと超能力者だろうと誤差は殆ど感じられないレベルなんだけど」
全力疾走の人間が左右のズレ10センチ、ゴールまでの距離10センチという違いを正確に感じ取れる筈が無いのだが、今の春斗はその精度で違和感を覚えるようだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【空間接続】
【空間振動】
【空間歪曲】
【空間移動】
4つの空間能力を同時に行使して亜空間から高みの見物をしている向子に対し、春斗は激しく動きながら無数の斬撃と三日月のような刃を降らせつつ、空間の異常を検知。
「夜天中月を軸に戦うのはこの辺りが限度か。もっと上げられるが代償も大きい」
彼の能力が追加される。
「【舞狂悪魔】」
666本のナイフが現れた。
「轟け。【天譴】」
続けて魔晄外装の解放。
(力づくで会長を引き摺り出す)
武台を覆う結界の内側に、これだけ沢山のワープゲートが開いた状態で、空間が揺れ、歪み、移動させられている状態なら春斗の狙いも達成できるはず。
春斗が天譴を振ると、何処からか数十メートルの刀が現れて、春斗の刀と同じ軌道をなぞって武台の上を払っていく。
神速斬光・三ノ段と巨大化した三日月の刃もおまけした一撃は会場を容易く廃墟に変えられるのだが何故かワープゲートの開く空間を狙う。
「あ、ヤバい」
向子の口から思わず漏れた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
能力で干渉し過ぎたせいなのか、すっかり脆くなってしまった武台の空間は春斗の攻撃によって呆気なく粉砕されてしまう。
亜空間に居た向子も出てくる。
そこに数百の月刃が殺到。
「頭を垂れろ。【禁鞭】」
彼女の持っていた黒い短鞭が褐色の長鞭に変化して威圧感が放たれた。
「Wonderful。別に外装の解放なんかしなくても良いんだけど、江神くんの健闘を表して見せてあげようじゃないか」
向子が手首だけで鞭の先端に動きを伝えると、それだけで鞭の残像が大量に現れた。
全ての月刃を打ち砕いていく。
だが舞狂悪魔のナイフは違った。
鞭を避けようと動き回る。
流石に躱し切れないものの、破壊された筈のナイフは際限なく修復されて元の666本に戻り、禁鞭の回避と向子への攻撃を繰り返す。
勿論そこには夜天中月による月刃も後から後から押し寄せてくる。
二人の攻防は拮抗。
(アタシは禁鞭と4つの空間能力で行けると思ってたんだけどやるじゃないか。これは学園の卒業後に期待できそうだ)
後書き
舞狂悪魔は元ネタ有ります。
_〆(。。)
ページ上へ戻る