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生まれ変わってきた

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第一章

               生まれ変わってきた
 三橋楓は針谷家に嫁いですぐに夫の実篤に言われた。
「お袋今は沈んでるけれどね」
「何かあったの?」
 苗字が針谷になった楓は黒髪をスポーツ刈りにして一七五位の痩せた身体で穏やかな目の夫に応えた、背は一六〇位で茶色の髪の毛をボブにしている。小さな目は明るい感じだ。
「一体」
「うん、うちで犬を飼ってたけれど」
「そのワンちゃん可愛がってたの」
「俺も親父もね」
 他の家族もというのだ。
「嫁いだ妹も」
「そうだったのね」
「名前はロンといって」
 夫は妻に犬の名前も話した。
「茶垂れた耳で顔の上半分とその耳が茶色くて背中にも茶色の模様がある白い犬で雄の雑種でね」
「その子をなのね」
「おふくろが一番可愛がっていて」
 それでというのだ。
「二十年近く一緒だったけれど」
「長生きしたのね」
「楓がうちに来る少し前にね」
「そうだったの」
「老衰で大往生だったけれど」
 それでもというのだ。
「一番可愛がっていたからね」
「お義母さんもショックを受けて」
「それで最近落ち込んでるんだ」
「そうなのね」
「そのことは覚えておいてね」
 こう言うのだった。
「それで僕も親父も妹もね」
「何とかしてあげたいのね」
「ああ、どうしたものかな」
「だったら」
 すぐにだ、楓は少し考えてから知恵を出して夫に話した。
「新しいワンちゃんをね」
「うちに迎えてか」
「そうしてね」 
 それでというのだ。
「お義母さんに新しい家族と一緒にいてもらって」
「前を向いてもらうか」
「そうしましょう」
 こう夫に話した。
「どうかしら」
「そうだな、ずっと亡くなった家族のことを思ってもな」
「悲しいことは事実でもね」
「後ろ向きだしな」
「それよりもでしょ」
「前を向いた方がいいしな」
「だからね」
 それでというのだ。
「そうしましょう」
「それじゃあ皆で話すか」
 こうしてだった、このことで家族会議が開かれた。楓から見て義父の直哉細面で背筋が伸びて白くなっている髪の毛を短くしている一八〇位の背の彼もその義母の一葉灰色の髪の毛をボブにしていて小さな目に丸眼鏡をかけている一六〇位の背の優しい顔の彼女も頷いた。義父は義母に言った。 
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