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捨て犬の真実

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第二章

 ポチ太は画像の中でも今の様に怯えている、それでもだった。
 証拠となるのは確かだ、それで父は話した。
「それじゃあ返します」
「早くそうして頂戴」
 そのきつい顔で言ってきた。
「いいわね」
「わかりました」
 こうしてだった。
 ポチ太は女に返された、女は怯える彼をリードを引っ張って引き摺る様にして帰っていった。その様子を見てだった。
 父は妻と息子に話した。
「あの人碌な人じゃないな」
「絶対にね」
「とんでもない奴だよな」
 二人もこう言った。
「あの態度でポチ太の怯え様見たら」
「いい人じゃないのは確かね」
「ああ、ポチ太も可哀想だな」
 父は難しい顔で述べた。
「あんな人が飼い主でな」
「ああ、悪い飼い主だと犬も可哀想だな」
 夏馬は心から言った。
「本当に」
「そうだな、無事だといいが」
「そうだよな」
 一家でポチ太のことを心配していた、だが数日後。
 休日だったので夏馬は朝からランニングをしていた、その時に。
 前から黒髪をオールバックにした穏やかで背は一七二程の三十代位の男の人が来た、見ればリードを持っていて。
 その先にはポチ太がいた、それで夏馬は思わず声をあげた。
「ポチ太!?」
「ワンッ」
 ポチ太も尻尾を振って応えてきた。彼はポチ太に言った。
「元気そうだな」
「ワンワン」
「あっ、貴方がですか」
 男の人も言ってきた。
「ジュヴァンニを保護してくれていたんですね」
「はい、一月程」
「そうでしたか、実はですね」
「実は?」
「この前家に来たのは妻でして」
「奥さんだったんですか」
「私は石川比佐氏といってサラリーマンをしていますが」
 男は自分のことも話した。
「妻は昨日わかったんですが不倫をしていまして」
「そうだったんですか」
「私が単身赴任中にです」
「あの時ですか」
「その時に不倫相手を家に連れ込んでいたそうで」
 それでというのだ。
「その相手が犬嫌いらしくて」
「ポチ太をあそこに置いたんですか」
「そうらしいです、昨日不倫がわかった時に白状しました」
「そうでしたか」
「家に帰るとこの子がいなくて妻を問い詰めたところ最初は逃げたとか言っていましたが」
 それがというのだ。
「幸いそちらの貼り紙を妻が見て急いで連れてきましたが」
「それでもですか」
「怪しいと思ってどうしていなくなっていたか私も私の親族も妻の親族も問い詰めたら」
「白状したんですね」
「不倫を、それでです」
 そのことがわかってというのだ。
「もう離婚で話が進んでいます」
「そうですか」
「妻とその不倫相手には慰謝料を請求し」 
 そしてというのだ。
「私は仕事はそのままですが両親の家に戻って両親を養いますが」
「それでもですか」
「二人は犬が苦手で」
「じゃあポチ太は」
「引き取り手を探すことになりましたが」
 ここでだ、彼は。 
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