レーヴァティン
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第百六十八話 美濃入りその三
「そういえば」
「水に入れば足から身体の中に入りだ」
そしてというのだ。
「そうして身体を蝕み死に至らしめる」
「恐ろしい虫っちゃな」
「その虫がいるからだ」
甲斐つまり山梨県にはというのだ。
「この世界にもと思ったが」
「そうした話は聞いていないわね」
これといってとだ、奈央は答えた。
「こっちの世界ではね」
「だといいがな」
「虫ね」
「世の中性質の悪いのは魔物や獣や賊だけではない」
「そうした虫もなのね」
「問題だからな」
それでというのだ。
「いれば何とかしないとならない」
「それね」
奈央は英雄の今の言葉に腕を組み考える顔になって述べた。
「虫は寄生虫にしてもね」
「普通にいる虫もな」
「危ないのがいるわね」
「蚊にしてもな」
この虫もというのだ。
「やはりな」
「危ないからね」
「マラリアもあればな」
「この浮島だとね」
どうかとだ、奈央は話した。
「脳炎もあるから」
「日本脳炎だな」
「私達の世界にあるそれもあるから」
だからだというのだ。
「注意しないと駄目ね」
「農作物にもっちゃよ」
愛実も言ってきた。
「虫がつくっちゃよ」
「その虫もあるな」
「ゾウムシとか蝗とかっちゃな」
「蝗は特に増えるとな」
「この浮島でも蝦夷に増えるっちゃな」
「平地で増えやすい」
蝗はというのだ。
「そしてだ」
「作物も何もかもを食い荒らすっちゃ」
「食い尽くすと言っていい」
英雄は蝗についてこうまで言った、彼にしても蝗の話は聞いている。実は西の浮島では時折発生するのだ。
「それこそな」
「だから厄介っちゃな」
「蝗も何十億といるとな」
「退治しにくいっちゃ」
「だからな」
「蝗も厄介っちゃ」
「虫はな」
俗に言うと何でもない存在だが、というのだ。
「恐ろしい敵だ」
「そうっちゃな」
「寄生虫に疫病にな」
「作物を脅かすっちゃ」
「あらゆる分野で驚異になる」
「怖いものっちゃな」
「だから甲斐と聞いてな」
この国のことを聞いてというのだ。
「今言った」
「そうっちゃな」
「そうだ、だからだ」
それ故にというのだ。
「虫のことも何とかしていかないとな」
「甲斐の話でありますが」
峰夫も言ってきた。
「まあそれはであります」
「この世界にはないか」
「そうでありますので」
「安心していいな」
「普通に水田も出来るであります」
水にいて足から身体の中に入る寄生虫の問題がというのだ。
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