戦国異伝供書
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第九十九話 厳島の合戦その十二
「ならばな」
「新宮党の様にはですか」
「いかぬな、ではな」
「謀もですな」
「通じぬわ」
元就が得意とするそれもというのだ。
「だからな」」
「戦で倒しますか」
「その者はそれしかないであろう、しかし」
「しかしとは」
「そうした者が一番苦手じゃ」
元就は苦い顔で山中についてこう述べた。
「どうもな」
「殿としては」
「うむ、並の相手ならな」
「これまで通り策で、ですな」
「こちらに引き込むなり始末出来るが」
「忠義の猛者は」
「しかも慎重居士ならな」
尚更というのだ。
「例え知略がなくともな」
「厄介ですか」
「戦で倒すしかないからな」
だからだというのだ。
「非常に厄介じゃ」
「だからですか」
「正直相手にしたくない」
元就はこうも言った。
「出来るだけその者は相手にせず」
「それで、ですな」
「尼子家と戦っていこうぞ」
「若しその者が強くとも」
「他の者を破っていけばな」
それでというのだ。
「戦は有利に立てる」
「だからですな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「それでじゃ」
「これからの尼子家との戦は」
「山中という者と十人衆との戦は攻めず」
そしてというのだ。
「他の者をな」
「攻めてですな」
「戦っていく、十戦って一つ分けてもな」
それでもというのだ。
「後の九戦を勝てばじゃ」
「大勝利ですな」
「左様、だからな」
「山中鹿之助と十人衆は、ですか」
「これと言って戦うでない」
この者達とはというのだ。
「よいな」
「それでは」
皆元就の言葉に頷いた、こうしてだった。
山中達に対してどうするかも決まり元就は尼子家との戦にも入っていった。その政が整えてから本格的にそちらに入ることとなった。
第九十九話 完
2020・5・23
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