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曇天に哭く修羅

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第四部
  Aブロック

 
前書き
完結が近くなってきた。 

 
【冬季龍帝祭】

一つの魔術学園に()いて一人しかなれない【全領域戦争】の個人戦出場者。

その権利を勝ち取るトーナメント。

───────────────

日程は以下のようになっている。


1日目はAブロック

2日目はBブロック

3日目はCブロック

4日目はDブロック


4日目までで各ブロックの優勝者を決め、5日目以降は残った4人で争われる。


5日目はAとBの優勝者

6日目はCとDの優勝者


そして7日目は勝ち残った2人による決勝を行い、そこで勝つと最終選抜者となる。

─────────────────

これから始まるのはAブロックの決勝。


「【夏期龍帝祭】では歯牙にも掛からない程度の奴だったんだが【日英親善試合】で化けたからな。果たして彼奴(あいつ)が何処まで()れるようになったのか……楽しみだ」


《立華紫闇》を倒して夏期龍帝祭の優勝者となった《橘花 翔(たちばなしょう)》が花道を進む。


「シアンに勝ったアンタを倒す」


今や世界屈指の実力を身に付けた《クリス・ネバーエンド》も花道を歩く。

二人は武台で向かい合った。


「良い気迫だ。しかし負けんぞ」

「踏み台になって、ショウタチバナ」


試合が始まると同時、クリスが【灰塵ト滅亡ノ三壊器/ヴァニシング・カタストロフ】という魔晄外装を召喚。

鈍色(にびいろ)をした三つの巨大な甲冑の腕は上空へと浮かび上がり、その一つにクリスを乗せている。


「ブレイカー」


彼女が合図をすると三つの巨腕に搭載された幾つもの武装・兵器が攻撃を開始した。

弾丸・弾頭・光線の雨が降り落ちる。


発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射発射


光と熱が観客の目と肌も焼く。

入学当初から見せてきたクリスの代名詞とも言える物量と火力によるごり押し戦法。

しかし今大会では初めてだ。

彼女は決勝まで基本的な【魔晄(まこう)】の操作と身体強化だけを使っており、全ての相手を手足の一振りで下してきた。

そんな彼女が繰り出したこの攻撃が示すのは、橘花翔がそこまでしなければ倒せない相手であると判断したということ。

対する翔は動じない。

紫闇と戦った時と同じように魔晄防壁を張って熱や衝撃の影響を遮断しながら俊敏なフットワークで途切れない縦横無尽の火線を(くぐ)り、弾幕の中を駆け抜けていく。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


(ネバーエンドの奴、相当進化してるみたいだな。攻撃の手数自体はそこまで夏期と変わらないはず。けれど攻撃の速さや威力が段違いに跳ね上がっている。足を止めて受けに回ったら耐え切れる気がしない)


夏期龍帝祭では紫闇の【打心終天/改】を魔晄防壁で受け止めた翔だが今回は同じことが出来そうな雰囲気では無かった。

ならば見せなければならないだろう。

夏期で使わなかった力と技を。


「黒鋼流三羽鳥ノ一・【盾梟(たてさら)】」


白銀の防壁が膨らんで強化される。

クリスの攻撃を通さない。


「なっ! アンタも使えるの!?」


クリスは動揺しながらも攻撃を続ける。


「三羽鳥ノ一・【音隼(おとはや)】」


翔の背中から黄金の魔晄粒子が噴き出して二枚の翼のようになった。

更に足からも金の魔晄粒子が噴き出す。

彼は音隼で増したスピードと得られた飛翔能力を活用し、地上と空中を利用した三次元の立体機動を行いながら、(おびただ)しい数の攻撃を苦も無く(かわ)していく。


(この調子だと【禍孔雀(かくじゃく)】も使いそうね。これ以上は魔晄の無駄だから止めときましょう)


クリスは三つの巨腕を消した。


「終わりか?」

「当たらないなら意味ないしね。だから私が得た新しい力を使うわ。《佐々木青獅》には使えなかったから公式では初お披露目よッ!」


【領域内戦争】の決勝より前に会得した力だが、青獅のことは紫闇に任せていたので大人しく二人の戦いを見ていたクリス。

しかし日英親善試合より以降の成長は修業に付き合った《永遠(とわ)レイア》や《黒鋼 焔》が認める程に尋常では無かった。


「行くわよショウ。これが私の身に付けた力の一つ。魔晄ノ神氣(セカンドブレイク)、【絶対不可避ノ領域(シューティング・ザ・ワールド)】」
 
 

 
後書き
_〆(。。) 
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