曇天に哭く修羅
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第四部
知らぬが華 5
前書き
出てこないオリキャラの設定を弄ってたら遅くなってしまいました。
《立華紫闇》が左手に何かを出した。
細く黒いそれからは緑の光で出来た刃。
どうやら刀の柄だったようだ。
「また新しい能力ですか。大盤振る舞いですね。データ収集には良いですけども」
《龍宮斗浪》にとっては将来的に紫闇と戦うことになった時のため、手の内を知ることが出来るのは有り難いことだ。
(レイアさんによると、立華君の持っている能力の枠は今のところ7つ。その内の3つは【神が参る者/イレギュラーワン】としての能力)
既に4つは判明している。
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時間操作系の【珀刹怖凍】
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概念を溶かす血液の【融解】
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飛行能力に加え、大量の手数と高い火力を備えた攻撃が出来る【雷鳴光翼】
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先程の黒い【ワープゲート】
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そして5つ目が今出した緑の光刀。
「さて、あの刀がどんな能力を持っているのか楽しみですね。剣については門外漢な彼がわざわざ剣を能力にするだけの価値が有るのか」
紫闇が両手で緑に輝く光の刀を握りながら、右腕の外装に走る『赤』のラインを『青』に変えて光を放った。
「!」
斗浪は青い光が何かに気付いた。
珀刹怖凍のものだ。
(成る程……。攻撃を躱せないように時間能力を同時に発動させてきましたか……。でも立華君は今まで二つ同時に能力を使ったことが有りませんでしたよね?)
何故そうしなかったのかと言えば、単に神が参る者としてのレベルが低かったから。
内なる上位存在が関知しない【超能力】なら同時の発動が出来たのかもしれないが、超能力は今回の暴走に到るまで雷鳴光翼一つしか覚えていない。
斗浪の考えを余所に、紫闇の珀刹怖凍が斗浪の時間を減速させていきつつ周辺の時間も凍結させていく。
人によっては時間停止に等しい停滞。
紫闇が刀を振り下ろす。
離れた場所で閃いた刃からは光の斬撃が飛び出して彼女の体を引き裂かんと猛る。
斗浪はそれを黙殺。
(『飛ぶ斬撃』自体は珍しくない。しかし本当にそれだけでしょうか?)
緑光の斬撃が着弾。
やはり斗浪にダメージは無かった。
しかし何かがおかしい。
「む、どういうことですかこれは。只の斬撃なら直ぐに運動を止めて衝撃も消えてしまうはず。なのにこの刃は……」
斗浪が張っている能力の壁に接したまま這い回り、まるで彼女を閉じ込めてしまうかのように斬光が走り続けている。
紫闇は何度も刀を振った。
その度に光の斬撃が奔って見えない防壁に喰らい付き、どんどん数を増して斗浪が見えないほど光が呑み込んでいく。
「よもや剣士でない立華君が遠距離斬撃でこの命中精度とは……。もしや自動で攻撃が追尾するタイプ? だから滅多やたらと刀を振っても私のところに攻撃が来る? 攻撃が消えないのは常時発動で効果を出す永続ダメージのパッシブスキルだから、といったところですかね」
一定水準の技量を持った剣士なら、そら恐ろしい効果を発揮できただろう。
素人の紫闇でこれなのだから。
「確かに厄介ですが、まだ足りません。では行きますよ立華君。次は私の番です」
後書き
_〆(。。)
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